攻撃手段が少ないぞー

 

 深魔貴族が相手だから、神剣を使おう。

 折れないソードを出し、エナジーパワーで振りやすい重さに調整した。


『おや? 名のある剣ですかな?』

「はい! よろしくお願いします! ライトソード!」


『これはこれはご丁寧に。それではわたくしも…』


 ジュマが黒い短剣を取り出した。

 あれは…感じた事の無い魔力を感じる。

 要注意だな…

 先ずは様子見。


「光飛連斬!」

 光の刃を連射。

 先ずは三十二連!

 ジュマは黒い短剣に魔力を通した…何か来る!


『やりますねぇ。呪解・壱…黒点鬼。凪ぎ払え』

 黒い短剣から大きな黒い腕が出現。

 光の刃を凪ぎ払った…

 あれは…魔法というより、召喚か?


「それなら! 光飛連突!」

 光の刃を鋭くして連射!

 黒い腕が凪ぎ払う直前でゆびーむ!

 腕を上に弾く。これでどや!


『くくっ』

 腕がもう一本出たー!

 くそっ、弾かれたか。


 二本の腕がジュマの短剣から存在している…

 ジュマは移動しないな…動けないのか?


「エナジーマジック! 強化ソルレーザー!」

 超級まで強化したソルレーザーを真上から落とす。

 両腕が上に向かってクロスガード。


「今だー! 強化ゆびーむ!」

 その隙に強化したゆびーむを正面に放つ。

 うぉっ! 推進力で身体が浮く!


『なるほど…呪解・弐…防げ』

 うわっ…もう一対の黒い腕。

 合計四本かよ…


 こりゃ迂闊に近付けない。

 キノコの上に居るから星体観測はキノコを壊しそうだし…

 深淵魔法も黒い腕には効果が薄そうだし…

 ……えー…攻撃手段が少ないぞー。


『もう終わりですかな? 黒点破!』

 黒い腕が全て私の方へ向き、手の平を向けてきた…

 あっ、これやばっ!


「十連ライトシールド!」

 黒いレーザーが四本!

 あぁ一枚一秒持たない!


「アビスシールド! 跳ね返せ! リフレクト・ミラーフォース!」

 最後の一枚を反射の鏡に変えて黒いレーザーを受け止める。

 これなら行ける!

 おりゃー。

 レーザーを跳ね返したら鏡が砕けたな…調整が難しいけれど跳ね返す事は成功した。


『む? 珍しい魔法を…黒点鬼、弾け』

 四本の腕がそれぞれ跳ね返したレーザーを手の平で受け止め…握り潰した。

 ちょっと強いなあの腕…


「こうなったら…卑怯ブレイド!」

 ライトソードを起点にソルレーザーを展開。

 光の剣を一気に振り下ろす。


『これは…聖剣を作ったというのか…束縛の呪言!』

「くっ…身体が…」


 一瞬身体が縛られたように硬直し、その隙に避けられた。

 これは最初に使っていた魔法か。深淵の瞳を持つ私にも効果があるって事は強力な部類だな…


 でもこれで解った。

 あの腕を召喚しているせいでジュマの動きは遅い。

 もう一度卑怯ブレイドを打ち込むか…その前に…


「強化ソルレーザー!」

『…防げ』

 真上からのソルレーザー!

 腕が二本防御に回った。

 この隙に連撃!


「私流剣技・超連撃!」

 速さ重視の連撃!

 腕で防御されるのなら腕を攻撃してやる!

 ソルレーザーを放っているからかなり辛いけれど、いずれは勝機がやってくる!


『なんて無茶苦茶な…束縛の呪言!』

「深淵の瞳!」

『…なに?』


 こんな拘束弾いてやるぜ!

 黒い腕がボロボロになってきた!

 もうすぐもうすぐ…


 おっ! 腕が弱って沈黙した!

 チャーンス!

「ブッ飛べ!」

 思い切り横凪ぎに振り切る!


『ぐぉぉおお!』

 よっしゃ直撃!

 飛んでけー!

 ジュマがキノコの端まで飛ばされて転がった。

 追撃!

 卑怯ブレイドをジュマに振り下ろす!

 直撃…しない。なんだ? 黒いバリア…


「はぁ、はぁ、いやー…強いな」


『ぐっ…あなたは…ここで潰しておかなければいけませんね』

「それは、光栄ですねぇ…」


 ジュマがカードを取り出した?

 何をする気だ?


『権限発動・第二闘技場へ!』


 んー?

 カードが光って…

 急に景色が変わった。

 ここはキノコの上じゃない。

 壁に囲まれた広い荒れ地だ。


「…ここは何処なんですか?」

『第二闘技場です。あの樹の上では本気が出せませんから』


「なるほど…」

『それでは…いきますよ。呪解・参…黒点鬼、現れろ』


 黒い短剣から、ズズズッと這い出るように身体が出てきた。

 黒光りした筋肉質な大きい身体…太い脚、二対の腕。

 ……頭は無い。

 首から下の魔物か…


「正直…助かりました。私も伸び伸び戦いたいと思っていたんですよ」

『…黒点鬼、標的はあれだ』


「さて、私もやりますか。星体観測!」



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