複数サイト登録の失敗談(前編)
今回はカクヨムとの関連が薄い話になってしまいます。
他サイトの比較……というのとも少し違うかもしれませんが、複数サイトを利用する上での経験談です。広い意味ではこのエッセイの趣旨に合うのではないか、と考えて、ここで書くことにしました。
前にも述べたと思いますが、私は現在、7つの小説投稿サイトに登録しています。
カクヨムユーザーの中にはカクヨムだけ使っているという方々も多いでしょうし、あるいは他に1つか2つくらい――例えば「小説家になろう」とか「アルファポリス」とか――と併用している方々もおられることでしょう。
併用するとしても精々3つか4つ程度で、私みたいに「7つ」というのは多すぎる方ではないか、と想像しています。
私の中で、複数サイト登録のメリットは、作品を読んでもらえる場所を増やすこと。とにかく読者の方々の目に留まる機会を増やそう、という方針です。
まあ最初はそれだけでしたが、最近では出来る限り多くのコンテストに応募してみたいから、というのもありますね。
コンテスト応募者の中には「最終的に受賞しなければ、途中選考なんてどこまで通過しようと同じ」と考える方々も多いようですが、私はとりあえず一次選考に通過するだけでも嬉しいタイプ。それどころか、たとえ結果は落選でも「コンテストの結果発表を待つ」というだけで、なんだかワクワクできるのです。
そうなると「出来る限り多くのコンテストに応募してみたい」となりますし、特に小説投稿サイトで行われているコンテストに応募するのであれば、その分だけたくさんの小説投稿サイトに登録しておく必要があるわけです。
逆に、複数サイト登録のデメリットは何でしょう?
私はあまりデメリットを感じていないのですが、よく聞く話としてパッと思い浮かぶものが二つあります。
まず第一に、管理が大変になるという話。連載作品の更新の際、あっちのサイトにもこっちのサイトにも投稿する必要が出てくるので、そのサイト数が増えれば増えるほど煩雑になる。更新作業だけで多大な時間を費やすことになるのですね。
でも私の場合、あまり「連載作品の更新」というものがありません。もちろん定期的に更新している超長編――現時点で150万文字超え――もありますが、それはひとつのサイトだけで、重複投稿はしていません。
私の作品は短編がほとんどで、中編や長編もありますがその多くは完結済み。若干の例外はあるものの、原則としてどこかひとつのサイトで完結させた後、適当な時期に他のサイトへ転載するようにしていました。これならば「複数のサイトで同時に更新」がないので、それほど大変ではないわけです。
第二のデメリットとして、読者の分散を挙げる方々もおられます。特にカクヨムロイヤルティプログラムみたいに「読者数に応じて収入が得られる」というサイトを利用していると「そのような制度のないサイトで読まれても一文の得にもならないから、収入にならないサイトで読まれるのは避けたい」と考える作者も出てくるようです。
しかしこれに関しても、私の場合は気にするほどではありません。元々たいした金額ではないですから、別のサイトで読まれた分カクヨムで読まれるのが少なくなりリワードが減るとしても、しょせん微々たるもの。「少しでもリワードの
……というようなことを、これまで考えていたのですが。
つい最近、複数サイトに登録していたが故の失敗を、ついに私もやらかしました。
先日の日曜日の朝の出来事です。
その日は午後から出かける用事があり、朝食の後「もう一眠りしておこう」と思っていました。
ベッドに入り直して、ノートPCで適当に色々なサイトを見て回るうちに、自然に眠くなるだろう。
そう考えて実践していたのですが……。ふと「そういえば、しばらく見に行っていない小説投稿サイトがあったな?」と思い出しました。このエッセイでも以前に何度か話題にした「ステキブンゲイ」というサイトです。
しばらくチェックしていなかったので、その間に、気軽に応募できそうなコンテストが開催されているかもしれない。そんな期待からステキブンゲイを見に行きました。
カクヨム同様トップページの目立つ位置に「お知らせ」がいくつか掲載されているのですが、ステキブンゲイの場合は最新の「お知らせ」に加えて、開催中のコンテストなど比較的重要なお知らせが優先的に掲載されるシステムのようでした。実は以前に、その「お知らせ」欄でたまたま目にした短編コンテストに応募して、最終的に受賞できたことがあったので、その再現を狙う気持ちがあったのですね。
ただし以前に受賞できた時のコンテストは、応募作品数が50に満たなかったような、本当に小さなコンテストです。実質的にはコンテストというより公式企画でしょうか。でも当時の私は、コンテストと名のつくもので受賞するのは初めてだったので、たいそう嬉しかったものです。
……と、昔のことを少し思い出しながらステキブンゲイのトップページを見てみると。
それらしき告知が4つ並んでおり、コンテスト関連は3つでした。そのうち2つは短編コンテストではなく、しかも開催されることは既に知っていたコンテスト。「どうせ応募しないから」と考えて、あまり意識していなかったコンテストです。
そして、残りの1つ。それが最新のニュースらしく、一番上の目立つ位置にありました。既に終わったコンテストに関する告知だったのですが、トップページに出ていたのは「『ステキブンゲイ×あるあるジャパンコラボ』コンテスト 映像化優秀作品公開!」という文言。
それを目にした途端「もう一眠り」どころではなくなりました。慌ててそこをクリックして、お知らせ本文を読みに行きました。
なぜならば、この「『ステキブンゲイ×あるあるジャパンコラボ』コンテスト」こそが、先ほど述べた『以前に受賞できた時のコンテスト』。私にも深く関わるお知らせだったのです!
優秀賞5作品という予定で、結果的に3作品が選ばれたコンテストです。だから「映像化優秀作品公開」というのは「映像化した中で優秀な作品を公開」ではなく「映像化されたのが優秀賞の作品で、それを公開」という意味のはず。つまり「私の作品も映像化されて公開されている」という意味になります。
とはいえ「映像化」という言葉自体に驚きはありませんでした。
2021年3月に終了したコンテストで、結果発表が同年9月。コンテスト名に「あるあるジャパンコラボ」と含まれているように、俳優の方々が開設しているYouTubeチャンネル「あるあるジャパン」と共同のイベントでした。
ショートドラマを公開しているチャンネルなのでショートドラマ化する原作を募集している、という話でした。つまり、最初から映像化されること自体が賞品のコンテストだったのです。
私のような素人作家の小説を俳優の方々に演じていただける機会なんて、滅多にないでしょう。だから受賞した際は大喜びで、Twitterやコンテスト関連のエッセイなどでも「ドラマ化されます! 楽しみです!」と大はしゃぎしていました。
しかし、コロナ禍などの影響もあって、どんどん撮影予定が遅れていきます。
受賞後の連絡の中では、撮影予定の脚本をいただいたりもしました。まず自分の小説を基にして脚本を書いていただくこと自体が初体験であり、これも興味深い経験でした。
小説とドラマ、それぞれ媒体が異なる分、色々と違いも出てくるのですよね。第一稿の時点でもそうでしたが、第二稿になるとさらに……。「なるほど、それは良いアイデアだ。小説の時点で、そうするべきだった」と思えるようなポイントがあったり、逆に「ドラマだからこそ変えざるを得ない」という部分もあったり。特に後者に関しては、脚本を書いてくださった監督の
それまで漠然と「文章と映像は違う」と思っていましたが、おそらく同じ映像作品でもアニメとドラマはまた違うのでしょう。アニメならば背景を描きさえすればどんな場所も物語の舞台に出来ますが、ドラマの場合は撮影できる場所しか使えないですからね。そういう苦労までは、今まで頭が回っていませんでした。今後は原作と大きく異なるテレビドラマを見ても「ドラマだから仕方ない」と温かい目で視聴できそうです。
そんな感じで、ドラマが完成するのを今か今かと待っていました。コンテスト受賞結果の公式発表のページでも、私の作品の撮影予定は2番目と書かれていたのですが……。
いつまで経っても「撮影が終わりました」という連絡は届きません。まあ連絡が届かないこと自体は「いちいち連絡してこないのだろう」とも思いましたが、肝心のYouTubeチャンネル「あるあるジャパン」のTwitterアカウントをチェックしていても、それらしきツイートが出てきません。
そのうちに、その『YouTubeチャンネル「あるあるジャパン」のTwitterアカウント』が終わってしまいました。Twitterのアカウントがなくなるのではなく、YouTubeチャンネル「あるあるジャパン」の方が変わる、というツイートがあったのです。
YouTubeのチャンネル自体は残ったまま、チャンネル名と内容が変わるという話でした。
そうなると、私の作品のドラマ化という話はどうなるのでしょう?
元々ショートドラマを公開するチャンネルだからこそ、ドラマ撮影の予定だったのですよね、それが「ショートドラマを公開するチャンネル」でなくなってしまえば、もうドラマ化の話自体が立ち消えでしょうか? あるいは、チャンネル名は変わっても、ドラマ動画自体はそこで公開されるのでしょうか?
後者の可能性も考えましたが、あまり期待は出来ないだろう、と思っていました。とりあえずステキブンゲイの方からの連絡も途絶えていましたからね。
ドラマ化云々はコラボ先の話であり、ステキブンゲイの側では既に終わった案件なのだろう。そう想像していました。
このままドラマ化の話が消えるとしても、上述のように脚本をいただいた段階で色々貴重な経験も出来たから、それだけで満足しておこう。そんな気持ちでした。
ただ一つ気になるのが、受賞直後に「ドラマ化されます! 楽しみです!」と大はしゃぎしたこと。私の大はしゃぎを見ていた方々から「あれってどうなりましたか?」と聞かれた場合に恥ずかしいなあ、という気持ちです。
このように、すっかり諦めていた話だったので「既に動画は完成していた」「それどころか既に公開されている」と知り、たいそう驚いたわけです。
今さらステキブンゲイのTwitterアカウントをチェックすると、同様の告知ツイートが11月1日に出ていました。半月以上……というより、3週間近く前の話です。
元々「ドラマ化されます! 楽しみです!」と大はしゃぎしていた頃は、動画公開されたらTwitterや近況報告などで大々的に宣伝しよう、と考えていました。でも公開からこれだけ時間が経つと、もはやそのタイミングを逸した気分です。
私の小説のドラマ化なんて、これが最初で最後の出来事だろうに、せっかくの唯一の機会が……!
こんなことならば、もっと頻繁にステキブンゲイのサイトをチェックしておくべきだった! そうすれば「私の作品がドラマ化されました!」と大騒ぎ出来たのに……!
これが大きな後悔です。私自身のミスですね。
そもそもステキブンゲイは、私から見れば「小さなコンテストとはいえ、一応は受賞させていただいた」という小説投稿サイトです。受賞後のあれこれが終わっていなかったのであれば、それこそ優先的にチェックするべきところでしたよね。
コンテスト受賞自体が滅多にない話なので、状況的に同じような失敗談は起こりにくいと思いますが……。
複数の小説投稿サイトを併用している場合「登録しているサイトは全てこまめにチェックしましょう」というのが、今回の教訓でした。
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