「同じ作品を複数回応募することはできません」の解釈

   

 今回のテーマは、応募要項に書かれている記述。カクヨムコンにも大きく関連する話です。

 カクヨムの色々なコンテストの応募要項を見ていると、しばしば『同じ作品を複数回応募することはできません』という一文を目にします。カクヨムコンで言えば、「カクヨムWeb小説短編賞2020」には書かれていますし、「第6回カクヨムWeb小説コンテスト」の方には『同じ作品を複数回(複数の部門への重複応募を含みます)応募することはできません』と記されています。

 初めて見た時、私はこれを「落選した作品を同じコンテストの次回に応募してはならない」と解釈しました。「複数回応募」の「複数回」とは「同じコンテストの過去回と今回」という意味ではないか、という理解です。

 そもそも私は「小説家になろう」からカクヨムに来たばかりの頃、コンテスト応募システムが異なるのを知って「カクヨムはあちらより厳しい」と感じていましたからね。このエッセイの初期に記したと思いますが「もしかしたらカクヨムでは一度でも落選した作品は二度とコンテストに応募できないのでは?」と心配していたくらいです。

 今となっては笑い話ですが……。でも最近どこかで「WEBコンテストと違って公募では使い回しは嫌がられる」という話も目にしましたし、「一度でも落選した作品は……」というのも、あながち笑い飛ばせないかもしれません。


 少し話が逸れたので、戻しましょう。

 私の「落選した作品を同じコンテストの次回に応募してはならない」という解釈。カクヨムでは「少しでもわからないことは先輩ユーザーが親切に教えてくれる」という空気があると思うのですが、この件に関しても、すぐに情報が得られました。確か、どなたかのエッセイのコメント欄だったと思います。

「それは違うよ! 実際に再チャレンジで受賞した例もあるから」

 という話でした。

 特にカクヨムコンのように複数部門に分かれている場合。一つの作品を別の作品として投稿しておいて、複数の部門に応募することもシステム的には可能。例えば「異世界ファンタジーを出版するレーベルに審査してもらいたいけれど、恋愛部門の担当レーベルにも見てもらいたい。ならば両方出しちゃえ!」みたいなケースですね。だから、これを応募要項の中で禁止している。

 ……というような話でした。

 その時は、ホッと一安心したのですが。

 いざ二度目のカクヨムコンが近づくと、また心配になってきたのです。

 公式見解として確かめておかないと気持ち悪いなあ、と。特に私の場合、こっそり再応募するのではなく、堂々とエッセイやプロフィールなどで「この作品またカクヨムコンに出します!」とアピールする可能性大。ならば「それって禁止されている複数回応募になるのでは?」と誰かに言われた時に、胸を張って「大丈夫です!」と返す自信がありません。


 さて。

 少し前から書いているように、カクヨムではお問い合わせフォームとは別に、Twitterのカクヨム公式アカウントの中で最近、匿名の質問を受けつけていました。私も利用してみようかな、と書いていたやつですね。以前の「利用してみようかな」は応募部門の話でしたが、それよりもこちらが優先な気がしてきました。

 そこで昨日、実際に質問を出してみました。すると、その日のうちにお返事をいただいていました。昨日のエッセイ投稿時には既に返信が公開されていたようですが、私が気づいたのは、その後です。先に気づいていれば、昨日のエッセイの書き方も変わっていたでしょう。

 匿名の質問というシステムなのに「これ質問したの私です!」と公表してしまうのは、なんだか空気が読めていない行為にも思えますが……。そう思われても構わないので、情報ソースとして「こういう公式見解がありました!」と出しておいた方が、このエッセイを読んでくださる方々の役に立つはず。そう信じて、公式の回答ツイートのURLを記載します。


https://twitter.com/kaku_yomu/status/1333343860185993217


 私の質問文も掲載されているので、ちょっと恥ずかしいですね。「もっと丁寧に、失礼のないように質問しなさいよ」と言われそうで。

 ともかく、公式回答は、このようになっていました。


>カクヨムコンにおいては、同一作品を同じコンテストの中で複数投稿してはいけない、というルールです。

>以前のカクヨムコンで応募した作品での再チャレンジは可能です!


 お墨付きが出ました!

 これで安心して、去年の落選作品を今年も応募できますね!

 普通に考えれば「既に完結して埋もれている作品で、去年読者選考に通らなかったもの」を、今年出しても通るはずないのでしょう。でも昨年の私のカクヨムコン応募目的は、コンテスト受賞や中間選考通過よりも「カクヨムコンに出しておけば、応募作品を積極的に読んでいこうという方々の目に留まる」という意味合いの方が強かったのです。実際、それで読者が一時的に増えた手応えも少しはありましたし、そこから始まる交流もあったような気がします。

 また、枯れ木も山の賑わいです。とにかく応募することは、微力ながら、コンテスト全体を盛り上げることにも繋がるはず。

 それに、もしも「応募総数の何割が中間選考通過」みたいなシステムならば、応募総数を増やすことは、中間選考通過作品数を増やすことにも直結します。自分が通るはずない中間選考通過数を増やすのは「他の方々のため」ですから偽善的ですが、長編は無理としても、短編ならば私も中間通過できるかもしれない、と思ってしまいます。ならば特に短編の方は、応募総数の水増しは偽善ではなく、自分の利益にも繋がります!


 去年参加した感覚では「たくさん応募するのは不利」というのもありました。既にエッセイで記したと思いますが、「この人はカクヨムコンに参加しているらしい。ならば応募作品を読んでみよう」という方々が私の作品を見てくださっても、その『応募作品』が複数あれば、そうした方々は複数の作品に散ってしまう。逆に一つだけならばその一つに集中するから、星やフォローなどの評価を稼ぎやすい。……そんな理屈です。

 でも。

 中間通過よりも「カクヨムコンを通して、作品を読んでもらう」の方が主目的であれば、やはり出来る限り応募する方が良い!

 公式から「再チャレンジOK!」のお墨付きも出たことだし、文字数が応募条件を満たす作品、全部応募しちゃいましょう!


 検索条件を「10万文字以上」「1万文字以下」にして、それぞれリストアップしました。

 私の完結済長編は8作品あるのですが、そのうち一つは、82,549文字。8万文字以上なのでカクヨム基準では長編に相当しますし、それが応募条件のコンテストもありましたが、カクヨムコンは10万文字以上です。今回はアウトです。

 でも代わりに、連載中の――私としては続けるつもり十分ですが読者目線では「エタっている」と思われそうな――長編が、既に154,038文字。こちらを応募できますね。

 だから、合計8作品。一応「第6回カクヨムWeb小説コンテスト」に応募しておきました。


 続いて、短編。こちらは数が多くて大変です。

 検索で探し出すと「1万文字以下」は110作品。そのうち15作品は「5分で読書」短編小説コンテストに応募中なので、今回は応募できません。ならば現時点での応募作品は95作品になるのでしょうか。

 ほぼ100作品ですね! 少し足りませんが、期間中に5作品くらいは書けそうな気がしますし、私の「カクヨムWeb小説短編賞2020」応募数は最終的には100を超えるのではないでしょうか? 100という数字だけで、わくわくします。いや数を誇るコンテストでないのは承知していますが、ささやかな自己満足です。

 そういえば、去年の短編応募は51作品でした。今年は約2倍。

 単純に「2年目だから2倍になった」は少し違うだろう、そもそも私がカクヨムに来たのは、コンテストのピッタリ一年前ではないのだし。

 ……そうも思ったのですが、よく考えると。

 私がカクヨムに来たのは4月。しかもカクヨムに来る前の「小説家になろう」時代はほとんど短編を書いていないので、昨年の応募短編は、ほぼ4月以降のもの。去年のカクヨムコンが1月末までと計算すれば、ちょうど10ヶ月。

 今年の分はそれ以降で昨日までと考えると、2月から11月で、こちらもちょうど10ヶ月。

 おお! なんたる偶然! いや偶然ではないのでしょう。やはり「2年目だから2倍になった」でいいのですね。

 局所的には疎密もありますが、ある程度のスパンで見れば、今も昔も「10ヶ月で50短編」というのが、私の執筆ペースのようです。

 毎月5短編と考えると、多いような気もしますが、少ないような気もします。


 そんなことを考えながら、その「毎月5短編」を出来る限り応募しました。

 この段階で、驚きの事実が判明。

 今年は去年と違って、短編の方は部門に分かれていないのですね!

 確か去年も部門の具体的な説明――選考レーベルからどういう作品が求められているか――は長編の方にしか載っていませんでしたし、短編の方は「一応部門に分かれているけれど、あくまで便宜上」という感じでした。だから、今年は取っ払ってしまったのでしょう(便宜上とはいえ選考自体は部門別だった、というのが私の印象だったのですが)。

 でも、これ、応募するまで気づかないのは、私の大失態ですね。きちんと応募要項を読んでいなかった証です。

 大丈夫でしょうか。もしかすると、まだ読み落としがあって、応募してはいけない作品を応募しているかもしれません。「とりあえず一万文字以下の完結済短編は全て応募」って、大丈夫でしょうか? このエッセイを読んでいて、もしも「この条件、忘れていませんか?」と思い当たる点がありましたら、どうか教えてください。


 とにかく、残念です。新設の「どんでん返し」部門に出したかった短編、たくさんありましたから。3,000文字未満だったり、6,000文字オーバーだったり、バッドエンド的などんでん返しだったりで、「5分で読書」短編小説コンテストに応募できなかった「どんでん返し」を大量に抱えているのですよ……。

 でも、いざ次々と応募していくと。

 これはこれで、便利な点がありました。

 去年は応募の作業中に「短編と長編、間違えて違う方をクリックしないように」とビクビクして、神経をすり減らしていたのですが、今年のシステムならば、その心配が減ります。

 長編は応募選択した時点で複数の部門選択が表示されますが、短編は何も出てきませんからね!

 これならば、誤選択しても一瞬でわかります。良いシステムです!


 そんなこんなで、95作品応募。これだけあると、いくつか応募し忘れそう。そう思いながら応募作業を進めましたが、実際、終わったつもりで数えたら94作品しかありませんでした。2回見直しして、ようやく見落としていた作品を発見。

 なお私が全95作品応募し終わった時点で「カクヨムWeb小説短編賞2020」の応募総数は351作品でした。約1/4が私の作品ですね。

 これだけ高い割合だと、ちょっとした自己満足もありますが、同時に「顰蹙をかうのではないか?」という心配もあります。実際には、私は有名作家でも何でもないので、私の大量応募も目立たないはず。そういう心配をするのは、自意識過剰なのでしょう。おそらく、素人作家にありがちな自意識過剰の一つです。

 それよりも。

 もう一つ、大きな心配があります。

 私にとってカクヨムは読み書きのメインですが、このエッセイで以前に何度も記したように、この時期のコンテストだけは「小説家になろう」の方を優先させたいと考えています。昨年も「だからカクヨムコンには参加できない」と最初は思っていたけれど、途中で重複応募可能と気づいて参加できた、という経緯がありました。

 以前の項目――カクヨムコン vs なろうコン part2「実は許されていた重複応募?」――で記したように、あちらのコンテストは、一昨年は重複応募禁止、去年から解禁になった、という形式でした。

 あちらは、いつもはカクヨムコンより少し早く始まるようですが、今年は「開始が遅れます」という告知があっただけで、まだ応募要項も発表されていません。

 しかも前回の総評には、今後も重複応募OKなのか、心配になるような文面があったのです。該当部分を「第8回ネット小説大賞 総評」より引用してみます。


>また、今回は同時期に複数のコンテストが開催されていたこともあり、受賞に向けた検討の俎上に上がっていたタイトルがいつの間にか応募を取り下げてしまっていたケースが散見されました。

>『応募のしやすさ』がWEBコンテストのメリットではありますが、作品が持つチャンスの最大化を図るのであれば、決断の前に一度コンテストへお問合せいただくことを推奨いたします。


 どうでしょう? はっきり『複数のコンテスト』という言葉もありますし、「重複応募OKにしたことをコンテスト主催者側が後悔している」というニュアンスを私は感じたのですが……。

 もしもあちらが重複応募禁止になったら、カクヨムコンの方は旧作の応募を諦めて新作のみ出そう、と考えています。長編の新作執筆は無理かもしれませんが、短編ならば書くでしょうからね。

 その場合。

 今日応募した長編8作品と短編95作品。全部応募キャンセルするだけで、大変な作業になりそうですよね……。

 今年も重複応募OKなことを祈ります。

   

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