三章…アース王国編

夢の続きを見ようかな

 

 星乗りでバラスの居る草原を目指す。

 これ…凄い便利。本も読めるし、軽く寝られる。

 バラスから貰った世界地図を広げてみると、ラジャーナの位置がよく解る。

 世界は広いなぁ……私が行動した範囲なんて、豆粒以下の範囲だよ。

 大陸なんて複数あるし、世界の半分以上は海だ。

 こんな広い世界を管理しているアラステア様に会ってみたいとは思うけれど、先ずはやりたい事をやらなきゃ。


 ……地形図を見てみる。記されている鉱脈を利用すれば、大金持ちだ。

 光属性を付与すれば、値段も跳ね上がる。闇も付与出来るし…星属性の鉱石を作れば、私専用の武器も出来るか。

 正直雪華は氷属性…私に凄く合うという訳ではないし、壊したくない。


 ガッポガッポ稼いだら、働かなくて良い……素晴らしきかな。

 この荒野には、鉄鉱脈があるけれど狙わない。

 もっと単価の高い金属を売って、目指せゴロゴロダラダラ生活!



 うーん…でも学校も退学しちゃったしなぁ…仕事の引き継ぎはクーちゃんとヘルちゃんがやってくれる。三ヶ月も経てば、女性騎士さん達の訓練も終わるし……稼いだら、このまま復職しなくても良くね?

 元々生活の地盤を固める為に安定収入を欲した訳だし…

 お友達も増えたし、会いたい人はパンパンに集合掛ければ会える……

 私の帝都での生活サイクルがパンパンだけで完結するという…これで良いのか?



 荒野を抜けて、ヤバい木を通り越す。

 しばらく進み、草原に到着した。


 小高い丘で星から降りると、バラスが待っていた。


「バラス、お知らせがありまーす!」

『また何かやらかしたのか?』


「またとは失礼な。ちょっと帝国を離れる事になったので、来る頻度が変わるんですよ」

『そうか。国を追われたか』


「まぁ似たようなものです。権力者に目を付けられたんで、平民らしく身を引くだけですよ」

『はははっ、帝国にとって大きな損失だな』


「そうですね。こんなに可愛い美少女を失うなんて、損失ですよねー」


 えっ? って顔すんなや。

 はいはい調子に乗りましたよ。

 とりあえずお花摘ませてよ。パンパンに飾るんだから。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 ちょっと多目にお花を摘んだ。

 パンパン用と、花屋用。

 花屋用は私の安否確認も含んでいるから、店長には伝わる筈。


「しばらく、あのヤバい木の近くに滞在するので、よろしくです」

『先祖の記憶か。深入りすると後戻り出来ないぞ』


「今更ですねー。もっと強くなりたいので、力の根源を知りたいんですよ」


 今のところ、予定は総崩れしたから暇人。なので、キリエの記憶を見ようと思う。前に採ったヤバい木の枝は、効果が無かったし。


 バラスに乗ってヤバい木の所まで行く。

 …気持ち良い…このまま枕になってくれないかな。


「バラスも暇なら私の布団になって下さい」

『断る』


 けちー。

 良い夢見れそうなのに…



 目的地に到着。

 バラスに手を振って、テントを張る。

 傀儡人形に見張りを頼んで、いざおやすみなさい。

 …あっ、抱き枕まだ貰ってないや。ヘルちゃんに次会ったら頼もう。


 断ったバラスには、猫抱き枕を自慢してやろう。

 せいぜい嫉妬するが良いさ!



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 夢……世界樹が見える…キリエの記憶……

 やっぱりこの木の下じゃないと記憶が辿れない…か。


 えっと…確か、キリエが歪みに入ってルビアっていう世界に来たんだっけ。


 今は、何だろう…修行中?

 キリエが元々持っていた星属性と、世界樹から更に星属性を貰ったみたい。だから、自分の魔力に馴染ませる為に修行しているのか。


「キリエ、調子はどうだ?」

「まぁまぁだよ」


 誰だ? 銀色の髪をしたおじさん。

 ……世界樹を守っている人らしい。守っているという事は、人間じゃないっぽい。

 格好良い人だけれど、キリエは興味無さそう。


 ……しばらく修行中が続くな。

 ルビアはどういう世界なんだろう……旅でもしてくれたら解るのに、キリエは世界樹周辺から出ないな。

 深い森の中心に聳える大樹という景色が続く。


「まだこの世界に邪気は溢れないの?」

「何処に溢れるか解らなくてな。あと一ヶ月は邪族が現れないと思うぞ」


 ……おじさんとの会話から推測するに、この世界に邪気が溢れると、邪族と呼ばれる者が裏の世界から現れるらしい。

 キリエは、その邪族を追い払う役目を頼まれたという形かな。


 裏の世界とこの世界が繋がると、死の星になってしまうらしい。

 力を貸さないと、世界が死ぬから…強制みたいなものだな。キリエは仕方無く力を貸す感じだ…死んだらルルに会えないから。

 だから今は、一生懸命修行中なのか。


「さっさと終わりたいんだけど、まだ力は足りない?」

「まだ強くなる必要があるな。仕方無い…我と一発やり合おうか」


「言い方が気持ち悪いから嫌。何一発やり合おうって…きもっ」

「は? 勘違いするな。お前みたいな年増は我の好みじゃない」


「私はまだ十八歳だよ! ロリコンめ!」

「ふっ、思春期前後こそ至高。やはり人間とは解り合えないな」


 えっ、このおっさんヤバいんですけれど……

 ちょっともう…視界に入れるのはやめよう。

 良かった…ここがルビアじゃなくて。このおっさんに会ったら全速力で逃げなきゃいけないもんね。



 ……ん? 場面が変わった。


 あっ、キリエがおっさんをまな板でボコボコにしている。

 ざまぁ…いや、原因はなんだろう…


「誰がまな板だこらぁ!」

「いや、ごふっ、まな板…取ってって…げふっ…」


 ……キリエにまな板って言ったのか……御愁傷様。


 ……あっリアちゃんが、私が貧乳なのは先祖返りの影響って言っていたな。まぁそれは置いておいて、リアちゃんがキリエにも会っているとしたら……若いリアちゃんを見られるかも!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る