第2話 お役目を継ぐ者

「ことちゃん、ことちゃん、ことちゃん…。」

はっ

「ことちゃん大丈夫?生きてる?」

桃ちゃんとなっちゃん、が心配そうに私の顔をのぞきこむ。

「だ、大丈夫」

何、今の夢?

「ねぇ『ここどこ』て、つぶやいてたけどどうしたの?」

「へ、そんなこと言ってた!」

桃ちゃんとなっちゃん、は一度にうなずく。なんだろう、一体。そこに先生が教室に入ってきたときみんないっせいに席に着いた。

「今日は転入生の平一君の為に自己紹介するぞ。」

ということで自分の名前と好きな○○を言うみたいなんだけど、その好きな○○のお題は先生が決めるらしく、そのお題がめちゃくちゃで、みんな詰まっている。その内容はというと例えば…、

「好きな坂本竜馬の言葉は?」

…チーン。てかんじ。そもそも歴史をこれから習うというのに坂本竜馬を知らない人はどうすんの、て心の中で突っ込む。知ってる人はいいけど。私の番が来た。

「花咲ことなです。」

「好きな都道府県は?」

都道府県?そんなのないけど。どどど、どうしよう。と思ったら青い煙がもくもくと出てきて私の口の中に入ってしまった。

「好きな都道府県は広島県です。」

何これ。口が勝手に動いた。自分の口じゃないみたい。

パチパチパチ…

みんな一せいに拍手する。だけど横に目をやると平一君がこっちをじっと見ていた。き、気持ち悪いんですけど…。彼の視線をおうと…、私のポケットに何かぶら下がっているのを見た。それをひっこぬくと、

「ま、まさか。」

超小さな声で言った。私の顔が真っ青になった。このネックレス怖い。

「ことなさん、大丈夫?」

「だだだ、大丈夫です。はい。」

そして放課後。

「ことな。」

「何?」

そこに立っているのは平一君だった。

「俺んちこい。」

「は、何で行かなきゃなんないの?」

「何でもだ。」

それを言い終わるとすたすたと家に帰ってしまった。平一君は真剣な表情だった。

ぽてぽて歩く私と平一君。ど、どうしよう…もうパニックってるよーーー。だって男子の家に行くんだよ。しかもこんなイケメンの家。内のクラスの人に見られたら私死んじゃうかも。

「ここだ。」

目の前には普通の一軒家。でも平一君が見ているのは家ではなくその下。立ち止まったと思ったら赤色のブレスレットをポケットから取って鍵穴に当てる。そしたらカチャッと鍵が開いた音がした。そしてなんと地下室につながるドアが出てきた。

「こい。」

私がぽかんとしているのをおいて先にすたすたと行ってしまった。

「ままま、まって!」

薄暗い階段をおりていく。階段を下りると目の前に青い水?そしたらいきなりポケットに入れっぱなしにしてあった青いネックレスが飛び出してポチャンッと青い水の中に入っちゃった。

「ひぁっ。」

その青い水は強い光を放った。光がおさまって目を開けると水が見たことのないくらい透明で透き通っていた。ネックレスは?と思って首に手をやるとあのネックレスの感触がした。

「何が起こったの?」

「ラピスラズリが新たな所有者として認めたんだ。」

さっき言ってたのが平一君かと思いきや。

「犬が喋ったーーーーーーー!」

「うるさい。犬が喋ってどこが悪い。」

「こらこらラズ怒んないの。」

と言ってラズという犬をなだめる。何でこいつに怒られなきゃいけない分け?!

「この犬はオスで名前はラズよしくな。」

「よろしくない。てかなんで犬が喋んの!所有者って何の話。こんなのほしくないし。」

私は気持ちを表に前面にだして怒りをあらわにする。そしたら平一君ははぁーとため息を出した。ため息したいのは私の方だよ。

「ちょっと落ち着け一から説明するから。」

と言って平一君は話始めた。

「ルビーとラピスラズリを持つものは人間にとりついた魔鬼という敵を倒すお役目があるんだ。それをご先祖様がずっとやってきた。それを継ぐものが俺とことな。俺はラピスラズリを持つ者を探す為と強い魔鬼を倒す為に転校してきたんだ。」

「でも私、これはたまたま見つけただけなんだけど…。」

「このルビーとラピスラズリは俺とことなのご先祖様以外の人が持とうとするとはじき飛ばされるようになっているから所有者はことな。」

言い終わったら平一君は正座していきなり頭を下げ真剣な顔で

「お願いします。一緒に魔鬼を倒しさせてください。」

…チーン

「わわわ、私そんあの出来ないよ~!!」

事態を理解出来なくて少し遅れて返事をした。そして平一君はガバッと顔をあげ、

「やってみるだけやってください。お願いします。」

そんなにお願いされたら断るに断れないじゃない。もうどうすりゃいいの。こうなったら、

「分かった。やるだけやる。」

平一君は目をきらきらさせた。

「で、敵を倒すにはなにをすりゃいいの?」

「ラズ、あの本持ってきてくれ。」

「やっと出番が来たよ。」

とラズが言ってぶ厚い本を持ってきた。そういえばラズのこと忘れてた。だまっておこ。

「一ページめくってみてください。」

ラズがいった。私は言われたとうりにした。

「ラピスを使う私にエンゼル助けたまえ、て何これ。」

「もっと読み進めろ。」

平一君がいった。私はしぶしぶ読み進める。

「この魔法を使うと見えないエンゼル達が物を持ってくれます。これでたらめじゃない。」

「でたらめかどうかはやってみろ。」

本当にできるのかな~。私は試しにこの厚い本を見つめて魔法を唱えてみた。

「ラピスを使う私にエンゼル助けたまえ。」

すると厚い本はちょっと浮いたけどバタンッと落っこちてしまった。す、すごい。だってちょっとだけだけど魔法とやらを使えたんだもん。

「ことな。家でもちょっと練習しといてくれ。そうすば出来るようになるから。」

「出来るだけがんばりましゅ…。て、もうこんな時間!帰んなきゃ。」

時計を見たら5時半だった。

「家まで送るよことな。」

「え、いいよ、いいよ。」

そしたら私の家平一君が分かっちゃうじゃん。

「ちぇ。まあいいけど。」

階段をあがったら、

「「じゃーん」」

桃ちゃんなっちゃん!

「何で?」

「だって男子の家行くから気になっちゃて気になっちゃて。」

なっちゃんがいった。でもなんだか怒るきにはなれず。

「あぁーもう今日いろんなことありすぎ。一緒に帰ろ。」

私達はそのまま一緒に帰った。平一君は「ただいま。」といって家に帰っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る