本日11月14日の「カクヨムからのお知らせ」を読んで ――カクヨムコンの読者選考について感じていることを改めて――

   

 本日の「カクヨムからのお知らせ」で出ていた告知ですが……。


【カクヨムコン9】読者選考攻略法を大公開! 読者選考ナシで最終選考に残る方法があるって本当?

https://kakuyomu.jp/info/entry/webcon9_strategy


 実は前回同様、トップページから「カクヨムからのお知らせ」欄を見に行って知ったのではなく、ベルの通知で届いていたので知った、という形でした。

 しかもベルの通知の方に書かれていたのが、


>今回は読者選考以外の方法で最終選考に進むことも可能です。詳細はこちらをクリック!


 という謳い文句ですからね。これに釣られて「お知らせ」を見に行った方々も多いのではないでしょうか。

 まさに私もその一人です。そもそも私は、一応カクヨムコンに応募するつもりはあるものの「どうせ自分は読者選考は苦手だから」というネガティブな気持ちが強いため、最近のカクヨムコン関連の「お知らせ」はスルーしていたほど。そんな私でも釣られるくらい、この『今回は読者選考以外の方法で最終選考に進むことも可能』という謳い文句は魅力的な、大きな釣り針でした。

 なお、肝心の「お知らせ」を見に行く前に「おそらくアレのことだろうな」と思っていましたが、いざ見に行ってみると、やっぱり予想通り。9月28日に今年のカクヨムコン応募要項が発表された際にも印象深かった、特別審査員賞の話題でした。


 こうして改めてピックアップされるのですから、特別審査員賞という「読者選考ナシで最終選考に残れる枠」を新設したことは、今年のカクヨムコンの目玉の一つなのでしょうね。

 とはいえ、この機会に再度この特別審査員賞について考えてみると……。


>各部門3名ずつ特別審査員が配置されており、3名それぞれが1作品ずつ推したい作品を選出します。


 ということは、それぞれの部門で通過できるのは3作品のみ。それも「特別審査員たちで3作品を選ぶ」ではなく「それぞれの特別審査員が1作品ずつ選ぶ」なので、それぞれの特別審査員に「これが1番!」と思ってもらわないといけません。

 ……よくよく考えてみると、これって本当に狭き門ですよね。「各部門3作品まで」と言われたら、一見「特別審査員が選ぶ3番目まで」と感じてしまいますが、実際には1番目だけ。まあ「3番目まで」でも十分に狭き門ですけれど、それでも「1番じゃなきゃダメ」よりは「3番目でもOK」の方がグッと可能性ある気がします。しょせん気のせいなのでしょうが。


 ところで、もしも特別審査員それぞれの「1番目」が重なってしまった場合はどうなるのでしょうか?

 例えば特別審査員Aさんが作品X、特別審査員のBさんとCさんが同じ作品Yを選んだ時、そこでBさんあるいはCさんにカクヨム側から「重なったから違うの選んで」と頼むとしたら『3名それぞれが1作品ずつ推したい作品を』ではなくなってしまう。しかも「Cさんのイチオシと重なったから、Bさんは2番目を」と言われたらBさんは「俺よりもCが優先されるのか?」と気を悪くするかもしれないし、逆もまた然り。

 だからといって「その部門の特別審査員賞は作品Xと作品Yの2作品のみ」としてしまうと、今回の「特別審査員賞とは?」欄にある記述『1部門3作品(合計21作品)選出』と矛盾してしまう。もしも『1部門3作品(合計21作品)選出』でなく『1部門3作品(合計21作品)選出』という書き方ならば、そんな「矛盾」もなくなるのですが……。

 第三者的として傍から見る分には、ちょっと興味深い点ですね。1作品あるいは2作品しか選出されない部門が出てくるかどうか、というのは。


 ……と、少し話が逸れたので、今回の「お知らせ」で印象深かった点に話を戻します。

 ページの下の方に、こんな記述がありました。


>「読者選考では惜しくも見逃されてしまっていた良作と出会いたい」

>そんな想いで今回、特別審査員賞を設けました。

>これまで「読者選考があるから」とカクヨムコンに対して高い壁を感じられていた皆さま、今年はぜひ特別審査員賞を狙って参加してみませんか?


 これを読んで私が感じたことは二つあって……。

 まず第一に『読者選考では惜しくも見逃されてしまっていた良作と出会いたい』の部分。これ、文面だけ読めば凄く良いことを言っているのですよね。でもこれを見た瞬間、私は「それでもカクヨムコン運営側としては『一次選考に手間暇かけたくない』というスタンスは変えない」という強い意志を感じてしまったのです。

 だって単純に考えて「読者選考だけでは『惜しくも見逃されてしまっていた良作』が出てくるかもしれない。それを防ぎたい」というのであれば、読者選考とは別に、自分たちでも作品に目を通せば確実。実際、カクヨムコン短編の選考方法は毎年「読者選考によるランキングを参考に、カクヨム編集部による一次選考」なのですから、この「読者選考とは別に、自分たちでも作品に目を通す」をやっているはず。

 でも長編では、それをやらない。たとえ「惜しくも見逃されてしまっていた良作」が出てくるとしてもやらない。やらないけれど「惜しくも見逃されてしまっていた良作」は拾いたい……。

 そう考えた結果、カクヨムコン運営は「自分たちが読まずに、外部から別の審査員を用意すればいいではないか!」と思いついたのですよね。それが今回の特別特別審査員。


>特別審査員は、カクヨム公式レビュワー(特集ページでレビューを執筆いただいているライターの皆さま)と運営が指名する作品の発掘力の高いカクヨムのプロ作家ユーザーが務めます。


 という書き方を見る限り、「カクヨム公式レビュワー」も「カクヨムのプロ作家ユーザー」も「カクヨム」という単語が含まれているので一見カクヨム関係者っぽく感じますが、おそらくどちらもカクヨムコン運営には関わっていない、外部の方々なのでしょうね。

 考えてみれば、そもそも読者選考というシステム自体、いわば読者全体を一次選考の下読み審査員にするわけで、運営側から見れば、自分たちとは別の外部の人間に一次選考を任せる方式。

 こうして考えてみると、特別審査員も読者選考も「カクヨムコン運営側が一次選考に手間暇かけず、一次選考の段階ではラクをするシステム」という意味では共通しているのだな、と改めて感じたのでした。

 まあ「ラクをするシステム」という表現では「手を抜いている」みたいなネガティブなニュアンスが強くなるかもしれませんが……。

 これはこれで、逆に良い意味でのカクヨムコンの特色なのだろう、と私は感じています。「カクヨムコン全体で運営側がラクをする」ではなく、あくまでも「一次選考の段階でのみ、ラクをする」ですからね。

 一次選考という書き方をしてしまいましたが、正確には中間選考なので、その次は最終選考。つまり一次選考の段階でラクをした分、カクヨムコン運営は、最終選考では手間暇かけて選考できるようになる。それがカクヨムコンの大きな特徴の一つなのだろう、と私は感じています。

 いや、例えば他サイトのコンテストでも、もちろん最終選考は大切ですから、それなりに力を入れて審査しているはずですよね。でも割けるリソースなり人員なりは有限なわけで、ならばカクヨムコンみたいに「最終選考のみに全力!」というのと「一次選考から運営側が自分たちで真面目に選考」というのとでは、最終選考に投入できる力も違ってくるはず。「一次選考の段階は0%」のカクヨムコンの方が「最終選考100%」になるだろう、と想像します。

 私がこんなことを考え始めたのは、ひとつには「カクヨムコンは他のコンテストに比べてアマチュアの受賞率が高い」みたいな話をどこかで読んだ影響です。私自身あまり受賞作家のお名前をチェックしたりはしないのですが、他サイトのコンテストでは結果発表後に「また書籍化作家が受賞していた!」「今回も常連ばかり!」みたいな嘆きを目にすることもありますし、逆にカクヨムコンでは「カクヨムコンで受賞して書籍化デビュー!」みたいなニュースもよく見る気がします。

 ならば「アマチュアの受賞率が高い」の理由は何なのか。最終選考の段階で書籍化実績みたいな作家自身のネームバリューを加味せず、選考委員が作品そのものに真摯に向き合ってくれるからではないだろうか。でも、だとしたら何故ほかのコンテストでは「選考委員が作品そのものに真摯に向き合う」が出来ず、別の要素に頼ってしまうのか……。

 ふんわりした自分の頭の中を言葉にして詰めていくと、おそらくこんな感じでしょうね。「カクヨムコン長編は中間選考を読者任せにして、選考委員は最終選考だけしか仕事しないからこそ、最終選考で全力で作品に向き合えるのだ」みたいな。

 そんなわけで、読者選考というシステムを含めて、私はカクヨムコンの長編部門を素晴らしいコンテストだと思っています。今回の「読者選考では惜しくも見逃されてしまっていた良作と出会いたい」という言葉から、改めてそれを感じたのでした。


 ただし。

 この「素晴らしいコンテストだと思っています」というのは、あくまでも傍観者的に見た場合であって……。

 いざ自分が応募しようと思ったら、全く良いコンテストではない! いや別に「悪いコンテスト」と言いたいわけではなく、自分には向いていないコンテストだろう、という話です。

 上で述べたような「カクヨムコンの素晴らしさ」は読者選考を通過した後で初めて意味を持つ側面ですから、読者選考を通過する自信のある方々にとっては良いのでしょうけど、私みたいに「読者選考を通過する自信はない」どころか逆に「読者選考は通過できないという確信がある」という人間にとっては、とても「向いていないコンテスト」になるわけです。

 でも、おそらく「読者選考を通過する自信はない」とか「読者選考は通過できないという確信がある」とかの気持ちは、私だけではないのですよね。

 先ほどの『まず第一に』に対応して、これが「第二に」の部分となります。

 今回の「お知らせ」の最後の方で、


>これまで「読者選考があるから」とカクヨムコンに対して高い壁を感じられていた皆さま


 と書かれているほどですからね!

 ああ、私だけではないのだ。同じような仲間がたくさんいるのだ……。

 そんな安心感を抱きました。


 とはいえ。

 同じ『「読者選考があるから」とカクヨムコンに対して高い壁を感じられていた皆さま』だとしても、それぞれ具体的に感じている「壁」は微妙に違うはず。

 良い機会だから「私の場合は、こういう理由で読者選考は無理」というのを披露してみようかと思ったのですが……。

 長くなったので、それはまた後日。他にエッセイとして書くべきニュースなどがなければ次回、ほとんど「改めて自己紹介」みたいな話になってしまうでしょうが、自分なりの「読者選考は苦手」を書いてみる予定です。

   

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