サポパス開始に関連して ――他サイトと比較する形で――(前編)
前回のエッセイ記事で記した通り、カクヨムでは「カクヨムサポーターズパスポート」が始まりました。
それに関連して、カクヨム以外の話をしようと思います。本当は「他サイトとの比較」という意味で12月くらいに書きたかった話なのですが、その時はカクヨムコンの真っ最中だったので遠慮しているうちに、ずるずると2月になって……。ちょうどカクヨムでもサポパスが始まったわけです。
そもそもカクヨムサポーターズパスポートは、仮称段階では「カクヨムロイヤルティプログラム第二弾」と呼ばれていたように、カクヨムロイヤルティプログラムと同じ方向性のものです。
従来のカクヨムロイヤルティプログラムは広告費還元という形、今回のサポパスはギフトという形ですが、どちらも「書籍化作家にならずとも、小説を書くことでお金が得られるようにしよう」という試み。その方向性は共通しています。
ただし、このような「プロ作家ではなくアマチュアでも、趣味として小説を書くだけでお金が得られる」というシステムは、カクヨムの専売特許ではありません。小説投稿サイトの最大手であろう「小説家になろう」にはありませんが、その他のいくつかの小説投稿サイトでは行われています。
具体的な方法としては、他の小説投稿サイトの場合でも、従来のカクヨムロイヤルティプログラムと同じく広告費還元だったり、今回カクヨムで導入されたサポパスのギフトと同じように投げ銭だったり。
その二つがメインだと私は感じていました。
しかし、それ以外の方法で「小説を書くことによりお金を稼ぐ」という手段を提供しているサイトもあります。私が登録しているサイトの中では、例えば「エブリスタ」のシステムです。
このエッセイで以前に話したかどうか定かではないので、詳しく書いておきますが……。
「エブリスタ」で作品を投稿する際、編集画面の「管理・設定」のページをよく見ると、「シリーズタグ設定」(カクヨムでいうところのコレクション設定)の下に「有料販売設定」という項目があります。
投稿作品をユーザー自身の判断で有料販売することが出来る、というシステムです。
ポイントは「ユーザー自身の判断で」というところですね。以前に説明した「ノベリズム」の契約作品は、サイト側で販売する作品を決定するシステムなので、あれとは明らかに異なります。
私は今まで「エブリスタ」で自分の小説を売る気は無く、今後も予定していないので、この有料販売システムには詳しくないのですが……。こうしてエッセイとして記すにあたり、改めて「エブリスタ」の「有料販売設定」のところを見てみたら、どうやら販売価格は約40円から約2000円まで、もちろんユーザー自身が設定できるようです。
サイト上でユーザーが自身の小説を有料販売する。これが出来れば、そして買ってくださる読者がいるのであれば、一番確実に稼げる方法でしょうね。ただし広告費還元や投げ銭ほどメジャーなシステムではなく、例えばカクヨムでは導入されることもないだろう、と私は最近まで思っていました。
ほら、カクヨムならば、BOOK☆WALKER個人出版との連携があるでしょう? 2018年5月16日なので私がカクヨムを使い始めるより昔の「カクヨムからのお知らせ」になりますが、そこでは、
>カクヨムで書いた作品を簡単に電子書籍化、BOOK☆WALKERにて販売できるようになりました。
と記されています。カクヨムに投稿した小説を簡単に電子書籍として販売できるのであれば、わざわざカクヨムのサイト上で有料販売する必要はないわけです。
なお先ほど「私は最近まで思っていました」と記したように、これは『最近まで』の考えです。今現在は少しだけ「広告費還元、ギフト導入の次は、カクヨムでも有料販売できるようになるかもしれない」と思っています。
そう思い始めた理由は2つ。小さい方の理由は、2月7日つまり約2週間前の「カクヨムからのお知らせ」です。
BOOK☆WALKERとカクヨムの連携機能「著者センター for カクヨム」が終了しました
https://kakuyomu.jp/info/entry/2022/02/07/120000
どうやら、今までほど簡単にカクヨム作品を電子書籍化できなくなったようです。私が考えていた「わざわざカクヨムのサイト上で有料販売する必要はない」の根拠が一つ消えた形ですね。これは将来、電子書籍ではなくカクヨムそのもので小説を販売可能にするための布石なのかなあ、と穿った見方をしてしまいます。
とはいえ、あくまでも『穿った見方』に過ぎません。先ほども述べたように、こちらは『小さい方の理由』。
では、大きい方の理由は何かというと……。
最近になって、私が知るだけでも2つの小説投稿サイトで、「エブリスタ」のような有料販売システムが導入されたからです。
正確な時期としては、11月25日と12月1日。ちょうどカクヨムでは、当時「カクヨムロイヤルティプログラム第二弾」と呼ばれていたサポパス導入に関して、何度もお知らせが出ていた頃ですね。
投稿作品の有料販売と、サポパスのような投げ銭システム。具体的な手段は異なるとしても、創作活動による収益化を支える、という根っこの方向性は同じでしょう。
最大手である「小説家になろう」だけは違うようですが、基本的に小説投稿サイト全般で「書籍化作家にならずとも、小説を書くことでお金が得られるようにしよう」という流れになっているのではないか。
この冬、色々と重なったことで、そんな流れを強く感じるのでした。
特に有料販売に関しては、私が利用している7つの小説投稿サイトのうち今までは「エブリスタ」だけだったのが、一気に3つに増えましたからね。今後はこれが広告費還元、投げ銭に続いて、第三のメジャーな手段になるかもしれない、と思ってしまいます。そうなると「いつかはカクヨムでも……?」と考えてしまうわけです。
これで今回の主題はだいたい終わりですが、せっかく『他サイトと比較する形で』というサブタイトルをつけたので、もう少し具体的に書いてみましょう。
先ほどは『11月25日と12月1日』という形で日付だけ記しましたが、まず11月25日の方は「ステキブンゲイ」です。
そもそものサイトの特徴としてはラノベお断り、文芸路線という独自性を打ち出している小説投稿サイトですね。現在では「ラノベストリート」というラノベ専用の姉妹サイトもあるそうです。
同じ有料販売でも「エブリスタ」のシステムとは大きく異なり、販売価格の設定はないようです。読者側は月額693円を支払うことで、「ステキブンゲイ」「ラノベストリート」で有料公開された作品が読み放題となり、その売り上げが作者側に還元されるシステム。
……というような説明が書かれているのですが、正直よくわかりません。読者側としても作者側としても、おそらく私がこれを利用することはないでしょうね。
続いて12月1日の方は「ノベリズム」。金銭的には、私が一番お世話になっているサイトですが……。
2021年12月1日の15:47に『「ノベリズム」の今後について』というタイトルで大きなお知らせが2つあり、その2番目が『「短編作品」をユーザー自主販売できる機能の実装につきまして』でした。
こちらのシステムも「エブリスタ」や「ステキブンゲイ」とは異なっており、最大の特徴は、有料販売できるのが短編作品のみであること。
>今までのタグとして存在してた「短編」とは違い、新たに実装した「短編作品」は目次ページがなく、すぐに本文をお楽しみいただけます。
と記されているので、一話完結作品だけが販売できる、という形式です。ただし、
>「短編作品」では無料パートと有料パートを分けて文章の入力ができます。
ということなので、途中までは無料でチラ見せして途中から有料にする、というのが基本のようです。販売価格の設定がないのは「ステキブンゲイ」と同じです。
こうして比べてみると、販売価格まで設定できる「エブリスタ」のシステムが特別なのかもしれませんね。
今後、他の小説投稿サイトで同様に有料販売システムが導入される時はどのような感じになるのか、ちょっと興味深いところです。
とはいえ、私自身が積極的に使いたいシステムではないので、完全に他人事。
この「ノベリズム」の12月1日のお知らせでも、私に大きく関わるのは、むしろもう一つの方でした。
もう思いっきり余談になってしまいますが……。
読み物としてはそちらの方が面白いかもしれないので、いったん区切って続きは「後編」として、語れる範囲内で少し語ってみようと思います。
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