続・カクヨムコンに参加したくなってくる ――そもそも応募するとしたら部門はどこ?――

   

 前回は私の構想――というより妄想――に付き合っていただき、ありがとうございました。

 早速いただいた感想を拝見するうちに、さらに構想(妄想)が広がりました。


 やはり、たとえ一人でも「読みたい」と言っていただけるのは嬉しいものですね。

 また、スローライフ悪役令嬢ものによくあるパターンとして「追放されて始まるスローライフ、ただし従者付き」という話を教えていただき、「あっ!」と目から鱗でした。

 返信でも書きましたが、『そういう男性がいないと、主人公である悪役令嬢の相手役が設定しにくい』という点です。そういえば、前回のエッセイの中で私も気にしていましたからね。そもそも悪役令嬢ものなのに主人公ではなくその妹が王子様と結ばれて良いのだろうか、と。

 それならばそれで、主人公にも別の相手役が必要だろう、というポイントです。

 その点「従者付き」パターンならば、もう相手役確定です。幼馴染みたいなものですよね。例えば『ベルサイユのばら』のアンドレもオスカルの従者のような立場でしょうか。そもそも「お嬢様と執事」パターンと考えれば、女性向けの漫画や小説だけでなく、男性向け漫画でも定番の一つ。ただし男性向けの場合は執事側が主人公になるのでしょうけれど。


 そう、女性向けとか男性向けとか言い出したように。今まで漠然と考えていましたが、おそらく悪役令嬢ものって、女性向け作品なのですよね? ならば女性読者が憧れるような、白馬の王子様的な相手役を設定してみましょう。私の想定しているプロットでは、前回記したように、本物の「王子様」は妹の相手役にあてがうので、あくまでも「王子様的な」男性キャラクターです。

 また「妹を使用人代わりに」設定がある以上、従者のような「主人公の家にいる」という男性キャラには出来ないので……。

 現在私が考えているのが、主人公と共通の趣味を持つ男性キャラ。ただし、その「共通の趣味」が微妙に違うので、ちょっと反発もしている。例えば『セーラームーン』の主人公うさぎと相手役まもるのように、第一印象が悪いところから恋仲に発展するのも王道パターンの一つでしょうから。

 ここで使えるのが、主人公のスローライフ、釣り好き設定。前回『アクティブに魚と格闘するというより、大自然の中でのんびり』と書きましたが、イメージとしては「ルアーフィッシングではなくウキ釣り」というものでした。より具体的に言うならば、バスフィッシングに対するヘラブナ釣りでしょうか。現実世界でも、この両者ならば、同じ釣り仲間として意気投合したり、逆に互いに迷惑だと思う部分が出てきたりしそうです。

 これをファンタジー世界に置き換えて、魔法を使ったルアーを設定してみたいですね。出来ればその「ファンタジー世界特有のフィッシング」に出てくる魔法を、後々の事件のトリックでも使われる魔法にすることで、一応の伏線にしておきたい。まだ肝心の事件もそのトリックも考えていないのですが。

 ともかく。

 のんびり釣り糸を垂らしたい主人公と、アクティブな魔法ルアーフィッシングをする男性キャラは、釣りのポリシーが異なるので衝突します。主人公目線・読者目線では、ヘラブナ釣りをしている横でルアーフィッシングをされるようなものです。

 でもお互いに釣りは好きなので、反発しながらもどこかで意気投合する、という場面が必須です。例えば、大物が釣れた時にとっさにタモ網を差し出してくれる、とかどうでしょう?

「勘違いしないでくださいね。あなたのためではありません。そのお魚のためです。早く引き上げて針を外してあげないと可哀想ですから」

 女性側に言わせるか、男性側に言わせるか。本人は本心から言っているつもりでも、読者目線では「あんた、自分で気づいてないけど、好意を抱いてるだろ?」とツッコミが入って、読者はニヤニヤ……となるの理想ですが、はてさて。


 しかし、こうして考えていくと。

 考えれば考えるほど、悪役令嬢ものではなく、単なる「異世界湖岸日誌」になってきた気がします。前回の構想通り「妹に辛く当たる」という悪役要素はありますし、一応は釣り要素が「スローライフ」のつもりなので、この作品のポイントの一つではあるのですが。

 でも「悪役令嬢」という時点で女性読者を意識するべきならば、そもそも釣り要素を「スローライフ」にして良いのでしょうか? 読者が期待するものとは、あまりにもかけ離れている気が……。

 しかも、本質としてはミステリ作品のつもりなんですよね。想定読者を絞れていない、ごった煮な感じです。いっそのこと、いくつかに分割して別作品にした方が良いのでしょうか?

 とりあえず。

 この相手役は「王子様的な」男性キャラクターです。主人公は知らずに接していますが、正体は王族あるいは偉い貴族。公爵家くらいに設定しておきましょうか。

 お城の舞踏会にも出席させましょう。

 でも、その場で「湖で出会うあの男!」と主人公に知られては面白くありません。

 読者にはバレバレ、でも主人公には「そんなわけないよね」という程度。舞踏会を仮面舞踏会にしてしまえば、そういう微妙な「正体不明」に出来そうです。お城の舞踏会といえば正装であり、それこそ『セーラームーン』のタキシード仮面が「正装してアイマスクしているだけなのに、まもるさんとは別人だと思われている!」みたいな感じです。

 お城で主人公と顔を合わす際は、彼は常にアイマスク状態。それを外すのは最後の最後。彼の高貴な身分を知っても、主人公は過度に恐れ敬うことはなく、相変わらず「喧嘩するほど仲が良い」的な関係を続ける、という形で物語を終わらせます。

 妹と王子様が結ばれるのに、主人公もカップル成立では同じになってしまいますからね。むしろ「お前らくっついちゃえ!」と読者が言いたくなる程度に留めておく方が良さそう、と考えています。

 でもこの関係、ラブコメによくあるパターンなのでしょうか。ならば、これはラブコメ要素? ますます作品の「ごった煮」感が強くなりますし、そもそも私はラブコメ書くの苦手なのですが……。


 少し話を戻して。

 この相手役の序盤における設定。つまり、物語スタート時点で既に主人公と知り合っている設定にするか、あるいは、物語序盤で出会う形にするか。

 後者ならば、最初の出会いの場面くらいまでは、肝心の事件のトリックを考えなくても、書き始めることが出来そうですね。キャラクターの紹介フェーズです。

 妹を虐める日常。でも本意ではないので、心を癒しに湖へ行く。そこで出会う、謎のイケメン男性。ガールミーツボーイです。

 この場合「どうして彼は急にこの――主人公が通う――湖で釣りをするようになったのか」の理由づけとして「最近こちら――主人公の家の近く――に来た」という設定が必要になります。

 現時点での私の構想では「それは近々お城の舞踏会があるから」つまり「公爵家なので王家に呼ばれた」という設定です。この設定、はっきり正体を明かすことなく、さりげなく「舞踏会も終わって事件も解決したら、元の公爵家の領地に帰る」と作中で示せれば、読者には「ならば主人公と相手役は、最後には離れ離れになってしまう!」とヤキモキしていただけるかもしれません。しかも主人公自身は正体に気づいていない以上そんな心配もしていません。読者は「しむら、うしろ! うしろ!」的に、主人公に声をかけてあげたくなるでしょう。

 ……と、そこまで上手くいくかどうかは別にしても。

 物語ラストでは「舞踏会もそれに関する事件も終わったから、元の領地に帰ってしまうのか。あの湖で会う機会はもうないのか」と寂しがる主人公。それに対して「いや、もう少しこの地に残ることにする。あの湖が気に入ったから」と告げる男性キャラ。

 ここの「寂しがる」を上手く書けば――露骨に「寂しい」ではなく主人公自身が意識しない程度の「寂しい」にできれば――、「自覚していないが主人公は彼を気に入ってる」と表現できるし、また彼の「湖を気に入ったから」発言も書き方次第では「本当に気に入ったのは湖ではなく主人公」と匂わせることも可能なはずです。

 ……あくまでも『可能なはず』であって、私にそこまでの技量があるかどうか、そこは大きな問題なのですが。


 とりあえず。

 先ほども書いたように、こうして考えていくと、少なくとも序盤――湖での最初の出会い――くらいまでは、現段階でも書けそうですよね(あくまでも執筆だけであり完結するまでは公開しない、という条件付きで)。湖の釣りシーンでは魔法ルアーの件があるので、事件のトリックも関係しますが、そこは後から追加で書き足すことも可能。あるいは、二度目か三度目の出会いくらいで「具体的な魔法ルアーフィッシング」を描くことも出来ます。

 魔法ルアーフィッシングに関しては、あまり具体的に記すと伏線だとバレるかもしれないので「そういう釣り方もある」とサラッと一言で流した方が良いのかもしれません。むしろ男性キャラは、魔法を使わないルアーフィッシング。だから主人公は彼が魔法を使えないと思い込んでしまう。例えば「高貴な貴族は必ず魔法が使える」という世界観にしておけば、この間違った思い込みのせいで主人公は彼の正体に気づけなかった、という説明にもなりそうです。


 本当に、ここまで考えたのであれば「大丈夫、トリックなんて書いている途中で思いつくよ! むしろ書き始めて世界観にドップリ浸った方が思いつくよ! 早く書き始めちゃいなよ!」という声が、頭の中で聞こえてきます。

 とはいえ、優先させなければならない連載作品の執筆もあるので「これを書きたいだろ? さあ、そっちの執筆もペースアップしろ!」と、自分で自分のお尻を叩いている感じ。あるいは「そっちの執筆をペースアップしたら、これが書けますよ!」と、鼻先にニンジンをぶら下げている感じ。

 どちらにせよ、とても個人的な理由から、こうして未執筆のプロットをエッセイとして披露しているので、付き合ってくださる皆様には申し訳ないですが……。

 でも、おそらく、こうして「カクヨムコンに出すかもしれない作品の構想、こんな感じで少しずつ固めていっている」という進捗状況をお見せするのは、他の方々の参考になる部分もありますよね? あったらいいなあ……。


 さて。

 もしも本当に書き始めるのであれば、その前に。

 今さらですが「この作品、出すとしたらどの部門に応募したら良いのだろう?」と気になりました。

 カクヨムコン関連の皆様のエッセイを拝見すると、応募部門について悩む方々も結構おられますからね。

 先ほど『想定読者を絞れていない、ごった煮』と書きましたが、そうなると、応募部門も行方不明なわけですよ。ミステリ作品とはいえ、どんでん返し要素は少ないですし、そもそも今回の構想を加えると、もうミステリ要素は添え物な気がしてきました。

 かといって、恋愛ものやラブコメというほどではない。舞台は異世界だとしても、異世界ファンタジー部門も違う気がします。ファンタジーではあるけれど、転生も転移もない時点で「異世界」ではないと思うのですよ。確かに読者にとっては異世界ですが、作中の登場人物の誰にとっても異世界ではないですからね。

 むしろ主人公周りの人間関係がメインになるならば、キャラクター文芸部門なのでしょうか。でもキャラクター文芸部門の説明には『職場や学園、歴史などを舞台に』と書かれているのですよね。ファンタジー世界を舞台にした時点で、カテゴリーエラーと判断されそう。

 親切なことに「第6回カクヨムWeb小説コンテスト 特設ページ」には、それぞれの部門の過去の受賞作品も掲載されていますから、それを見てどれが近いのか考えるべきなのでしょう。

 それとは別に、直接質問してみる、という手段もありますね。

 Twitterのマシュマロという機能(?)を使って、このように気軽に質問できて回答していただけるシステムになっているようです。


https://twitter.com/search?q=from%3Akaku_yomu%20%23%E3%83%9E%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%9E%E3%83%AD%E3%82%92%E6%8A%95%E3%81%92%E5%90%88%E3%81%8A%E3%81%86&src=typed_query&f=live


 これを見る限り、迷ったら想定読者をイメージしてください、ということのようですね。

 そうなると、ますます私は混乱します。ほら、上で書いたように、もう「これってタイトルから想定される読者層には合っていない内容なのでは?」という感じですからね。私が構想中の『スローライフで謎を解け、悪役令嬢!』の読者層は、いったいどこなのでしょう?

 とりあえず女性向けとも男性向けとも言い切れないようなので、できればキャラクター文芸部門に出したいのですが、先ほども書いたようにネックは「ファンタジー世界はカテゴリーエラーになるのでは?」という点。

 中間選考を通らなければ関係ない話ですが、部門によって審査するレーベルが異なるのでしょうから、こうして部門別になっているカクヨムコンではカテゴリーエラーは致命的。この『審査するレーベル』を考えるにはそのレーベルが対象とする読者を想像すれば良いわけで、だから『想定読者をイメージ』という話に行き着くのだと思いますが……。

 いっそのこと。

 それこそ私もマシュマロを使って、

「キャラクター文芸部門は、ファンタジー世界を舞台にした時点でカテゴリーエラーですか?」

 と質問した方が手っ取り早いのかもしれませんね。

   

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