第5話 二人三脚の練習
「せーの!」
ズべッ
「うわわわ…。」
あぁまた尻もちついちゃった。今は体育で運動会の練習。二人三脚の練習をしているんだけど…。
「ことな大丈夫か。」
「う、うん。なんとか。」
私、どんくさ少女だからよく転びます。ただ歩いてるだけなんだけどな~。しかも一緒にやっている人がイケメンの平一君なんだもん。そればかり気にしちゃうんだよね。
「せーの!!一、二、一、二、一、二…。」
あ、今いい感じ。一回とまる。
「走るぞ。」
「う、うん。」
不安しかないけど。
「せーの!!一二、一二、一二、一二、…。」
ズべべ…
「!」
ボフッ
あれ?地面に倒れてない。
「ことな本当に大丈夫か、このままいったら怪我するとこだったぞ。危なっかしいな。」
そういって平一君は倒れそうになった私を抱えていたのを元に戻す。私はというとカッーと頭が噴火する。み、みんな見ているんだけどーーー!!右を見るとしらけた顔を見ている人と、なにやら桃ちゃんがにやにやしている。左を見ると冷たい視線をこっちに向けている人となっちゃんがにやにや。あぁーもういやーーー!!
放課後です。また平一君に呼び出されました。今回はお役目に全く関係なく、
「二人三脚の練習すんぞ。」
「えーなんで!」
「このままだとことなが危ない。それに目指すは1位だろ!」
私、誰にも狙われてないし、そもそも危なくない。運動会で二人三脚4ペアで競争するらしいんだけど、その中で1位になると賞状がもらえるらしい。それでみんな目をキラキラさせてて気持ちがどんよりしているのは私だけ。しかも平一君が一番目を輝かせてるし、だってこうやって練習に付き合わせられるんだもん。
「いくぞ、せーの。」
「「一二、一二、一二、一二…。」」
あれ?出来る。なんで?家の周り一周したとこで、
「終了。ことな出来んじゃん、なんで学校で出来なかったんだ。」
「だって、平一君とやりたい人たくさんいたからいろいろと気になって。」
「ことなは嫌なのか俺とやんの。」
…口ごもった。だって本当は平一君が一緒にやってくれてうれしかったから。私口下手だから、友斗君と有太君以外の男子と喋ると何言っていいか分からなくなる。けれど、平一君は何故か普通に話せる。なんでだろう不思議。
「嫌じゃ、なかった。」
やっと出た答え。
「そっか。」
…突然の沈黙。
「あのー、すみませんがー。」
いきなり誰かが喋ったからなんだろうと思って前を見やると…、
「ラズ!忘れてたよ。」
「俺も。」
私と平一君は目を合わせた。
「忘れるな!」
そうラズが言ったら、
「「ぷっあはははは…」」
私と平一君は吹き出してしまった。
「そんなことより最近何してるんですか。二人で足に何か付けてますけど。」
ラズに運動会のことを言ったら。
「へぇー僕も見にいきたいなー。」
なんて言うから、
「ペットは行っちゃだめなんだよ。」
そしたらラズがしおれちゃって、それがまたなんか可愛かった。
その後、毎日毎日平一君の家に行って二人三脚の練習をした。学校でも周りの人のことを考えずに普通に出来るようになった。でも…、
「うわ~ーー!!」
また平一君の腕の中。ボフッと頭が噴火しちゃった。
「ことな大丈夫か。」
ついついためい息。まぁここは平一君の家の庭、誰もいないから良かったよ。本当どんくさ少女は困りもの。
「地下行くぞ。」
「うん。」
コンコンコン…
階段を下りていく。二人三脚が終わった後はいつも魔法を覚えるのと魔法の練習をしている。あの強敵、近藤仁さん。中学の天使を倒すためだ。
「えーと、私がいつも見ている秘伝書どれだっけ?」
と、ぶつぶつ言ってたら。ん?あの分厚い本なんだろう。なんとなく本をとろうとすると、
「?」
本が引っ込んだと思ったら。
「な、なにこれ」
本棚が動いた。そして隠し通路が現れた。
「平一君!」
「なんだことな。」
私は通路に指を指しながら言った。
「これ、どこかつながってたりするの?」
平一君は首をかしげた。
「さぁ。俺はばぁちゃんに教えてもらって知った地下室だから。」
「平一君のおばぁちゃん知ってるの?お役目の事。」
「知ってるも何も、引っ越ししたのはばぁちゃんが仕組んだことだから。」
私は目を見開く。平一君が引っ越したのっておばぁちゃんが仕組んだって、一体何者!
「まぁそんな細かいことは気にしないで行ってみようぜ。」
「不安しかないけど。」
そう言いながらも、その隠し通路に一歩足をふみ入れた。
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