カクヨムコン(2020年)私の参加状況(その1)

   

 短編ですが、カクヨムコン向けにようやく新作を書いて投稿できました。これで「カクヨムコン(2020年)私の参加状況」シリーズも『その0』や『その0・補足』から『その1』へ進めます。長編の応募数は変わりませんが、短編は97作品(確定18作品)となりました。

 ただし、特に「カクヨムWeb小説短編賞2020」を意識して書いた作品、というわけではありません。でも今の時期に1万文字以下の短編を投稿するのであれば、一応「カクヨムWeb小説短編賞2020」向けと言って構わないですよね?


『さそり座のサンタクロース』

https://kakuyomu.jp/works/1177354055111498377


 発想のきっかけは、Twitterで流れていた動画。クリスマス関連の広告らしく、動画の字幕に「あっ、そりだ! サンタさんが乗ってる!」みたいなセリフが書かれていました。

 おそらく音声オフで見ていたのだと思います。だから字幕の形でセリフが目に入ってきて、一瞬、見間違えました。

「あっ、さそりだ! サンタさんが乗ってる!」

 私は『そり』という言葉を頭で理解する前に、次の『サンタ』を目で追っていたのでしょう。だから理解の段階で勝手に『サンタ』の『サ』を『そり』にくっつけてしまったようです。

 また、さそりもサンタも、同じ三文字。

 さらに、サンタといえば赤い服。そしてさそりも赤イメージです。画像検索してみると、実際のさそりは思ったほど赤くないのですが、江戸川乱歩の「赤いさそりの女」とか宮沢賢治の「赤い目玉のさそり」とかありますからね。さそりもサンタも赤イメージ繋がりで、二つの言葉が並ぶのは自然、と私の頭は認識してしまったようです。

 まあ誤読の原因は何にせよ、すぐに『誤読』と気づきましたが……。

 でも「面白い見間違えだった」と感じました。トナカイではなくサソリに乗るサンタさん。これはこれで、短編小説のネタにならないでしょうか?


 ……という気持ちを短くまとめて、Twitterでもツイートしました(私のTwitterは「これ小説のネタになるのでは?」ツイートが結構ある気がします)。今確認してみると、11月22日でした。

 それから薄ぼんやりと、さそりに乗るサンタの物語を意識していたのですが……。

 一昨日、ふと構想が頭に浮かびました。ただし、もう「さそりに乗るサンタ」は諦めて、さそりとサンタだけ作品タイトルに入れる形です。初期プランとは全く異なりますが、逆にこれだけ方向性が異なれば、将来「さそりに乗るサンタ」を書いてもネタ被りにならないでしょう。いつか本当に「さそりに乗るサンタ」も書いてみたいです。


 このように、一昨日にプロットと設定を考えてメモを作り、昨日執筆、今日投稿したのが今回の短編です。

 一昨日の構想初期では、主人公は研究者ではなく、もっと読者の方々に馴染みのある一般的なサラリーマンにしようと思っていました。読んでいただければわかると思いますが、研究とは違う業務でも成り立つ基本プロットです。

 しかし、私の頭では、違う業務における「プロットに応じたイベント」が思いつきませんでした。「また主人公を研究者にしてしまうのか。引き出しが少ないなあ」と嘆きつつ、開き直って、序盤から研究関連の色を前面に出すことにしました。

 ウイルスの解説をする小説は何度も書いてきたので、今回はPCRです。

 時事ネタというわけではありませんが、今年は色々と事情があって、PCRという言葉が世間一般に浸透しましたよね? ならば人々の関心も高いだろう、物語に組み込んでみよう、と考えてみたのです。

 とはいえ、私にとっては、10年以上昔に引退した分野の専門知識です。しかもPCRは研究対象ではなく、研究のために使った解析方法に過ぎません。実験方法については、当時だって「大雑把な原理しか知らないが、とにかくマニュアル通り混ぜて機械に放り込めば結果が出る」という程度でも困らなかったので、今さらながらに「私はどこまで深く理解していたのだろう?」と心配になりましたが……。

 さらっとネット検索して出てくる情報で記憶を確認する程度にとどめて、「むしろ深過ぎない方が他分野の方々にも理解しやすいよね?」と自分に言い訳しながら書いてみました。今は専門家だけでなく、独学でPCRについて調べる人も多いでしょうし、そういう方々の方が私よりも詳しそうで、ちょっとツッコミが怖いですね。私としては一応「素人にもわかりやすいPCR」を目指して書いたつもりですが。


 なお最終的には『さそり座のサンタクロース』というタイトルにしましたが、最初に考えたタイトルは『さそり座サンタ』でした。

 時々は作品本文でも読感リズムのために意識しますが、私の基本方針として、特にタイトルでは「なるべく五音や七音で区切れるようにしたい」と考えています。「『さそり座サンタ』ならば七音なのでちょうど良い」と思ったのですが、「七音ひとつよりは五音プラス七音の方が良いのでは」と考え直して『さそり座のサンタクロース』になりました。もともと「さそりもサンタも同じ三文字」というのが発想のきっかけの中にあったので、それを活かすならば『さそり座サンタ』の方が良いのですが……。なんとなく『さそり座のサンタクロース』の方が収まりが良い気がしたのですよね。

 余談ですが、タイトルを『さそり座のサンタクロース』に変えてから、私の頭の中では、昔のスキー映画のCMソングが流れています。クリスマスソングの定番の一つでもある曲です。「〇〇〇〇〇(五音)」プラス「サンタクロース」という言葉にすると、それがパッと頭に浮かぶようで……。


 余談ついでに。

 私が十二星座の順番を覚えたのは、十代の頃に見たアニメでした(厳密には原作漫画の方を先に読んだはず)。ついでに言うと、インドの三大神の名前も、同じく「鎧もの」と呼ばれるアニメから覚えました。

 そのため、さそり座ということで私の頭に浮かんできた固有名詞は「ミロ」。そこから少し変えて、ヒロインの名前は「美緒子」にしました。ならば主人公の方は別の星座を使おうと思ったのですが、十一ある中から一つ選び出すのが面倒なので、もう単純にサンタクロース由来で「佐田くん」としています。

   

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