四章…裏世界編

甘やかされて、私は駄天使になっていくんだな…

 

 結果を言うと、人形の身体でもえっちぃ事は出来る。

 私の傀儡人形と違って、錬金術を使っているから。

 つまりホムンクルスって事かな…人が造れば人造人間…ルゼルが造れば天造人間…いや神造人間で良いのかな。


「調子はどうだ? 軋むところはあるか?」

「少し違和感はありましたが、先程のアレで違和感は無くなりました」


「そうか、良かった」

 現在お城にあるルゼルの部屋にて、身体の調子を見ていた。

 ルゼルの部屋はシンプルに見えてとても豪華。置いているものは私の部屋とそう変わらないけれど、全て高級魔導家具。

 このキングサイズベッドは全く軋む音はしないし、布団の肌触りはなんと表現したら良いだろう…アテアちゃんを置いたら百年動かないレベル。


「あっ、表世界には自由に帰れますか?」

「ああ、帰れる。我が寂しいだけだから大丈夫だぞ」


「ルゼルさん…キュンですよ。そんな事言われたら、帰る時私も寂しくなっちゃいます」

「ふふっ、縛るつもりは無い。一日数分でも顔を見せてくれたらそれで良い。それが難しくても、帰って来てくれるなら待つぞ」


 ルゼルには時間が有り余っているからの発言だけれど、大人の余裕に私はメロメロだ。ちょっと想像よりも優しすぎて、私が駄目になりそう……


「あっ、あの修行ってどんな修行ですか?」

「先ずは…我の力を使えるようにならないと始まらないから、出来るだけ共に過ごす。魂に我の力を少しずつ浸透させなければいけないんだ。幸い星属性を持っているから、早く使えるようになるぞ」


「メガエナジーが使えるんですね!」

「ふふっ、その内な。楽しみか?」


「はい! とっても楽しみです!」


 メガエナジーが使えたら、私が念願の強化魔法を使う事が出来る。そうすればあんな事やこんな事が出来るのだ。

 この前魔装に挑戦してみたけれど、失敗に終わっている…身体が紙装甲過ぎて駄目だった。


 因みにこのお城は、裏世界にある裏世界の王と呼ばれる変態の家。しばらく前に出掛けて、中々帰って来ないらしい…


「ルゼルさん、質問良いですか?」

「あぁ、良いぞ」


「好きな食べ物は!」

「おにぎり」


「…おにぎりって何ですか?」

「これ、さっき作ったおにぎり…食べる?」


 …ライス? を三角にした物体が二個。海苔はリアちゃんが食べていたから知っている。一口食べてみよ……塩とライスのバランスが丁度良い…中に赤い実?


「ん! むぅー…酸っぱい…」

「くくっ、梅干しは慣れたら上手いぞ」


 酸っぱかった。

 大人になったら味が解るかな…

 もう一個のおにぎりは…昆布。これは美味い。


「ルゼルさん、具の選択が渋いですね」

「その日の気分で変わるぞ。おにぎりは無限の可能性を秘めている」


 おにぎり愛が強い。ルゼルの見た目も…白い肌に黒髪ロングでおにぎりカラーだし。

 おにぎりを作る時はエプロンをして、髪を後で纏めて作るらしい。ちょっと…これは想像しただけでライス五杯は食べられる。後で目の前で作って貰おう…むしろ一緒に作ろう。



「あの、キリエの記憶で気になったんですけれど…ルルさんと知り合いなんですか?」

「あぁ、そうだな。…取引相手だ」


「へぇー、何の取引ですか?」

「神武器。ルルは神武器商人なんだ」


 おーっ、ルルって次元世界を渡って神相手に武器を売っている神武器商人なんだ! 格好良い!

 じゃあアテアちゃんも神武器を持っているという事か。見せて貰おう。


「ルゼルさんの神武器を見せて貰えませんか?」

「どうしようかな。我は趣味で神武器を色々集めているんだが……アスティが強くなる度に、神武器を選んであげよう」


「えっ、選んであげようって事はくれるんですか!」

「貸すなら良いが、ただではやらんよ。強くなって、我を満足させてくれたら考える」


「わーい!」

 うぉー! やる気出てきた! 神武器が扱えるってよ! 貸して貰えるだけで充分だし。裏世界限定なのが惜しいけれど…

 嬉しいので、ルゼルに抱き付いてありがとうアピール。正面から抱き付いたのでおっぱいを堪能しよう。あぁ…頭も撫でてくれるし…幸せ。

 こうやって私は駄目になって、未来のアテアちゃんになっていくのか…駄女神アラステア…そして駄天使アレスティア……この二人が組むと世界が終わる気がする。


「ルゼルさんは、どうして裏世界に居るんですか? こんなに優しいなら表世界で女神をしていますよ」

「女神は性に合わん。それに…我には世界を管理する資格なんて無い」


 何かを思い出すように笑う姿は、儚く感じる……過去に何かがあったのか。その内聞かせてくれたら良いけれど…


「ルゼルさん…それなら私の女神になって下さい!」

「くくっ、プロポーズみたいだな」


「あっ、そう聞こえちゃいます? うーん…守って、は違う。私の女神というか……むしろこの身体はルゼルさんが作ったから、私はルゼルさんの娘ですよね」

「ん? まぁ、そういう考えも有りか…」


「おかぁさんっ」

「……恥ずかしいからやめれ」


 頬が少し赤くなった…可愛い。目が合うと少し視線をさ迷わせ、ギュッてしてくれた。あぁ…こりゃやべぇな…帰りたくねぇや…

 でも帰らないとアテアちゃんが動かなすぎてキノコが生える。


「ずっとこうしていたいですね」

「我は構わんがな。こうするだけでも魂に力が浸透する」


「じゃあ、ルゼルさんにくっ付けば強くなれるんですね」

「ある程度までならな。それ以上は修練が必要だ」


 ルゼルに抱き付いて強くなれるなんて…最高の修行だ。



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