最近、無謀な人が増えています。

「_無元流・乱れ桜」


 ザザザザザ!_


『_ギャィァァア!』


 無元流・乱れ桜…すれ違い様に軌道を変えながら連撃を叩き込み、オーガを細切れにしていく。

 桜というのは、無元流の開祖…爺やの師匠が好きだった花らしい。どんな花なのかな?


「後一体…無元流・四肢」


 ザンッ!_


 無元流・四肢…Vの軌道で四肢を切断。ドサッと倒れるオーガは、何が起きたのか解らない様子で死んでいった。


 辺りを見渡すと、倒れ付したオーガ。10体も居たから、技の練習になったな。

 順番に拳大の濁った魔石を取り出して収納。Cランクの魔石だからそんなに大きさは無く、濁っている。


 魔石はランクが高くなるにつれて、大きくなって綺麗な中身になる。



「さて、次は…ん?あの集団は冒険者かな。邪魔になるから離れよう」


 オーガの死体にライトの魔法で光の魔力を流す。こうすると、早く大地に還るから便利。


 駆け足で離れて、岩場へ到着。相変わらずソルレーザー跡は光っている。

 何なんだろうなぁ…触ってみたら光の魔力を感じる。ちょっと調べて貰おうかな?

 光っている石を何個か収納。来週ロバートさんに渡してみよう。


 今日は、荒野には行かない。ギガンテス級に出会ったら日が暮れるから危険。光の日に行こう。



 大きな岩の上から辺りを見渡す。何か魔物は……冒険者達がオーガと闘ってるなぁー。頑張れー。


 ……大丈夫?一人倒れたな…助けるか?でもこういうのは自己責任だからなぁ…


 距離は数百メートル。五人の冒険者…一人が倒れて…他は全員逃げ出したな。まだ生きてるから置いてくなよ。


 幸いオーガは逃げた冒険者を追っている。助けるか。



 オーガが来る前に、倒れた冒険者の所へ。

 おっ、来た来た間に合え!ってなんだ…オーガは私に向かっているだけか。


「無元流・十六連斬」


 ザザザザザ!_


 無元流・十六連斬…一秒間に16回斬るという難易度が高い技。これが出来たら名人になる事が出来、星の兵士が得意になるという謎の技だけど、出来る私は名人なのかな?アスティ名人…


 そんな事を考えている場合じゃない。苦しそうにしている冒険者をハイヒールで回復。…徐々に顔が落ち着いてきた。


 それにしても…この冒険者若いな。私が言うのも難だけど、同じくらいの男の子。



「_はっ!俺は!」


 起きた。良かったね、私が居て。

 置いていった冒険者もやって来た。みんな同じくらいの歳。男、女、男、男、女、五人。


 さては新人冒険者達だな。駄目だよ諸君。オーガは慣れない内は闘っちゃいけない。力が強いんだ…ほんとに…骨バキバキだから。



「お前が、助けてくれたのか?」

「うん。気を付けなよ。オーガって力強いから」

「ありがとう…」

「うん、じゃあね」


「あっ、オーガはどうするの?」

「オーガ?あぁ、魔石くらいは貰おうかな…」


 オーガの元へ行こうとした時、逃げた奴の一人が立ちはだかった…何さ。


「おい、こいつは俺達が相手していたんだ。そんなの横取りだぞ!」

「やめろよ!助けて貰ったのに!」

「それはお前が鈍くさいからだろ!オーガぐらい直ぐに勝てた筈だ!」

「みんな止めてよ!」


 おー、揉めてらっしゃる…面倒だなー。

 良いや、オーガの魔石は諦めよう!

 さらばだ諸君!大いに揉めてくれ!


「時間の無駄だから帰るねー」

「あっ、ちょっと!」


 駆け足で街へ向かう。揉める時間よりも、オーガを探して倒す時間の方が効率的だからね。

 おっ、三体発見。もう元が取れそう。


「無元流・散り桜」


 シュンッ!_


 三体のオーガが細切れになる。

 無元流・散り桜は、乱れ桜を多方向に放った技。複数の敵に対応出来る。

 素早く魔石を取り出し、駆け足で街へ。新人諸君が付いてきている…いちゃもん付けられる前に帰ろう。


 駆け足と言っても、私の駆け足はかなり速い。フラムちゃんの全力疾走の三倍は速い。

 その内フラムちゃんも三倍速にしてみたいけど…まだ我慢。



 そんなこんなで街に到着。詰所に逃げ込む。


「おっ、アスティち、君!お帰りなさい!」

「ただいまです。あっこれ魔石です」


 身分証を提示して、魔石を出す。今日は13個。ちょっと少ないかな。邪魔が入らなければ20くらいいったけど…

 うーん…それよりも地味眼鏡は衛兵さん達には効かないのかな?


「そうそう、アスティ君がよくオーガを倒すから、同年代もオーガに挑戦する様になったんだよ!影響力あるね!」


「あっ、だからですか。無茶ですよねー、新人でオーガは」


「そうなんだよ。その内制限掛かるかもね。一定ランク以上じゃないとオーガの報酬は得られないとかさ」


 その方が良いと思う。蛮勇は困る。

 助けても責めて来る無礼者も居るし…次いちゃもん付けて来たらハゲにしてやろう。うん、そうしよう。


 魔石の報酬は貯金。来月に給料明細貰えるから楽しみ。何買おうかなー。アクセサリー見に行こうかな。


 あっ、その前に剣直さなきゃな。欠けてるから切れ味が少し気になる。


 明日は武器屋に行こう。


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