強くて可愛いとか、人気者だね。

 

 次の日…闇の日は、フラムちゃんと一緒にお仕事。

 先週とした内容はそこまで変わらない…と思う。

 変化があれば…お伝え出来るかと…◯◯バージョンがあれば良いんですがね。


 因みに孤高の花ブルークイーンは店長のテンション爆上げだった。ジョリジョリ戴きました……

 珍しいし、帝都には出回らないからね。

 売るとしたら、お値段金貨一枚。

 売らずに、店長、フラムちゃん、特事班にお裾分け。ミーレイちゃんの家が解れば持って行ったけど…まだ間に合うから聞いてみようかな。



 その次の日…光の日は、フラムちゃんが帝都大会の予選…剣技大会に出場するから、訓練を兼ねてラジャーナでオーガ狩り。


「アスティちゃん…私に無元流を教えて欲しいの!」


 何か火が付いたんですかね。

 良いんですけど、首狩りを試合で使われては困るので、何個か技を伝授しようかと思います。

 帝国流剣術の癖があるので、調教……間違えました、矯正しながら。

 何回も壁を越えているので、覚えは早い。というか才能があります。

 最近は早朝の訓練に参加するくらい熱中している。


 フラムちゃんが居ると、朝から目の保養が出来るので嬉しい。

 店長…たまにマジでヤベえ時あるんで、精神がガリガリ削られるんですよ。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 そんなこんなで週が明け、私は特事班の詰所に居ます。


「お願いだ!」


 そして、目の前にはダグラス君。


「嫌です」

「あと一人なんだよぉ!」

「他を当たって下さい」


 なんでも、帝都大会に出て欲しいというお願い。

 面倒だからね。嫌ですよ。男子の部でしょ?


 ダグラス君、帝都大会の騎士団枠らしく…12歳以下なら誰でも推薦可能でチーム編成出来るんですって。

 一人辞退したらしい。

 大変ですね。


「アスティ、恩を売るチャンスだな」

「レジンさん、またミリアさんに怒られますよ。出る理由が無いですし…」


「じゃ、じゃあ一試合だけで良いから!」


 それ出る意味ある?

 なんでも、絶対に勝ちたいチームが居るらしい。それ以外には負けても良いってどんな因縁?

 試合形式は五対五の勝ち抜き戦。

 そのチーム以外は四人でなんとかするというけど……


 一試合だけなら良いかな…アレスで出れば学校の友達増えるかも。

 来年中等部だし…少しくらい目立っても…地味だけどやる時はやる奴と思われるのも悪くは無い。…まぁ悩むくらいならやろうかな。人助けだ。


「今回限りですよ。あと、名前をアレスで登録してくれるなら、一試合だけ出ましょう」

「本当に!?助かるよ!」



 まぁ仕方無い。

 今週は予選。

 帝都大会は来週。

 隣国の選抜チームはもう決まっていて、帝都に向かっている頃かな。


「ところで、勝ちたいチームってどんなチームなんですか?」


「フーツー王国のチームだよ!よし!これで勝つる!」


「…は?」


 先に言えよ。


 気まずいじゃねえか。





 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 腹いせにラジャーナで暴れ、少し平常心を取り戻したけど…なんかモヤモヤするな。

 まぁ…知り合いが出るとは限らないし、地味眼鏡しているからなんとかなるか。



「アスティちゃん!予選突破したよー!」

「おめでとう。フラムちゃん。応援するからね」


 早朝訓練で、開口一番…嬉しそうなフラムちゃん。

 フラムちゃんは女子の部での出場。

 フラムちゃんの晴れ舞台…応援しなきゃ。


「アスティちゃんは騎士団の推薦チームでしょ? 凄いねー!」

「ただの人数合わせだよ。しかも、相手がフーツー王国とか嫌だし…」

「知り合いなんて出ないでしょ?」

「そうだけどさぁ」


 気の持ちようですよ。……爺や居ないよね?……流石に居ないか。かなり忙しい人だし。

 剣技の癖は直らないからなぁ…



 来週の闇の日に初等部の帝都大会がある。

 中等部は次の日。

 店長も応援に行くから、お店は店休日になった。


 初等部の部門だから、直ぐに終わるし注目度は低いかなとは思う。


 場所は騎士団の外訓練場。

 騎士さんが準備に追われてた…

 良かった闇光の日で…平日だったら当日は運営の手伝いをしなきゃいけない。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 学校では、帝都大会の話で持ち切り。

 学校選抜に選ばれたフラムちゃんは、話題の中心になる事が多い。


 予選は凄かったらしい。

 可愛いくて強いとか、人気者だね。

 またお友達増えるね。

 良かったね。

 ちょっとぐらい分けて欲しいな…



「おはよう、ミーレイちゃん」

「おはよう、アレス君」

「ミーレイちゃんって何処に住んでいるの?」

「私は中央区だけど…」

「中央区かぁ…珍しい花を見つけたから…届けに行って良い?」

「へ?あっ、うん。き、今日?」

「うん。駄目かな?」

「駄目じゃないよ!是非!」


 ミーレイちゃん…あんまり大きな声を出すと…ほら、男子達が睨んで来る。

 みんな真面目なんだからね。

 …フラムちゃんどうしたの?

 ……私の手にクマさんを描いちゃ駄目だよ。

 ミーレイちゃんが見ているからね。




 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




 午後になって、お花を取りにお店に戻る。

 ミーレイちゃんって髪が青いから、ブルークイーンが良く似合いそう。

 お花を収納に入れて、教えて貰った住所に向かう。

 来る時は地味眼鏡を取って来て欲しいと言うので、地味眼鏡はしていない。


 中央区の南側…結構良い家が並んでますね。

 因みにミーレイちゃん、ミーレイ・アズリードという名前です。


 少し迷いながらもなんとか到着。

 庭付きの屋敷、アズリード家。

 貴族じゃないけど、良い所の商家だね。



 玄関の扉をノック。


「はい、どちら様でしょうか」

「アレスと申します。ミーレイさんにお会いしたいのですが…」

「……少々お待ち下さい」


 ベテラン風のお手伝いさん。

 少し緊張する。と言っても直ぐに帰るから家に入る訳でも無い。


 ……なんかドタドタ騒がしいな。

 ……


「あ、アレス君!待っていたよ!」

「ミーレイちゃん、急にごめんね。お花渡したら直ぐに帰るから…」


 …なんですか? そんな顔しても帰りますよ。急に家に行くって言っちゃったから、家に上がる訳にはいきません。



「い、いや折角お花を持ってきて貰って…直ぐに帰すなんて出来ないよ」

「大丈夫だよ、急だったし。これ…知ってるかな?」


 ミーレイちゃんに鉢に入ったブルークイーンを渡す。顔が綻んでいるから、喜んでくれたかな?


「綺麗…なんてお花?」

「高山に咲く孤高の花、ブルークイーンって言うんだ。綺麗な青色のお花で、ミーレイちゃんに凄く似合うかなって……やっぱり似合う。凄く綺麗!」

「…あっ、う…嬉しいな」


 良かった良かった。

 青色の髪と青色のお花が良く似合っている。

 眼福眼福。目に焼き付けておこう。


 用事は済んだ、帰りましょう。


「じゃあ、また来週ねー」

「…えっ」


 ご迷惑掛ける訳にはいかない。

 喜んでもらえたから、それで良いかな。


 出来ればお友達になって欲しいけど、なってくれるかな?

 言うタイミングが難しいよね…お友達になって下さいって言うの。


 フラムちゃんに聞いてみようかな。


 みんな、どのタイミングでお友達になって下さいって言うんだろうね。

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