第4話 貝がらいっぱいに願いを
時々キレイな遠くの遠くの砂浜にお姉さまたちと一緒に行くことがあった。その中に貝がらを集めるのが好きな姉さまがいた。願いの叶う貝がらがあるの。本当は遠い世界にある願いを叶えるピンクの花だけどとても集められない。それと同じ名前の貝がらなのよ。姉さまの貝がらのたくさん詰まったビンはとてもキレイで、いつか姉さまのお願いが叶ったらいいなあと思っていた。姉さまはとある日いなくなった。私は知らされなかっただけでもしかしたらどこかこの世界で私みたいに生きているのかもしれない。もしかしたらあの人魚姫みたいに泡になったのかもしれない。私は何も知らない。
あの姉さまのビンのように薄桃色にもえる山と落ちてきた花びらを見た時、私は見つけたと思った。私が生まれてから何年経ったのかわからないけれど、探していたものはこれだったのかと思った。この世界で働きだしてからいろんなことがあった。仕事に行きたくないときもあった。海に帰りたくなることもあった。それでもサクラを見れば元気になれた。サクラの咲かない時期は押し花とサクラ貝が私の支えになった。
いかないで
いきたくない
いく、わかった行くから
いけないんだ
いこうよ、ねえお願いだ
がらがらの声で
ぎらぎらした目で
ぐらぐらと揺れる地面
げらげら笑う声が
ごらごらそんなのない?怒らないで
からからに乾いたのは
きらきらに光ったのは
くらくらするほどの
けらけら笑う声が
こらこらそんなに遠くにいかないで
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