2023年3月

KAC2023スタート!

    

 昨日から3月になり、カクヨムでは「カクヨム誕生祭2023」が始まりました。

 既に開設されている特設ページとは別に、以下のような「カクヨムからのお知らせ」も昨日告知されて、


本日開幕!カクヨム7周年記念「カクヨム誕生祭2023」【~3/31】

https://kakuyomu.jp/info/entry/kakuyomu_7thaniv


 それぞれの企画について簡潔にまとめてくれています。

 毎年3月のイベントというイメージなので、つい私は「カクヨムは3月生まれ」と思ってしまいますが、この「お知らせ」にも書かれているように、正確には『2016年2月29日にオープン』なのですよね。

 実際、私が初めて参加した誕生祭は2020年で閏年だったので、3月1日ではなく2月29日スタート。KAC2020の最初のお題も「四年に一度」であり、それを強く意識させるものでした。

 そして翌年、KAC2021の最初のお題は「おうち時間」。コロナ禍という世情に絡んだものでしょうし、KAC2022の一発目「二刀流」もおそらく時事ネタの一種。

 そうやって考えていくと、毎年最初のお題は印象深いもののはずであり、今年はどうだったかというと……。


「本屋」!


 これはこれで「ああ、なるほど」と思いました。

 カクヨムといえばKADOKAWAですし、KADOKAWAといえば出版業界。本屋とは切っても切れない関係であり、その意味でカクヨムらしいお題だと感じたのです。


 ユーザー側から見ても、そもそも小説投稿サイトにどっぷりひたっている時点で、書いたり読んだりが好きなはず。たとえ「最近は忙しくなって本屋から遠ざかっている」という人でも「かつては本屋に足繁くかよっていた」という時期があるのではないでしょうか。

 その意味では身近なものであり、色々と発想しやすいお題かもしれませんが……。

 私はちょっと困りました。

「本屋」を見てまず頭に浮かんできたのが、自分の実体験みたいなもの。エッセイとして書くのは簡単でしょうけど、小説にするのは難しいな、と感じてしまったのです。

 もちろんルール的にはエッセイでも構わないのですけど、でも自分自身に課した制限として、なるべくエッセイは避けたいのですよね。だってエッセイならば、それぞれのお題について「こんなことを考えました」でも書けてしまうから、それでは簡単すぎる。せっかくお題をいただいている以上は小説を書きたい。

 また、とても個人的なこだわりとして、あとで自分の作品リストにまとめる際「【短編】カクヨム誕生祭のために書き下ろした作品」という項目に入れたいのに、そこは小説作品だけだから――エッセイは別ページになるから――、その意味でもエッセイは嫌。

 まあ実際には、自分の実体験を元にして、限りなくエッセイに近い小説を書いてKACに参加したこともあるのですが……。

 今回の「本屋」は、ちょっと物語化できるような経験談もないなあ、と思ったのでした。


 そもそも私は「今でも頻繁に本屋へ行く」ではなく「かつては本屋に足繁くかよっていた」の方です。

 小学生の低学年の頃は、子供向けのルパンや二十面相を小学校の図書室や公立の図書館などで借りて読み、4年生くらいになってから角川文庫の横溝正史や江戸川乱歩を読むようになりました。「角川文庫の横溝正史や江戸川乱歩」は大人向けの文庫本という認識であり、小学校の図書館にはありませんから、この辺りから本屋での購入が増えてきました。

 その後、小学5年生か6年生くらいから翻訳物の海外ミステリを読むようになって、角川文庫でなくハヤカワ・ミステリ文庫や創元推理文庫がメインになると、ちょっと大きな本屋へ行かないと品揃えが悪くなる。

 幸いなことに中学高校の6年間は電車通学で、途中に池袋という大きな駅もありましたから、そこで途中下車すれば大きな書店に立ち寄ることが出来ました。当時は池袋のジュンク堂はなかったのですが、西武百貨店の本売り場が広くて色々置かれていたので、そちらにかよったものでした。

 大学生になって京都へ引っ越しする際、荷物として送った文庫本が確か七百冊くらい。これが十代の頃に買って読んだ本と思えば、多すぎるわけでもなく少なすぎるわけでもなく……という程度でしょうか。

 これが大学生になるとガクッと読書量が減って、でも京都市内には北の方に夜中まで営業している本屋があったので何度か行きましたし、繁華街である四条には大きな書店があったので、そちらもよく行きました。


 そんな学生時代と比べると……。

 最近では本の購入は少なくなり、しかも書店とネット通販が半々くらい。

 今住んでいるところは関東、ただし東京ではなく隣県なのですが、一番近くの本屋は駅前のスーパーの四階。うちから徒歩15分くらいですが、いつのまにか半分が中古本コーナーになっていました。

 少し前に「自分の短編が河出書房新社の『5分シリーズ』に収録される」と決まった際、その本屋まで行き「『5分シリーズ』がどこに置かれているか」を確認しようとしたことがあります。いざ自分の作品を収録した本が売り出されたら、すぐに買いに行けるように……みたいな気持ちですね。

 ところが河出書房新社の「5分シリーズ」どころか、カドカワ読書タイムの「5分で読書」シリーズも見つからない。そもそも児童文庫のコーナーはあっても、新書の児童向けのコーナーがない!

 そんなバカな、と思いましたが、色々歩き回ってみたらラノベのコーナーすら漫画コーナーの隣の棚ひとつ。以前に同じ本屋で私が最近のラノベを購入していた頃は、もっとラノベコーナーも大きかったのに……。

 逆にいえば「以前に私が購入していた頃は」というように、そこで本を買う客が減ったからこそ、色々と縮小。中古本がメインになったのですね。


 それから少し後。

 うちから西へ20分ほど歩いたところにも本屋があり、そちらはそこそこ広い本屋だという記憶があったので行ってみたら……。

 いつのまにか店の名前が変わっていました。

 どうやら私が以前に何度か利用した書店は撤退して、その跡地に別の書店が入っていた様子。でも今度の本屋も私が初めて入って時点で「今年の3月に閉店」という貼り紙がありました。

 とりあえず「そこそこ広い本屋」なので児童書のコーナーも用意されており、例えばカドカワ読書タイムの「5分で読書」シリーズは置いてありましたし、他社の同様の――やはり「5分」という言葉がタイトルに含まれている――シリーズも色々ありましたが、肝心の河出書房新社の「5分シリーズ」は全くない!


 さらに少し経って、発売日まで半月くらいになった頃。

 南の方にあるモールまで車で買い物へ出かけた際、そこにも本屋があったので立ち寄ってみました。

 きちんと児童書のコーナーもあり、色々な出版社の「5分」の間に、河出書房新社の「5分シリーズ」も挟まっていました。

 ならば、ここへ買いに来ればいいのか。でも徒歩では来られない場所だから、ちょっと不便だなあ。

 そんなことを考えました。

 ちなみに「買い物」の用件の一つは、久しぶりにシャツやパンツなどの下着をまとめて買うことだったのですが、私が「そこそこ安くて、そこそこ品が良い」と思っていた服屋に入ると、レジのところに「3月で閉店」という注意書きがありました。

 親切なことに、近隣にある同系列の服屋の案内も掲示されていましたが、近隣といっても少し遠い感じ。購入の際、その掲示を見ていたら、店員さんに「他に新しく、近くで出店するところもあって……」とさらに同系列の服屋を勧められましたが、そこも私にとってはそれほど「近く」ではありませんでした。


 少し話が逸れましたが、肝心の「本屋」の件に戻すと。

 先ほど発売日云々の話をしたように、先週の土曜日、収録されている短編集の発売日当日になったので、西へ20分の本屋まで再び行ってみました。

 さすがに発売日当日ならば入荷しているかもしれない、と思ったからです。

 実際、他社の「5分」に挟まれる形で、河出書房新社の「5分シリーズ」も新発売のふたつが1冊ずつ、児童書コーナーの棚に差さっていました。

 まあ目的の本があったのは嬉しいですし、自分の小説が収録された本を本屋で見るというのも初めての経験であり、それも感動したのですが……。

 せっかくの新刊でも、こんな扱いなのですね。新刊コーナーに平積みとかではなくて。ちょっと現実に拍子抜けする感覚もありました。

 なお1冊しかないのを私が買ったら他の人が買えなくなるので、購入は躊躇しました。そもそも発売3日前に「エブリスタ」から献本は送られてきているので、読むだけならばそれで事足りるのですが、せっかくなので保存用にもう1冊もっておきたい。その程度の気持ちで買いに来ていたのです。

 そして、この「西へ20分の本屋」からさらに西へ10分くらい歩くと別の小さなモールもあるので、そこの本屋もチェックしよう。そう思って西へ向かったのですが……。

 その「別の小さなモール」に行ってみたら、本屋そのものがありませんでした。モールならば本屋くらいあるだろう、というのは私の思い込みに過ぎなかったのですね。

 結局その日は「西へ20分の本屋」まで戻ってきたところで、1冊しかない本を買って帰りました。


 それから3日後の火曜日。別の言い方をすれば、KACスタートの前日。

 今度は「南の方にあるモール」まで歩いて行ってみました。車でないと行けない距離かと思ったら、それほどでもないようで、実際には徒歩35分。

 以前に「ここならば河出書房新社の『5分シリーズ』も扱っている」と確認済みの本屋です。もう購入済みなので、ただ「売っている」のを見に行くだけでしたが「たくさんあったらもう1冊くらい買っちゃおうかな」という気持ちも少しだけありました。

 発売3日後なので当然ありましたが、ここでも「新刊コーナーに平積み」みたいな話はなく、普通に棚に1冊ずつ差さっていただけ。

 こんなものなのですね、発売日や発売直後でも。

 なおこの本屋の場合、私の作品が収録された書籍の周りには、河出書房新社の「5分シリーズ」だけでなく当然他社の類似のシリーズもたくさん置かれており、棚の上に『朝読書にぴったり 3分・5分の短編物語です』という貼り紙がありました。文字だけですけど、一応はポップのたぐい? それともイラスト無しではポップとは呼ばない?

 いずれにせよ「5分程度で読める児童向け短編集を少し推してくれている」と思えば、それだけでも良心的な本屋さんであり、そうした中に「自分と関わりある本」も置かれているのは幸せなこと。そう思いながら、また結構な距離を歩いて帰ってきました。


 そんな感じで最近、珍しく少し書店巡りをしたばかりでした。

 まあ「自分と関わりある本」という書き方をしたように、私の作品単独での書籍化ではないので「自分の本」ではないのですよね。著者名は「エブリスタ編」となっており、私の名前は一切表紙には出てきません。

 それでもこうして書店巡りをしたくなるほど嬉しくなってしまうのですから、もしも書籍化なんてしたら大変でしょうね。徒歩だけではなく電車にも乗って、わざわざ都会の大きな本屋まで行くかもしれません。


 ……というような経験の直後だったので、今回のお題「本屋」を見て、考え込んでしまいました。

 こんな感じでエッセイにするならば簡単ですが、これ下手な書き方したら書籍収録を自慢する話みたいに思われるかも? あるいは「書籍化でなく書籍収録なのに、そこまで舞い上がってしまうのか」みたいな笑い話?

 いずれにせよ、うまくオチをつけるのが難しそうです。「うまくオチをつけるのが難しそう」ということは、少しのフィクションを加えて現代ドラマに変換したところで、やはりオチに苦労するでしょうね。

 とりあえず、昨日の水曜日は昼食が早かったので、お題を見た時点で私の食事は終わっていました。「本屋」というお題について色々考えながら、食器を洗ったり、用事があって少し出かけたり。

 パソコンを開いてようやく書き始めることが出来たのは午後1時過ぎでしたが、洗い物しながらでも歩きながらでも構想だけは練れたので、その間に物語の方向性は決まっていました。

 とりあえず上記の体験談から離れる意味でも、思いっきりフィクションにするならば、本屋を舞台にしたホラーか恋愛ものにすれば良い。そう考えたら浮かんできたのが、こんな物語でした。


『ツンドクなアタシが通う本屋さん』

https://kakuyomu.jp/works/16817330653862288338


 元々「恋愛」で考えていたのに、投稿直前に少し悩んで「現代ドラマ」ジャンルに変更しました。

 なおキャッチコピーは「アタシが通う本屋さんが閉店するという。大変だ!」なのですが、他の方々のタイトルやキャッチコピーだけザッと眺めただけでも、閉店ネタは結構あるようですね。

 やはり皆様、近くの本屋が閉店していくというのを経験しているのでしょうね。

 私の場合、先ほど長々と書いた体験談のうち「3月で閉店という貼り紙」とか「(現実では本屋でなく服屋だったが)閉店間近の店で、店員から系列店を勧められる」とかの部分を、物語に活かす形になりました。

 投稿したのが午後2時過ぎだったので「構想1時間、執筆1時間」という感じでしょうか。今後もこれくらいのペースで書いていきたいですね!

   

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