なんとか誰も死なずに済んだな…
ミズキにみんなの回復やらを任せ、私、ヘルちゃん、リアちゃん、幼女、ルゼルの五人で幼女の家に移動した。
コーデリア達は…まぁ、ルゼルが登場して魔力の強さに金縛り状態だったから……放置で良いか。
ミズキに任せよう…流石にもう悪さしないと思うし。
んー…ここは入った事の無い場所…応接間なんてあるんだな。
対面のソファーにそれぞれ座る。
という事で始まりましたーお茶会…
まぁお茶会というよりも、反省会だね。
私の。
「それで? なんで死にかけたの?」
「いやぁ…一回死ねば運命を消せると思って…」
「運命? 詳しく」
「うん…コーデリアの魔眼は運命の瞳。私は王女時代にその魔眼で運命を変えられている可能性があったんだ。王女と皇子が愛し合うって感じの…でも中途半端に発動したお蔭で、私は皇子を助ける運命…皇子は王女を愛する運命になった」
「…なるほどね。死ぬ以外に方法は無かったの?」
「私の力じゃ、それしか方法が無かったんだ。死にかけだったから、多分全部は解除されていないと思う…」
「ふーん。ねぇ、誰か変えられた運命を解除出来たりする?」
「わっちは無理じゃ」
「私も専門外だから難しいかな」
幼女とリアちゃんは出来ないか。
ルゼルを見ると、得意気な顔をしている…聞いて欲しいんだな。
「おかぁさんは出来ます?」
『ふっ、出来ない』
出来ないんかいっ。
そのどや顔はなんだよ。
あっ、でもルルの槍に居た妖精さんなら出来るかも…
「妖精さんは出来ます?」
『妖精? あぁ…出来るだろうな』
「そうですか…会いたいって言ったら会えますか?」
『生身で裏世界に来たら会えるぞ。ほれっ』
黒い石?
……裏世界に行ける転移石? やだっ、こんなもの気軽に渡さないでよっ。
妖精さんには前に私に会えるか聞いたらしく、生身じゃないと嫌と言われたらしい…それなら仕方ない。用事が済んだら行こう。
「それにしても…お主ら似ておるの」
「ありがとうございます。親子ですからねっ。そういえばおかぁさんは黒金って言われているんです?」
顔が似ているからねっ。ルゼルも無表情を演じているけれど嬉しそう。リアちゃんが
「そうじゃな。序列戦のジョーカーで、わっちは昔ボコボコにされた思い出があるの」
『我も仕事だからな。アラステアは単体で序列戦に挑んでいたから覚えていたぞ。単体で挑むなんて中々出来ないからな』
「調子に乗っていた時期じゃったから良い薬になったぞえ」
単体で挑むというか、ぼっちというか、仲間が居なかっただけだよ。
先程の敵対するような雰囲気は無いから良かった。みんな仲良くが一番だねー。
「……あっ」
「リアちゃん? どうしました?」
「いや、なんでもないよ」
隠し事かね。
今に始まった事じゃないから良いけれど。
生身の身体でルゼルを堪能する方が先か…
少しずつ尻の位置をずらしてルゼルに近付く。
そしてピトッとルゼルの横尻と私の横尻が触れ合い、お尻合いっ。
「ヘルちゃん…お尻ちねらないで」
「……」
まだ不機嫌なご様子…仕方ない。ルゼルから尻を離してヘルちゃんの横尻にお尻合いっ。
……
そういえばこの反省会はどうなったら解散なの?
「あっ、そうじゃアレスティア。また序列戦があるからの」
「ん? いつですか?」
「来月くらいかの」
「へぇー、来年くらいかと思いましたよ。了解です」
「イッたん、お腹空いた」
「さっき食べたじゃない」
「むぅ、わっちは帰るぞえ」
「家ここじゃないの。隣だから歩きなさいよ」
幼女が両腕を開いて抱っこしてのポーズ。
リアちゃんはそれを拒否。
……幼女が泣きそうだ。のっそりとソファーから降りて、私の元にやって来た。
よーしおいでおいでー。
「アレスティア…イッたんに拒否られた…」
「リアちゃんはこれから用事があるみたいですからね」
「あら、よく分かったわね。ちょっと確認したい事があるから家に帰るわ。明日戻るわね」
そう言ってリアちゃんは消えて行った。またねー。
…幼女をヘルちゃんに渡して、再びルゼルとお尻合い。
…温かい。ずっとこうしていたいなー。でも帰る雰囲気…
「おかぁさん…もう帰っちゃうんですか?」
『あぁ、そうだな。これ以上居たら迷惑になるからな』
「そんな事ないですよ。っと言いたい所ですが、おかぁさんの魔力は強すぎますからね」
『魔力を抑える事も可能だが、それをするとアラステアに迷惑が掛かるからな』
「別に気を使わなくても良いぞえ。他の世界との交流は少ないからの」
なるほど…ルゼルが魔力を抑えると、ルゼルがこの世界…アラスに気を使っているという認識になるのか。
中々難しいんだな。
「ん? じゃあ他の世界からもここの様子が解るって事ですか?」
「そうじゃな…技術や魔法を調査する為に、他世界から潜入している者も多いぞえ。序列が上がれば上がる程の」
「スパイも多いんですねぇ…」
リアちゃんの場合はここに遊びに来ているだけだし、あっちの世界…ルビアの方が魔法や技術も上だからスパイでは無いか。
私の回りにスパイっぽい人は…居なさそうかな。幼女とリアちゃんが居るから、スパイにとってパンパンは危険地帯だし。
『そういう事だ。じゃあ…裏世界で待っているぞ』
「あっ、待って下さいっ」
ちゅー。
よしっ、またねー。
『早く…一緒に暮らしたいな』
「ふふっ、そうですね」
ルゼルの顔が少し赤い…これはキュンだな。
後ろのヘルちゃんが嫉妬して私の尻をちねっているけれど、中々無いチャンスだから許しておくれ。
ちょっと、爪立てないでっ。尻がえぐれるじゃないか。
ルゼルが嬉しそうにしながら次元の歪みに入って消えて行った。
また暇を見付けて行こう。
「はぁ…終わったわね。じゃあ帰るわよ」
「はーい。アテアちゃん、送って下さい」
「……」
「アテアちゃん?」
「しまった…おにぎり頼むの忘れておった…」
「…一応頼んでみますね」
幼女にパンパンまで送って貰うと、打ち上げはもう終わっていた。暗いしみんなもう寝ているかな。
ミズキ達もパンパンに帰って寝ている様子…ルゼル襲来から結構時間が経っていたか。
「ヘルちゃん、一緒に寝よっ」
「えぇ…と言いたい所だけれど、私はクー達の様子を見てから幼女と寝るわ。アスティはフリシアの所にでも行きなさい」
「えー、一緒に行くー」
「駄目よ。フリシアはレーナの部屋に居るわ。じゃあまた明日ね」
ぶぅー。
明日は一緒に寝て貰おう。
私だってみんなの様子を見たいのに…ヘルちゃんが駄目って言ったら駄目だから、ここは従おう。
という事でレーナちゃんのお部屋へゴー。
そーっと扉を開けると、ベッドの布団から顔を出したフリシアちゃんと目が合った。
「こんばんは。起こしてしまいましたか?」
「あ…レーナさんなら居ない…ですよ」
「フリシアちゃんに会いに来たんですよ」
「何か…ご用…っ!」
そういえば男モードじゃなかったな。地味メガネを操作して、男モードにしてみると…布団の中に潜り込んでしまった。
「フリシアちゃん、私…女の子なんだ」
「……」
返事は無い…ショックだったかな。
「良かったら…お友達になって欲しいなって思って、来たんだけれど……」
「……」
まぁ、仕方無いか。好きな人が女子だったなんて…割り切れないと思うし。
普通に考えて、仲良くもないのに夜中に会いに来たなんてやべえ奴だよね…
…よし、戻るか。
「…押し掛けてごめんね。おやすみなさいっ」
「…ぁ」
はぁ…ちょっと寂しいな。
レーナちゃんの部屋から出て、私の部屋を覗く…フラムちゃん達はみんな寝ているか。起こしちゃ悪いし、入るのはよそう。
ヘルちゃんの所は…フリシアちゃんとお友達になれなかったから、哀れみの目を向けられると辛いし行かないでおこう。
うーん…どうするかなぁ…寝る場所が無い。
廊下で寝るかな……あっ。
「ムルムー、一緒に寝よ」
「…御意」
よしっ、ボッチ回避だ。
それにしても、ムルムーはいつから隣に居たんだろう。ステラさんに暗部の技術を学んでから、ことごとく私の索敵を掻い潜っている…
このままムルムーは最強のストーカーへの道を…いや、考えるのはよそう。
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