何耳と呼べば良いんだ? 獅子耳? 猫耳?

 

 ライラと共にリアちゃん達の所へ行くと、三人で剣を持って何やら話している。幼女は草原に埋もれている…あっ、技の複製をしているのか。


「みんな、ライラも修業に参加するのでよろしくお願いします」

「よろしく…お願いします」


 ライラの生活リズムはリアちゃんに任せる。寝ている間は一緒に居られないから。

 ある程度剣の腕が上がったら、私が星属性を流し込む予定かな。


「ミズキさんは複製出来ました?」

「うん、バッチリだよ。奥義はまだ出来なかったけどね」


「それは良かったです。じゃあ帰りましょうか」


 強くなったライラを見れば、ミイナとヤイナも私の元に来てくれるかもしれない。妄想が広がる…


 ミズキはアース城に送り、パンパンに戻ってきた。

 先ずはライラに色々と教えなければならない。


「ライラ、覚える事が多いから頑張ろうね」

「うん、頑張る」


 両拳を握ってふんすっと気合いを入れる姿に、私の心が高鳴るね。前向きな美少女は大歓迎だよ。

 幼女よ、そろそろ起きれ。


「あっ、アスティ。幼女は私が預かるわ。神聖の魔眼と相性良いのよ」

「よろしくー。幼女を持つだけで修業になるんだね。あっ、これ生クリーム」


 ヘルちゃんに幼女と生クリームを渡すと、微笑みながら自分の部屋へ行った。

 リアちゃんは下の階に居るからライラと二人きり……


「……ムルムー、ライラに読み書きとかルールを教えてあげてね」


 クローゼットが少し開き、にゅっと腕が出てきてサムズアップ。…了解って事ね。出てくれば良いのに……ほらっ、ライラがビビっている……

 因みに私の部屋の隣はムルムーの部屋。つまり壁をぶち抜きやがってクローゼットで私の部屋とムルムーの部屋が繋がっているのだ。


「人間は…不思議な行動をする…」

「ムルムーは人間の中でも不思議な方だから気にしないで」


「読み書きも…覚えるの?」

「そうだよ。人間社会での暮らしを覚える事も、妹を守る事に繋がるんだ」


「なんで?」

「何が良くて何が駄目か分かるし、人の中に溶け込んで生きた方が安全な時もある」


 ライラが人の生活を完璧に覚えたら、姉妹で一緒に暮らせる。襲撃に怯えずに平和に過ごせるのは利点だから。


「そっか…人の世界で生きられるのね…」

「そうだよ。先ずは服を着ようか」


 服は用意してある。

 もちろんメイド服だ。

 ライラが着ている毛皮服…これは魔法で具現化している。魔装の仲間かな。

 毛皮服を消してもらうと、真っ白い肌がお目見えした…決め細やかな肌に感心してしまう。

 白い髪に青い目、真っ白い身体に大事な所は綺麗な……おっと危ない。ここで詳しくは駄目だ。ここではね。


 服を着る練習からしないとな。

 という事で私も裸になって……

「身体…アスティと変わらない」

「耳以外は一緒だね。触ってみる? 人の身体を知る事も勉強だよ」


「…うん。アスティの身体…温かい、ね」

「ライラも温かいよ。……寂しくなったら、直ぐに言うんだよ。私が一緒に居るから」


「……ありがとう」

 不安なのかな…自信のあるクールな口調は何処へやら。ぱっつん前髪から覗く瞳がうるうるしていた。

 めっちゃ可愛い。


 ……

 ……

 ……

 さて、と。

 ライラと一緒に服を着る練習をしよう。


「最初はこのパンツを履くんだ。こっちを前にして、こうやって…はい、やってみて」

「……なんか、むず痒い」


「次はこのワイヤー無しブラ……はいっ」

「えっ…あれ? こう? ……ピタッてしてる」


「次は肌着ね。こっちを前にして、スポッ」

「…スポッ」


「タイツもスポッ」

「…スポッ…っていかない。むずいきつい」


「最後はメイド服をスポッ。簡易式だからこれが一番楽だよ」

「…わさわさしてる」


 あっ……きゃわゆい。

 紐などホックの無いタイプだから、なんとか毎回練習せねばな。

 とりあえず……抱き締めよう。


「ライラは将来の事は考えている? 何がしたいだとか…」

「将来…みんなで平和に過ごせればそれで良い」


「その他は無い?」

「……まだわかんない」


 それは追々かな。

 メイド服を着たから、みんなに挨拶だ。


 ライラを連れて部屋を出ると……もうみんな待っていた。廊下にほぼ全員…狭いよ。みんな目が輝いている…わかるよ、その気持ち。


「ライラ、挨拶だよ」

「っ…よろしくお願いします!」


「「「よろしくー!」」」


「案内しますね!」

「えっ、あっ、アスティ…」

 あっ、ライラがみんなに連れていかれた。

 こりゃ、私が教えるより良いかもなぁ…

 店員さん達、楽しそう。

 …ちょっと寂しい。


「ムルムー、お願いね」

「ええ、おまかせを。立派な淑女にしてみせますからね、姫様」


「姫様言うな。ってもうみんなにはアレスティア王女だとバレているの?」

「そりゃもちろん。噂が立って普通に考えたら、ね」


「そっか、まぁ良いや。あっ、今度コーデリア姫に会いに行くんだけれど、なにか良い案ある?」

「なにかって、一つしか無いですよね?」


「……何さ」

「夜這いですよ。それ以外あります?」


 ……ムルムーに意見を求めた私が馬鹿だったな。

 いや、一番効率的かもしれない。


「じゃあ裏世界に行ってくるから。よろしくね、お姉ちゃん」

「お姉……姫様ー!」


「姫様言うな」


 ムルムーに任せて、ヘルちゃんの部屋へ。ヘルちゃんは幼女を抱っこしながら生クリームをあげていた……なんだろう、幼女が駄目過ぎて笑えてくる。


「ヘルちゃん、ちょっと行ってくるね」

「ええ」


「ん? アレスティア、今度序列下位の神と戦うから一緒に来るのじゃ」

「急ですね。今度っていつですか? 負けても良いんですか?」


「…今度は今度じゃ。わっちが居るから大丈夫じゃよ」

「不安しかないですね。まぁ良いですけれど」


 序列を決める戦いって奴だね。

 今回は相手側が挑戦者って事で良いのかな?


 ……あっ、雪華を譲ったから主力武器が無いな。サンダーホークの剣とミスリルソードと木剣……詰んだな。

 うーん……ルゼルに相談してみるか。

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