白銀獅子。

 

 先ずは…小手調べ。


「先制戴きます! ――ソルレーザー!」


 ――キュィィイイ!

 光の柱が白銀獅子を直撃。

 身体が沈み…


「ふふっ、流石。耐えますか…」


 たてがみが焦げる様子も無く、変わらない姿。

 単純に、強い。


『この場所に来るだけはあるな…人間』

「……光栄ですね、白銀獅子さん」


『白銀…くくっ、まぁ…間違ってはいないな』


 確かに…白銀獅子は人間が名付けた名前…


 というか流暢に喋るなぁ…知能が高い。


 多分使う魔法も強力だ。

 でも…その余裕も今の内。


「ライトソード」

 ――ブォン

 竜剣が光り、長さが伸びる。

 今回はいつもより長い。

 私の身長ぐらいの…長剣サイズ。


 最近新しい技を幾つか覚えたんだ。

 試してみよう。



「――飛光斬!」

 離れた場所から一閃。

 光の軌跡が白銀獅子へと向かう。


 これはミズキが使っていた技。

 真似っこ。


 バシュン

 前足で弾かれた。

 まぁそうだよね。

 直線攻撃だし。

 でも…弾いたという事は斬攻撃は効くという事か……


 こうやって試行錯誤しないといけないんだよなぁ…

 深淵の瞳が効かない相手は本当に強い。

 心に隙が無い。

 孤高にして剛健。


 だからこそ、闘いは面白い。



「――飛光突!」

 飛光斬を一点に凝縮した光の突き技。


『…氷壁』

 ――バキン!

 一瞬で氷の壁が出現。

 飛光突が弾かれる。


「ふふっ、なんですかその魔法の展開速度…」


 白銀獅子の由来…氷の魔法。

 氷魔法の使い手…アース王女なんか比にならない魔法展開速度、密度、強度。


 凄い…でも、視れた。



 深淵の瞳が効かなくても解る事はある。

 力、防御、速度、体力、魔力、経験。

 私が優るものは…恐らく技。

 負けたく無いものは…心の強さ。



「飛光連斬!」


 連擊連擊!


 全ての軌跡は直撃する軌道。


 氷壁で防御しているけれど、三擊目で壊れて前足で弾き始めた。


 前足がブレて全ての軌跡を弾いている。


 それなら…

「飛光連斬突!」

 連擊に突きも入れる!


 突きの方が早く到達するから弾きにくい筈。


 ――ザシュッ

 前足の付け根に当たった!

 ダメージがあるかは解らないけれど…


『…大氷壁』

 ――バキン!

 うぉっ……大きな氷壁…の一枚板…


 真上はがら空き!

「――ソルレーザー!」

 ――キュィィイイ!

 光の柱が白銀獅子を包む。


 まだまだ!


「シャドウクロス!」

 ――バシュン!

 真下から鋭利な影の突き上げ。

 十字に鋭利な影が広がる。


「ぐっ……はぁ、はぁ…」

 やっぱり光と闇の同時使用は疲れる……

 でも…効いている。


 白銀獅子のお腹から血が滲んでいる。

 よしよし、良い調子。



『くくっ、見事だ』

「――っ! ライトシールド!」


 白銀獅子が前足を踏み出した瞬間……


 ――バキンッ!


 ライトシールドが砕け、私は宙を舞っていた。


 まじかよ…速過ぎる。

 腕がビリビリ痺れているけれど、気にしていられない。

 肉球が……


「アビスフレイム!」

『――ぬっ!』


 私の周囲に黒炎を発生させる。

 危ない危ない…

 追撃が来る所だった。

 あの前足で殴られたら首がぐるんっだからね…



 白銀獅子は黒い炎を警戒しているみたい。

 よし、なんとか時間が稼げそうだ。

 稼げそうだけれど…強い…

 SSランクだから、Sランクの二倍くらいの強さだと思っていた……


 実際これは…十倍くらい……

 強い……桁違いだ。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る