待っていたよっ!
私の翼がどす黒いエネルギーを発し始めた。
最初から飛ばし過ぎかな…いや、これくらいしないと瞬殺される。
でも、ちょっと思考が荒れるなぁ。
『…混沌の力か。禁術・元素の神書』
「この呪いは…命が枯れ、灰になるまでの刹那を無理矢理繰り返した大なる業を純粋なる命に押し付け完成した…神をも殺す呪い」
深淵の力と、呪いの力が溢れ、混ざり合う事で変化を加速していく。
…この変化は、この戦いで慣れるのは難しいかもしれない。
『……神殺し…神敵が何故女神アラステアと一緒に居るんだい?』
「ふふっ、それは簡単な答えですよ。当ててみて下さい」
理由は、この深淵の翼が実体を持ち始めているから…
つまり、星乗りを使わなくても浮遊出来る。
悪者っぽい技と魔法が使える。
『俺には難しい答えだねっ、浄化の神炎!』
キラキラと白く輝く炎が出現。
炎が突如膨れ上がり、そのまま呑み込まれた。
熱…くはない。
でも私の呪いの力が浄化されていく。
これは、消さないと力が削がれるな…
「裏魔法・反転」
浄化の炎を不浄なる炎に変えていく。
私の周りから反転…あぁ、不浄な炎が気持ち良い。
魔力が回復していくよ。
『やっぱり効かないか。斬鋼の神風!』
鋭い風が乱舞。
切れ味は…恐らく神武器級。
これは反転出来ない…
「…裏魔法・血塗られた盾」
どす黒いオーラを纏ったシールドが現れ、鋭い風を受け止める。
――ギャァァアアアア! イダィィイイイ!
…防いだけれど…この盾うるせぇな。
なんか撒き散らしているし…
『くっ…呪いを無差別に放つとは…慈愛の神水』
…雨? 撒き散らした呪いが消えていく…
――ヤメテェェェエエ! キエタクナイィイ!
あっ、うるさい盾が溶けていく。
…消えちゃった。
魔法の打ち消しか?
「……裏魔法・血塗られた盾」
――フッカァァツ! ノロワレロォォオ!
やっぱりうるせぇな。
でもこれなら防げるからなぁ…燃費悪いけれど。
「全てを埋める神土」
うおっ!
大量に土が降ってきたぁ!
埋まるぅぅ!
「やばっ…朱剣奥義・天壁!」
朱天の剣を取り出して赤黒い柱を上に向かって放つ。
ちょっと…質量が多い。
ヘルちゃん大丈夫かな。
幼女は…埋まったな。
…なんとか防いだけれど、目の前が土の壁。
柱の形に空洞が出来た感じ…動けるけれど結局埋まったな。
どうするかなぁ…
『くくっ、天壁を使うのを待っていたよ。神炎、神風、神水、神土…元素の循環』
…なんだ? 上?
……ちょっと、あれはまずいなぁ。
赤、緑、青、黄の光が混ざり合い…私の真上で強い力を放っている。
…これ…逃げ道が無いぞ。
「血盾さん、あれ防げる?」
――ムリィィィイ! イタイノヤダァァア!
血盾頑張れよ。
強化すればいけそうだよなぁ。
「じゃあ強くするから頑張って」
――イヤァァアア! オニィィイイ!
「……エナジーマジック。ライトシールド、アビスシールド、合体…拒絶の血塊盾」
――キャァアアアア! ヤメテェェェエ!
どす黒い盾が銀色のオーラを放ち、禍禍しいオーラに変化…これを世に出して大丈夫かな…
あぁ、これ魔力消費が激しいぞ…
『それじゃあ無理だよっ! 神魔法・起源の力!』
来たっ!
混ざり合った高エネルギーが落ちてくる!
頑張れよ血盾!
衝突…っ!
「くっ…これっ…きつっ…」
――イタイイタイイタイイタイ!
「頑張って…エナジーマジック! エナジーパワー!」
――ヒグゥゥゥウウ!
押し潰されそう…骨がミシミシ言って折れそうだ。
まだ終わらないのかっ…
『くっまだ死なないのか。やるね…魔神力!』
「くぅっ…エナジー…力が増してっ」
勢いが増したっ!
まずい…潰れる。
「アレスティアー、どこじゃー?」
「っ! アテアちゃんここです!」
ボコンッと土の中から全身鎧の幼女が出てきた!
助かった!
幼女がふんぞり返って上を見る。
「あっ、これまずいの」
「助けて下さいよっ!」
「わっちは防御魔法が苦手なんじゃよ…ちょっと力をやるから頑張るのじゃ。光の力」
幼女が私に光を押し付けて穴に引っ込みやがった!
今まで闇が強くてバランスが悪かった光が力を増していく…あっ、これ行けるかも!
「ありがとうございます! ハイエナジー・マジック!」
――アァァァア! ツヨクシナイデェェエ!
私の力が底上げされてハイエナジーに昇華した。
これなら防げる!
『…はぁ、はぁ…ちょっと、これを防ぐの?』
跳ね返しながらそのまま土ごと吹っ飛ばしてやる!
ハズラドーナの魔力は…あそこだ!
「吹っ飛べ!」
ハズラドーナの魔法を跳ね返す!
土を吹き飛ばしながら高エネルギーが縦横無尽に駆け巡った。
――サヨナラァァアア!
あっ、血盾さんありがとうございました。
「はぁ、はぁ、もう、魔力切れか…」
力を使いすぎた…意識が飛びそうになる…
ハズラドーナは…やっぱり生きているか。
『……予想外だよ。補佐がこんなに強いなんて…』
「でも、魔力切れなんで私の出番は終わりです」
『じゃあ、どうしてアラステアと居るか聞かせてくれるかい?』
「ふふっ、それはアラステア様が可愛いからです」
『くくっ、そうか。考えもしなかったよ』
「可愛いは正義なんですよ。アテアちゃん、後はよろしくお願いします」
カシャンカシャンとへたり込む私に近付く全身鎧の音。
……ん? なんか位置が上だな。
振り返ると…なにっ!
「アレスティア、終わったらご飯食べさせての」
「はいっ!」
真っ白い全身鎧…私よりも身長が高く、長い手足にスタイル抜群。
やっと、やっと大人モードを堪能出来る!
待っていたよ!
「やっと思い出したのじゃ」
「やったー! あのっ、兜を取って下さいっ!」
「…アヴァロンの力を使っているから…取ったら幼女に戻るのじゃ」
「嘘だろ…」
いや、顔っ!
顔が見たいんだよっ!
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