第4話 初めての敵現る

鬼ごっこが始まった。楽しいはずなのに楽しくない。

「ことな右!」

「えっ」

いきなりタッチされちゃいまじた…。あれ?平一君何にもいわない。…変な沈黙が流れた。

「まずいな。」

えっ何が?

バサッ

鳥が羽ばたく音。

「でか!あんな鳥みたことない。」

真上に超大きい鳥が飛んでいた。

「魔鬼だ。魔法覚えているか。」

「うん。」

そのとき、大量の魚が降ってきた。なんじゃこりゃこんなのあり?もうしょうがない、お役目やるって言ったからやんなきゃ。自分で決めたんだから。

「ラピスマイオリ―。」

ぶわっ

ものすごい強風だ。魚は飛んで行ってボンッと煙をあげて消えた。こうやって戦うんだ!この魔法は基本魔法。ラピスラズリに出来る風をおこした。ルビーは火を出すらしい。

「ルビーマイオリー。」

平一君が出した火の玉があの鳥に向かって飛んでいく。でも勢いが足りないよ。

「!」

ピカンとひらめいた。

「平一君、私にまかせて!」

「?」

平一君は「?」が頭からビシバシ飛ばしている。

「ラピスマイオリ―、酸素よ、あの火を助けて!」

私が唱え終わると風が吹いて火に勢いがついて大きくなる。そしてあの鳥に命中!鳥の羽が焦げて真っ黒。ららら、落下してくる―!その鳥の下には内のクラスの人達がいる。急いで周りを見渡すと、

「ボールだ!」

よし!

「ラピスを使う私にエンゼル助けたまえ。」

たくさんのボールが浮く。そして鳥が落ちてくるスピードに合わせてエンゼルに指示。

「ラピスを使う私の指示を送る、投げろ!」

空中に浮いていたボールが鳥に向かっていく。そしてドンっと命中!鳥はその勢いで吹っ飛ばされて気絶。しかも内のクラスの人達はペチャンコにならないですんだし一石二鳥。そして平一君にVサイン。

「お前すげえな。」

平一君がポカンとしている。

「え?」

私はただただ首をかしげる。

「俺じゃあんな冷静に考えられないぞ。というか『ラピスマイオリ―』って教えた覚えない。」

「あぁ。あれは本に書いてあったのをたまたま覚えてたの。あと平一君が出した火に酸素をぶちまけたのいい考えでしょ。」

平一君は目を見開く。

「ぶちまけるって、言い方…。ていうかそれって最近理科で習った『物の燃え方』っていう実験覚えてたのか。」

あ、『物の燃え方』っていうのは教科書にのってたやつね。言われてみれば何かあったね。⇐ 学校の授業ほぼ忘れています。

「私、理科と算数は得意なの。国語と社会は全然だけど。」

あれ?私普通に理科と算数が好きだって言っちゃってる…。ややや、やば!変な奴だと思われちゃうよ。

「え、そうなの!俺とま逆じゃねえか。俺は国語と社会はいけるけど理科と算数は全くだめだめだ。」

そうなんだ。なんか仲間がいてうれしいような気がする。というかなんで平一君には普通に言っちゃってたんだろなんか不思議。

ボンッ

何か変な音がしたと思ったら。

「中学の天使!」

何と鳥の魔鬼がいた場所に美少年の中学生が立っていた。あの美少年の人は内の小学生とそこにある中学校の生徒じゃ知らない人はいないイケメン近藤仁さん。もう天使と呼ばれてもおかしくないすっきりしている顔立ち。でもなんでここに?

「魔鬼、お前か!」

へ、平一君何言って…、そういおうとしたら。

「そうだよ。私は魔鬼だよ。ことなさんが初めて敵と戦ったには良い強さでしたけど、まだまだ勝てないよ。今後はもっと楽しませてもらうよ。じゃあ、また戦うときに会いましょう。」

そういってここを立ち去った。

「うそ。」

だっていつも優しい目をしているあの近藤さんがあんなこっちが寒くなりそうな目で見られるって、全部演技だったの!平一君が私の肩にポンっと手を乗っけてくれた。いつもだったらパット手を肩から無理やりはずすのに、頭の中がごちゃごちゃ、今はその平一君の手が心を少し落ち着かせてくれた。


放課後

今は平一君の家の地下室。また平一君に呼び出されて来た。今回はみんなに見られるとかそんなのんきなこと言ってられないよ。後、さっきの騒ぎは実は結構みんなにひかれていました。そりゃそうだよ。だってあんな物がかってにういたり火が飛んだりしたんだから当たり前。まぁそれは忘却魔法という魔法を平一君にみんなにかけてもらった。だからみんな忘れちゃって鬼ごっこを再開してた。

「平一君、近藤さんがこの前言ってた強い敵?」

「あぁ、そうだ。」

平一君は秘伝書とやらを見てる。ていうか初バトルの相手が強敵で中学の天使だとは思わなかったな。

「その秘伝書って何が書いてあるの?」

「新しい魔法があの本よりもたくさん乗ってるんだ。あの魔鬼に勝つためにいろいろと魔法を覚えておかないと。」

お、覚える!私の一番苦手なのが覚えることなのに…。理科と算数ならともかく。で、でもやらないと勝てない。

「わ、私も覚える。みんなを守りたい!」

平一君は二ッと笑ってくれた。それを私も笑い返した。

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