カクヨムコンに参加したくなってくる ――こんな長編を書いてみたい――
もう11月末です。来月になれば、今年のカクヨムコンのスタートですね!
さんざん私は「今年は新作長編を書く余裕はない」と述べてきましたが――いや「さんざん」というほどではないかもしれませんが――、カクヨムで皆様のエッセイや近況ノートを拝見するうちに、早くも熱気に当てられて「私も一つ、書いてみたいなあ」という気持ちになってきました。
前々回の「カクヨム二年目の中間総括(後編)――カクヨム一年目に始めたことですが今年はもう無理かもしれません――」の中で「児童文学の構想が一つある」と書きましたが、あれとは別物です。今私の頭の中で「もしもカクヨムコンに参加するのであれば、こんな作品で」と構想している長編、実際に書き始めるかどうかは別として、せめて現時点で考えている『構想』だけでも、ここで披露してみたいと思います。「旅行に出かける時間もお金もないけれど、旅行のプランを立てるだけでも楽しい」みたいな感じかもしれません。
まず前提として。
前々回に記しましたが、私が「今年は新作長編を書く余裕はない」と思っている理由は、他サイトで連載している作品があるからです。そちらは「だいたい1週間くらいで仕上げないといけないエピソード数」が決まっています。とはいえ、絶対に守らないといけない締め切りではないので、守らないと私が「困る」わけではないのですが、守らないと私が「悲しい」羽目に陥るのは間違いありません。
現状この「1週間」で書くべき分が実質的には10日とか2週間とかになっているので、「ペースアップしなきゃ! 新作長編なんて書いている場合じゃない!」と自分に言い聞かせている次第です。
ついでに補足しておきますと、それでもまだ「悲しい」状態にはなっていません。自分の一存では連載開始時期を決められない形態だったため、おかげでスタート時点でかなり書き溜めストックがあり、それを少しずつ食い潰している形です。ああ、このストックがゼロになる前に、なんとかしないと……。
ところが皮肉なことに。
こうして他サイトで連載している作品があるからこそ、新しい長編の構想も頭の中に沸いてしまうわけで……。
その辺の事情、少し説明させてください。
前々回の記事では、あまり詳しく書くと「試し読み」に近くなって『過剰な誘導行為』として扱われるかもしれないという心配から、敢えて書きませんでしたが……。今回、これくらいならば大丈夫だろうという判断で、少し具体的に書いてしまいます。
他サイトで連載中の作品には、タイトルに――厳密には副題に――『パーティーを追放されたら』という言葉が入っているのです。プロットを立てる段階で「有料作品なので流行の要素を入れてみよう」と浅はかに考えた結果です。「小説家になろう」のランキング上位作品のタイトルとあらすじだけ順番に見ていったら「パーティー追放」というのが多かったので、取り入れた要素でした。もちろん元々あったアイデアの方が優先であり、話の始まりとして、そこに「パーティー追放」が加わっても困らないので、入れてみた形です。
ちなみに、その程度の考えで――きちんと人気作品の本文までは読まずに――書き始めたので、「パーティー追放」は「ざまあ」系である、という肝心の点を理解していませんでした。一応、元パーティーを見返す展開も少しは入れてありますが、復讐劇がメインの物語ではありません。今となっては「あれ? これタイトル詐欺じゃね?」とビクビクしながら、執筆を続けています。
でも。
どうせ私の作風は、万人受けするものではなく、合う人には合うけれど合わない人には合わない、というタイプ。趣味作品ならば構わないけれど、有料作品としては問題ありそうなタイプですね。だからたとえタイトル詐欺でなくても「読み始めたけれど思っていた感じと違う」というように去ってしまう読者も結構おられるはず。逆にタイトル詐欺でも『合う人には合う』ならば「思っていたのとは違うけれどこれはこれで面白い」ということで読み続けてくださる方々もおられる……と私は信じています。
ということは。
たとえタイトル詐欺になっても構わないから、まずは読者に読み始めてもらうこと。これが私のような「万人受けしないから、少数の読者向けに書いています」というタイプの人間にも重要なのですよね。今さらな話ですが。
そもそも。
書き手として万人受けしないタイプですから、読み手としてもWEBの流行とは違うようで、いわゆる人気作品を読んでも私はなかなか「面白い」という作品には出会えません。それこそアニメになるような超ヒット作の中には「なるほど、面白い」という場合もありますが、そのレベルの人気作品でも「これが面白いの?」と感じてしまう場合もあります。
だから読み手としては
ところが。
今回、他サイトで有料作品の連載をするにあたり、「パーティー追放」という
これはこれで、書いていて面白いのですよ。まあ上述のように「ざまあ」系でないから本質的には「パーティー追放」ものではない、というのも理由の一つなのかもしれませんし、私にとって初のイラスト付き作品だから(キャラクターデザインがあれば登場人物のイメージがしやすいから)というのも大きな理由かもしれませんが……。
それだけではなく、今さら気が付いたこと。
たとえ他作品と同じ要素があるとしても、それで他作品と丸かぶりするわけではない。その『同じ要素』とは別の部分で自分の作品のオリジナリティは出せるし、そのオリジナリティの分、書いている作者は楽しい!
……いやもう、本当に「今さら」なんですけど。
こうして一次創作のWEB投稿を始めて、二年と少し。ようやく当たり前のことに気づけたのかもしれません(そもそも私の処女作、その「二年と少し」前に始めた『「ウイルスって何ですか?」――ウイルス研究者の異世界冒険記――』だって、異世界転生という、いかにもWEB小説な要素が入っているのですよね)。
だから今後は、少なくとも書き手としては、
……というのが前置きであり、ここでカクヨムコンの話に戻ります。
さて、カクヨムコンといえば読者選考です。一定数の読者の支持を集めなければ中間選考には通らず、選考委員の方々に読んでいただけません。「万人受けしないから、少数の読者向けに書いています」というタイプでは、まず読者選考の壁を突破するのが難しいでしょう。
それでも少しでも読者選考通過の確率を高めるのであれば、上で述べた話と同じで、まずは多くの読者に読んでもらうこと。一人でも多くの方々に、まずは作品をクリックしてもらう必要があります。その『一人でも多くの方々』の中には、私と感性の合う潜在的な読者もおられるでしょうから。
それこそ、タイトル詐欺になってでも構わないので!
ならば「書き手としては、
そんなわけで。
私が今年のカクヨムコンに応募するとしたら、書いてみたい作品はこれ。
題して『スローライフで謎を解け、悪役令嬢!』
……最初に頭に浮かんだ作品タイトルは『悪役令嬢はスローライフで謎を解く』だったのですが、おそらくこれはカクヨムのトップページにあったバナーイラストの一つが印象深かったせい。サウナのパクリみたいなので却下して、現時点では『スローライフで謎を解け、悪役令嬢!』になっています。
もうタイトル詐欺するつもり十分なのですが。
ポイントは「悪役令嬢」と「スローライフ」ですね。
まず「悪役令嬢」。自主企画経由でいくつか長編を読みましたし、感想を記す際にネット検索で「悪役令嬢とは」というのを調べましたが、さっぱりわかりませんでした。
私のイメージしている「悪役令嬢」は、シンデレラの継母や意地悪な姉みたいなタイプ。もちろん継母はもう「令嬢」という年齢ではないので、意地悪な姉の方ですね。でも、おそらくWEB小説における悪役令嬢って、違うのですよね?
続いて「スローライフ」。カクヨムで少しモフモフが出てくる作品を読ませていただいたので、あれがいわゆるスローライフなのか、と感じています。
でも、それも私の「スローライフ」のイメージとは違う。私のイメージするスローライフは、のどかなファンタジー世界で釣りをする。のんびりと釣り糸を垂らす、というイメージです。少し前に『放課後ていぼう日誌』というアニメがありましたが、いわば異世界湖岸日誌ですね。
まあ「のんびり釣り糸を垂らす」場面を読者が読んで楽しいかどうか、そこも気になるのですが。
もっと心配なのは、主人公を意地悪な姉に設定したら、まず読者が主人公を嫌うのではないか、という点。そもそも「悪役」なのですよね? どうやって主人公として受け入れてもらえるほど好感度を高めたら良いのでしょう?
いっそのこと、主人公を多重人格者に設定して、意地悪したい人格だけでなく意地悪したくない優しい人格があったり、私の前世は地球人ですと言い張る異世界転生人格があったり(現地主人公にしたいけれど異世界転生要素もある方が書きやすいので)、というのも考えましたが……。
そこまで複雑にするかどうかは置いておくとして。
とりあえず、頭の中にある構想は、以下のような感じです。
主人公は没落貴族(弱小貴族)の令嬢。すでに父は亡く、母と妹の三人で暮らしています。
亡父の遺産とささやかな領地収入で、なんとか生活しています。母は主人公を大貴族と結婚させて、昔の栄華を取り戻すことを夢見ています。だから今は召使いを雇うことすら出来ない環境だとしても、
……こんな形で「意地悪な姉とシンデレラ」の関係を設定しよう、と考えました。主人公は本心から意地悪なわけではなく、母の期待に沿う意味で「これも貴族の跡取りの務め」と考えて、やむを得ず妹に意地悪している、という設定です。
だから意地悪を続けるのは心苦しくて、気分転換の意味で、近くの湖で釣りをします。アクティブに魚と格闘するというより、大自然の中でのんびりすることで、心を休めるのです。私の思う、スローライフ要素です。この「心を休める」というのは、冷静になって頭を整理することにも繋がるので、後々事件が発生した際、釣りをしながら事件について考え直して真相に気づく。ここが「スローライフで謎を解け」という点です。
そもそもスローライフという言葉を聞くと、私は「のんびり」というイメージになるのですが、どうやって「のんびり」で物語の山や谷を作るのかわからず「ならばスローライフの中で事件の謎を解くミステリ作品にしよう」という発想になりました。
肝心の事件については、血生臭い殺人事件よりは、宝石盗難事件くらいにしておいた方がいいのかな、と考えています。どちらにせよ、舞台はお城の舞踏会。ほら、私が思う「悪役令嬢」には、シンデレラが根底にありますからね。主人公も妹も、お城の舞踏会には参加しないといけません。
主人公たちは貴族としては弱い立場なので、ここで主人公あるいは妹が疑われる、という展開にしてもよいのですが……。とりあえず、そこは事件の詳細を考えてから。一応はファンタジー世界なので、魔法があったり、あるいは一般人には魔法が使えないとしても魔法関連の道具は流通している世界観だったりするでしょう。ならば「我々の現実世界とは異なる、この世界独特のトリック」というのを、何か考案しないといけません。また、解決編で「そんな魔法あるのかよ!」みたいなツッコミを読者が感じないように、あらかじめ「この世界では、どのようなファンタジーな出来事が実行可能なのか、不可能なのか」を示しておかなければなりません。
ここが作品のキモであると同時に、最大のネックですね。よほどキッチリ設定しておかないと、書き始めることすら出来ないですから。
魔法のある世界観のミステリ作品というと、まず私の頭に浮かぶのはランドル・ギャレットのダーシー卿シリーズですが、かなり昔に読んだ作品なので、残念ながら詳しく覚えていません。あれは異世界ファンタジーではなく魔法が発達したパラレルワールドが舞台だった、というのは覚えていますし(これについてはWikipediaで確認)、元々は作者ではなく編集者が設定した世界観であり「現実世界の歴史とはどこでどう分岐したから魔法が発達したのか」という点まであとがきで解説されていたような覚えがあるのですが(これは確認できなかったので曖昧な記憶)、そこまでです。
本格的にファンタジーミステリーを書くのであれば、まずは参考としてダーシー卿シリーズを読み直そう。前々からそう思っているのですが、肝心の本がどこに埋もれているかわからず、結局いつもファンタジーミステリーは断念しています。
……と、かなり話が逸れてしまったので、プロットに戻ります。事件の詳細は考えていませんが、一応ラストは想定しています。
お城に関係者を集めて謎解きです。最後に犯人がヤケを起こして暴れます。王子様にも危害が及びそうになりますが、それを助けるのが妹です。妹は強くなっていたのです!
ほら、映画『ベスト・キッド』でしたっけ? あれに限らず、老師匠に武術を習いにいったら掃除とか水汲みとか雑務ばかりさせられる、でもそれが基礎訓練や武術のコツをマスターすることに繋がっていた、というパターン。そういうのありますよね? ならば、継母や意地悪な姉に働かされているシンデレラも、いつのまにか筋力がついたり器用になったりして強くなっているはずだ、と私は思うのですよ。
こうして王子様を助けた妹は、王子様に見染められます。彼女は「今までの意地悪も、私に力をつけさせるためだった」と、主人公に感謝します。王家と繋がることで貴族としての立場も良くなり、母も満足。主人公も無理に意地悪する必要はなくなり、めでたしめでたし。
……という感じです。
一応あらすじという形で、まとめてみましょうか。
貴族令嬢の〇〇は、自分を悪役だと思っている。母の期待に応えるため、嫌々ながらに妹を虐める毎日だからだ。
心苦しさから逃げるようにして、のんびりと湖で釣り糸を垂らす〇〇。スローライフで心を癒すのが、数少ない彼女の楽しみになっていた。
ある日、お城の舞踏会に招かれた〇〇たちは、事件に巻き込まれてしまい……。
釣りをすることで、頭も心もリフレッシュさせて、事件の謎を解く。悪役令嬢のスローライフ探偵物語!
肝心の部分は出来ていないのですが、この程度の構想はある状態です。
主人公ではなく妹が王子様と結ばれるのは大丈夫なのかなあ、とか。
そもそもこのストーリーで面白いのかなあ、とか。
色々と心配はあるのですが。
一番大きな不安はこれ。
「こういう形で悪役令嬢とスローライフを融合させる作品、すでにWEB小説として存在しているのでは?」
知らずに書いて「パクリだ!」と言われるのは嫌ですからね。
カクヨムで「悪役令嬢 スローライフ」で作品検索したら、検索結果が一ページには収まらないほど大量に出てきたので、自分でチェックするのは諦めました。カクヨムだけでこれだけあるならば、WEB全体では膨大な作品数があるに違いありません。
そもそも、最初に述べたように「書き始める余裕なんてないはず」という作品ですからね。
かりに今から書き始めても、他サイトの連載を優先させながらの片手間では、今年のカクヨムコンには間に合わないでしょう。むしろのんびり書き始めて来年に間に合わせることを考えるべき……?
どちらにせよ、他サイト連載作品の進行状況次第ですね。一年前や二年前と比べて、自分の執筆ペースは年々落ちていくなあ、とつくづく感じています。
そんなわけで。
行かれない旅行の計画を立てるような気分で、現時点で頭にある構想だけ披露してみました。
まだ構想だけですから、もしも「そういう作品、既にWEB小説として存在していますよ!」というのであれば、諦めるには良い機会です。ぜひぜひ教えてください。
逆に「面白そうですね!」とか「ここをこうしたら、もっと良くなるのでは?」とか、前向きな意見も大歓迎です。もっとも、背中を押していただいたからといって、書き始められるかどうか保証できませんが……。
何はともあれ、よろしくお願いします。
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