KAC2024、5回目お題は「はなさないで」

   

 また一日遅れになりましたが……。

 昨日お昼に、KAC2024の5回目お題が発表されました。


【3/18 11:59締切】KAC2024 第5回お題「はなさないで」

https://kakuyomu.jp/info/entry/8thanniv_KAC20245


 お題を見た瞬間、少し残念……といったら大袈裟かもしれませんが、肩すかしされたみたいな気持ちになりました。

 前回「ささくれ」について調べたのが面白くて、今回も出されたテーマについて少し勉強してみよう、というつもりだったのです。しかし今回は「はなさないで」! こんなセリフみたいなテーマでは、調べようがない……。


 とりあえず気を取り直して、まずは「はなさないで」から思いつくことを考えてみました。

 前回「ささくれ」から「笹くれ」とか「ささ暮れ」とか、真っ先に漢字を当てはめたりしましたが、あれは少し捻くれた見方。今回の「はなさないで」こそ、まず最初に「どの漢字をあてはめるのか?」と考えてしまうテーマですよね。

 私の頭に浮かんできたのは「話さないで」とか「離さないで」とかだったので、まずはそのまま素直に書いてみました。ストレートに書いたら800文字には足りなくなりそうなほどの小ネタだったので、ああでもないこうでもないと、余計な記述も書き足して……。

 投稿したのは午後1時過ぎだったので、お題発表から約1時間。それくらいで書けたのが、約1,800文字の作品でした。


『「話さないで」と言われたら』

https://kakuyomu.jp/works/16818093073657638162


 あえて友人視点にしたことで、自分としてはそれなりに満足できる作風になりましたが、元々が「ストレートに書いたら800文字には足りなくなりそうなほどの小ネタ」です。これだけで今回のお題を終わらせるのでなく、もっとしっかりした作品も書いてみたい。

 そんな気持ちになったので、すぐに2作品目の構想を考え始めました。


「離さない」で考えてみると、どこかから手が伸びてきてガッシリ掴まれるホラーとか、恋人同士の「離さない」とか。あるいは「子供の手を離さない」「子供から目を離さない」みたいな現代ドラマ。その辺りは定番になるだろう、と思ったので、もっと違う路線を考えてみました。

 例えば「はなさない」がスキルになるような異世界ファンタジーはどうだろう。「話さないで」ならば「言わない」という意味で「見ざる、聞かざる、言わざる」の一つだから、それら三つを合わせた特殊能力とか。

 そうやってファンタジー路線を想像していくうちに「はなさないで」の「……ないで」の部分に着目、何年か前の変身少女もののアニメで「とらないで、あげないで、つぶやかないで」というキャッチフレーズがあったのを思い出して、「変身ヒーロー系で『正体を話さないで』というのもアリだな。女性主人公の変身ものだけじゃなく男性主人公でも『どこの誰かは知らない』とか『誰も知らない、知られちゃいけない』とかあったわけだし」というように、色々と考えが広がったのですが……。

 どれも設定どまり。肝心の物語が思い浮かびません。

 昨日は結局「はなさないで」について考えるのは数時間でやめてしまい、「今回は2作品書こうと頑張るのもやめて、もう最初のやつだけでいいかな?」とすら思うようになりました。

 ところが夜ベッドの中で、ふと思ったのが「『話す』『離す』以外に『放す』もあるし、それならば昔の趣味にも深く関わるぞ」ということ。『放』といえば放流です、釣り好きの人間が真っ先に考えるのは、魚の放流でしょう。

 これはこれで、やはりありがちな内容になってしまいそうですが、でもせっかく「趣味に関わる!」と思ったのだから書いておこう。そんな気持ちから、ベッドの中で物語を考えて、今朝起床後に書いて投稿したのが、こんな作品でした。


『池に魚を放さないで』

https://kakuyomu.jp/works/16818093073697163997


 こうして、今回のお題でも一応2作品投稿することが出来たので、私としてはそれなりに満足です。

 そもそも私が複数作品投稿にこだわるのは、ひとつだけだと心配だからなのですよね。自分ではKACの規定通りに書いて投稿したつもりでも、何かうっかり忘れているのではないか。ひとつでなく複数ならば、そんな「うっかり」の可能性も減るはず……という考えです。

 今でこそ「KACタグをつける」「文字数800字以上」という簡単な条件になりましたが、昔は他にもあったので、余計に「何かうっかり忘れているのではないか」と心配だったようです。


 例えば、私が初めて参加したKAC2020では、文字数には「1200」という下限だけでなく「4000」という上限もありました。

 さらに重要なのは「お題ひとつにつき、1エピソードで投稿された作品」という規定。例えば3,000文字の作品を1,000文字ずつの3エピソードとして投稿したら、それは規定違反だったわけです。

 改めて昔の規定を読み直してみると、どこにも「完結」という指定は書かれていないのですが……。でも「1エピソードで投稿」という条件なのに(続きを投稿できない形なのに)「未完結」で投稿するならば、エタること前提になってしまいますし、だからKACは1話完結の短編投稿イベントなのだと私は認識していました。

 今ではもう、そのような規定もなくなったようですが……。もしかしたら本当に「なくなった」わけではなく、どこかに別の書き方で書かれているのを、私が見落としているだけかもしれない。そんな心配もしてしまうので、念のため私は「KACは1話完結で投稿」というのを基本として続けています。


 まあ自分が書く分にはそれで良いわけですが。

 他の方々の作品を見てみると、もう「1話完結」の必要もなくなった以上、複数話に分割されたり、あるいは未完結のまま投稿されたりというのも、多くなってきたのでしょうね。

 特に今年は「長編への道のり賞」が設定されています。それぞれの回の応募締切ではなく、それを過ぎてもいいから2週間以内で1万字以上になるように、というイベントです。

 これが用意されているのですから、応募締切の時点で「未完結」なのはカクヨム側から推奨されている。続きを書いて1万字以上まで伸ばすためには「続き」が必要なので、1エピソードでなく複数のエピソードになりますし、それもカクヨム側から推奨されていることになります。

 書く側でなく読む側でも、私は短編が好きなのですが、それは「短いから読みやすい」というだけでなく「完結済みが多いから、物語を最後まで楽しめる」というのが大きな理由。元々私の読書の原点が推理小説だったり、最も小説を読んでいた時期に読んでいたのがほとんど推理小説だったりしたせいもあって、とにかく小説は「結末」までわからないと、モヤモヤして楽しめないのですよね。

 だから、そんなモヤモヤのない完結済み短編が好きなのですが……。各回の締切時点で「未完結」が大量発生するような短編イベント。それは「カク」ではなく「ヨム」立場からしてみればあまり嬉しくない仕様であり、その意味ではKACは私の思う短編イベントではなくなったのかもしれない。

 今年のKACイベントに関して、書く側としては楽しみながらも、読む側からはそんなことも考えてしまって……。実は私は、今年はあまりKAC作品を読めていないかもしれません。

   

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