本当は四月に書くべきだった、カクヨムのフォント表示に救われたという逸話

   

 12月といえば、世間は師走。そしてカクヨムでは、カクヨムコンの真っ最中でお祭り気分。

 それを思うと、とても「今さら」な話なのですが……。


 最近、カクヨムと他の小説投稿サイトを比較するエッセイで、フォント表示について――確か見やすさの話だったかな?――書かれているのを目にしました。

 それを読んで、思い出しました。

「そういえば、カクヨムに来て半月ほど過ぎたあたりで、カクヨムのフォントに助けられたことがあったなあ……」

 また、それとは別に。

 昨日、私の他のエッセイで『初歩的な大失敗』としてチラッと言及した事件があったのですが、それこそが「カクヨムのフォントに助けられた」という話でした。

 そんな感じで、二つ重なったので。

 カクヨムのフォント表示に救われた事件、詳しく書いてみたいと思います。


 ファイル名が『修正日記』となっているメモが、PCの中にありました。それを見ると、4月17日とか4月18日とか書いてあるので、おそらく発端は4月17日の出来事だったと思います。

 当時は、まだカクヨムを使い始めて半月ほどなので、何かしら「これって変だな?」と感じることがあっても「そういう仕様なのだろう」とか「自分のPCが一般的ではないから」とか、勝手に納得して流すことも多い時期でした。

 そんな中の一つに、

「どうもワープロソフトで表示される文字数と、カクヨムで表示される文字数が違う」

 というのもありましたが、これはルビをカウントするか否か、みたいな話。

 ただし。

 ルビなんかないはずの「35文字のキャッチコピー」でも、想定していた文字数と違うことがあったのですね。特にキャッチコピーは『35文字』という制限があるので、一文字が死活問題です。

 でもこれ、あくまでも「想定していた文字数と違う」であって、「ワープロソフトで表示される文字数と違う」ではなかったのでした。

 そもそも、カクヨムで表示されている自分の作品を何度も見直すうちに、なんだか不思議な違和感が生まれて……。やがて、気が付きました。


 俺の三点リーダーが小太りしている件。


 いやあ、愕然としました。本来二文字分の横幅を占めるはずの三点リーダーが、上の行や下の行と見比べると、明らかに三文字分あるのですから。

「えっ、なんで?」

 慌てて「小説家になろう」の方でも確認してみました。ルビの振り方だけは修正していますが、それ以外は同じ原稿のはず。でも「小説家になろう」では、小太りなんてしていません。どう見ても二文字分です。

「ええっ、どういうこと?」

 さらに気になって……。「小説家になろう」の自作における三点リーダー、一文字ずつドラッグというかコピーというか、とにかく「肉眼で」とは違うチェックをしてみました。

 すると。

 視覚的には二文字分に見えるけれど、実際には三文字だったのです!


 ややこしい書き方をしてしまいましたが。

 要するに、二倍三点リーダーであるはずの『三点リーダー』が、三倍二点リーダーになっていたわけです。

 恥ずかしい……!

 カクヨムには来たばかりとはいえ、「小説家になろう」の方は半年以上利用した後でしたからね。ただ投稿するだけでなく、コンテストに応募とかもしていましたし。

 それどころか、ちょうど当時は、昨年のネット小説大賞の一次選考結果発表が終わり、二次選考の結果を待っていた段階。生まれて初めて『一次選考』なるものに通過して、ドキドキしていた時期でもありました。

「こんなんで、よく一次選考に通ったなあ……」

 心のどこかで、自分に呆れてしまいました。

 まあ、それはともかく。

 半年以上「小説家になろう」を使っていただけでなく、二次創作小説の投稿サイトを使っていた時期も合わせれば、私だって、結構な執筆歴があったはずなのですよ。だから「今さら、こんなミスを!」と、余計に恥ずかしかったわけです。

 と、同時に。

「あれ、もしかして……」

 嫌な予感がして、もう訪れることもなかった――かつては散々お世話になった――二次創作のサイトへ、見に行きました。自分の作品をチェックしました。そこでは『三点リーダー』は、三倍二点リーダーではなく、きちんと二倍三点リーダーになっていました。

「おいおい……」

 いやもう、頭を抱えたくなりましたね。二次創作を書いていた頃は正しく出来ていたのに、今は出来なくなっている……。これが『断筆期間』があった影響なのか、と。これほど私は、基本を忘れてしまったのか、と。


 断筆期間。

 このエッセイの「はじめに」では『最初に使っていた四つは二次創作がメインのサイト、五つ目が「小説家になろう」』という書き方でしたが、プロフィール欄では、もう少し細かく記しています。


> 投稿サイトを利用し始めた頃は、今とは違う名前で、二次創作を書いていました。

> その後、数年間の断筆期間を経て、今の『烏川 ハル』という名前で「小説家になろう」に登録してオリジナル小説の投稿を始めたのが


 さらに詳しく補足すると、PCが壊れて買い換えた時に、OSがバージョンアップされ、標準装備されていたワープロソフトも様変わり。それに伴ってファイル形式まで変わってしまい、バックアップしてあったファイルが開けないという状態に。そのショックで書くのをやめてしまった、というのが『数年間の断筆期間』でした。

 結局、禁断症状みたいなもので、また書かずにはいられなくなり、心機一転。二次創作の世界から、オリジナル小説の執筆へと新しく踏み出したわけですが……。

 問題はPCが壊れた、という点ですね。当然、以前に単語登録してあったユーザー辞書も、ゼロから作り直しです。例えば二次創作時代に使っていたPCは、『てんてん』と入力すると三点リーダーが表示される仕様でした。

「また同じようにしておこう。大丈夫、初心者ではないから、わかっているぞ。中黒三つ(・・・)ではなく、もっと小さな点を六つ並べるのが三点リーダーだ」

 と思いながら登録。

 はい、今にして思えば、この段階で、もう駄目ですね。生兵法は怪我のもと。『もっと小さな点を六つ並べる』なんて中途半端な理解をしていたせいで、二倍三点リーダーの代わりに三倍二点リーダーを登録してしまったのです! 全然『大丈夫』でもなく『同じように』でもなかった!


 そんなわけで。

 4月17日、それまで自分が恥ずかしい状態で小説投稿をしていたと気づいた私。

 本来ならば、その時点で、すぐ修正作業に取り掛かるべきなのですが。

「……全て修正するのは、大変そうだなあ」

 現実逃避でしょうか。

 まず私は、約半年間の「小説家になろう」と約半月のカクヨムで、どれくらい投稿してきたのか、総文字数をカウントしてみました。

 結果、「小説家になろう」が105万文字、まだ半月のカクヨムですら30万文字以上。ほら、すでに、かなり転載していましたから。

「いやいや。修正の手間は文字数ではなく、話数だろう。話数が多いと大変なんだよ!」

 と、自分で自分にツッコミを入れつつ、でも話数カウントはしません。「とりあえず大変だ」という結論で十分。次は「いかに簡単に済ませるか、いかにサボるか」を考え始めました。

「二倍三点リーダーでも三倍二点リーダーでも、どうせ同じように表示されるならば、修正する必要ないよね?」

 もう「小説家になろう」105万文字は、そのまま放置することにしました。

 ただし、この時点では、まだ「私のPCからでは『同じに見える』けど、他の環境でもそうとは限らないから……」という心配もあったのですが。


 続いて、カクヨムの方。

「カクヨムの方は、明らかに『違う!』ってバレるから、直さないと駄目だよなあ……」

 やらない言い訳を探しつつ、もう一度、よく見てみました。すると、新たな発見が。

 三倍二点リーダーが三文字分に見える件、カクヨム全般で起きる現象ではなかったのです。

 作品本文やキャッチコピーでは確かに三文字分ですが、作品トップページにある紹介文――「小説の概要」の右半分――では、三文字ではなく二文字分を占めているのです。

「あれ? この差って何?」

 キャッチコピーと紹介文なんて、左と右で仲良く並んでいるものなのに……。よくよく見比べると、どうやらフォントが違うみたいです。私のような素人にもわかりやすかったのが、例えば『て』とか『も』とか。

「ああ、そうか! カクヨムと『小説家になろう』で違うのも、要するにサイトが指定しているフォントが違う、ってことか」

 ここで「ならば『小説家になろう』の方、別に私のPC環境だけでなく、他の人からも『同じに見える』はず。じゃあ、もう直す必要ないや」となったのですが、その話は少し余談。

 ここでの本題は、カクヨムのフォント表示です。

 ようやく『フォント』というところに行き着いた私は、続いて、思い出しました。作品本文においても「ビューワー設定」というところをクリックすると、フォントが変更できることに。

 明朝とゴシック。

 私は普通、特に設定をいじらず、明朝の方を使っていたわけですが、

「もしかして……」

 試しにゴシックに変えてみると、あら不思議。『小説家になろう』と同じく、三倍二点リーダーが二倍三点リーダーに擬態する――二文字分に見える――ではないですか!

 そういえば『等幅フォント』という言葉を聞いたことがあります。横幅の見え方が異なるということは、片方がその系列であり、もう片方が違う、ということなのでしょう。


 さて。

 ここまで敢えて、三倍二点リーダーとか二倍三点リーダーとか、紛らわしい書き方をしてきましたが。

 ここで、具体的に出してみますね。


 三倍二点リーダー(誤) ‥‥‥

 二倍三点リーダー(正) ……


 特にフォントに拘らない方々は、いつもは明朝の方になっているはず。試しに、ビューワー設定でゴシックに変更してみてください。上下二段で幅が異なって見えていたものが、同じになるはずですから。

 あるいは逆に、ゴシックを標準に使っている方々。試しに明朝で見てください。同じ幅だったものが、同じではなくなりますから。



 結局。

 カクヨムに投稿していた30万文字以上、二日で修正し終わりました。

 三倍二点リーダー(‥‥‥)を『てんてん』で登録してしまった私のPCも、現在では『てんて』と入力すると二倍三点リーダー(……)が表示されるようになっており、以降、間違った三点リーダーは使っていないはずです。

 ……おそらく大丈夫だとは思いますが、もしもミスが残っていたら教えてください。


 さて。

 長々と書いてしまいましたが。

 結局、私が自分のミスに気づけたのは、カクヨムのフォント表示のおかげでしょう。

 しかも「フォントに依存する!」ということまでわかってスッキリしたのは、ビューワー設定という機能で、簡単に二種類のフォントを比較できるからでした。

 まさに、カクヨムさまさまです。

 今さら四月の話をするなんて、遅すぎる感はありますが。

 それでも敢えてエッセイにした思い出、「カクヨムのフォント表示に救われた」という逸話エピソードでした。

   

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る