「カクヨムからのお知らせ」を読んで(4月1日と5月28日の合体)

   

 私がカクヨムに来たのは4月1日でした。

 3月下旬にカクヨムという投稿サイトの存在を知った私は「新年度のスタートとして、新しいことを始めてみよう!」と考えて、3月31日に登録、4月1日から使い始めました。

 ……ユーザーページに登録日が表示されると知っていれば、登録そのものを4月1日にしていたのですが。


 さて、4月1日。

 来たばかりの私は、少し見て回る間に「カクヨムからのお知らせ」というコーナーを見つけました。

 しかも『4月1日』の告知として『カクヨムの新たな取り組みについて』と書かれています。

 内容は、ここで小説を書くだけで収益が得られる、というもののようです。


「えっ、お金になるの? ラッキー!」

 と思うと同時に。

「それは……。自分がこのサイトに登録した目的を考えたら、むしろ困るのでは?」

 そうも感じてしまいました。



 今でこそ私は、カクヨムで皆様の作品を読んだり、カクヨムオンリーの作品――絶対に他サイトには転載しない作品――を書いたり、カクヨム初出の作品――しばらくしてから他サイトに転載予定――を書いたりしていますが、これは4月1日の時点では、思ってもみなかったこと。

 私がカクヨムに来た当初の理由は、あくまでも「『小説家になろう』で掲載した作品を転載して、少しでも多くの人に読んでもらう。そのために、まず作品の存在を知ってもらう」というものでした。


 そもそも。

 カクヨムに来るより、かなり前。

 私は『他サイトに転載、つまり二重投稿する』という行為自体に抵抗がありました。

 このエッセイの「はじめに」でも記したように、私が「小説家になろう」よりも昔に使っていた投稿サイトは、非営利の個人様が運営しておられたサイトばかりだったからです。

 わざわざ個人が趣味で運営してくださっているサイトで、場所をお借りして、発表させていただいた作品。それを他サイトに二重投稿するのは、不義理なのではないか……。そんなふうに考えていたようです。


 だから最初は「小説家になろう」も、私は同じような感覚で利用していたのですが。

 ネットで偶然、カクヨムという投稿サイトに関する記事を見て。

 今や二重投稿は一般的な行為だと知って。

 むしろサイト運営側にも得がある、という話も読んで。

「なるほど、なろうやカクヨムのように、株式会社が提供する小説投稿サイトなら、二重投稿は不義理どころか、むしろ歓迎されるんだ!」

 そう思って、カクヨムに来たわけです。



 そしてコンテストエンジョイ勢の私は、カクヨムでも様々なコンテストが行われるらしい、ということも知りました。

 どうやら少し前に大きなコンテストの募集は終わっているようですが、とりあえず、いくつかの応募要項を見てみました。

 すると、気になった文面が。


『応募作品は、未発表かつオリジナルのものに限らせていただきます』


 これは当然なので、気になりませんでしたが、問題は『未発表』の定義です。


『応募者自身が主宰・運営するwebサイト、応募者自身で作品の修正・削除等が可能な非営利目的の小説投稿サイト、応募者自身が非営利目的で制作・発行した同人誌で発表された作品は、未発表作品とみなされます』


 非営利目的の小説投稿サイト。

 それこそ個人で運営しておられるサイトは大丈夫なのでしょうが、ここ「カクヨム」や「小説家になろう」はどうなのでしょう?

 株式会社が提供しているサイトである以上、慈善事業ではなく、何らかの営利目的っぽいです。素人考えでも「そこから小説を拾い上げたり、コンテストで募集したりして、商業出版。運営会社が直接の出版社でない場合は、出版社からサイト運営会社が金銭を得る」というのが、頭に浮かびました。


「これって、営利目的の小説投稿サイトってことになるのでは? ならば、そうしたサイトに二重投稿している作品は、コンテストに応募できない?」

 また、ネットで見て回りました。

 すると、どうやら『非営利目的』というのは「サイト側が利益を得るかどうか」ではなく「投稿者自身が利益を得るかどうか」が問題らしい。投稿者が利益を得ない限り、非営利目的の投稿サイトということになるらしい。

 ……そういう解釈が一般的だ、という結論に至りました。


 法律だって、それがどう適用されるか、裁判所の解釈の方が重要です。コンテストの応募要項も、皆がそう解釈してきて主催者側との間に問題がないのであれば、そういうことなのでしょう。

 ならば「小説家になろう」でコンテストに応募する予定の作品だって、ここカクヨムに掲載して大丈夫!



 ……と思っていたので。

 冒頭の「ここで小説を書くだけで収益が得られる」が、引っかかったのでした。

 投稿者自身が利益を得たら、カクヨムは営利目的の投稿サイトになるのではないか、と。



 今や「小説家になろう」よりも、すっかりカクヨムが楽しくなってしまった私。

 でも収益化問題のことは、ずっと気になっていました。

「ならば、いっそのこと、カクヨムで掲載した作品は『小説家になろう』のコンテストには応募しなければいい。カクヨム作品は、カクヨムのコンテストだけで勝負しよう!」

 そう決意できれば、何も気にせずに済むのでしょうが……。


 むしろ、逆でした。

「カクヨムでは、コンテスト応募はやめておいた方がいいかも。一応は応募するとしても、なろうのコンテスト以上に、期待は出来ないぞ」

 そう思うようになってきました。

 理由は、読者選考の存在です。


 最近。

 カクヨムで皆様の小説を読めば読むほど。

 自分の「面白い」「優れた文章」と、多くの方々の「面白い」「優れた文章」が、かなり剥離している、という印象が強くなってきたのです。


 私は、WEB小説だって『小説』だと思っています。匿名掲示板にあったSS掲示板、そういうのを期待しているわけではありません。

 そのせいでしょうか。

 星評価の高い作品の中でも、数行読んだだけで――あるいは二、三話読んだだけで――「ギブアップ!」となってしまう作品が、結構あります。

 もちろん、私が最後まで読んで「面白い! すごい! 見習いたい!」と思う作品もありますし、そうした作品は、皆様からもそれなりに評価されているようです。

 でも、星の数を見ると……。

 私の「面白い」は「それなりに評価」であって、私が「ギブアップ!」の作品が「すごく評価」されている。そんな傾向もあるような気がしてしまうのです。

 ……もちろん、全部が全部、ではありません。もしかしたら、いくつかの作品が印象に残っただけで、実際には、ごく一部なのかもしれません。


 まあ、こういうことを書いてしまうと、

「それは、お前の負け惜しみだ! ネットにおける『面白い』が見えてきたならば、お前も書けばいいだろう! いや、そもそも、お前には書けないから、そんなことを言っているのだろう!」

 と言われてしまいそうですが……。

 ええ、私には書けません。ただ「書けない」だけなら、少しでも「書けるようになる」努力をするべきなのでしょうが、それ以前に「書きたくない」という気持ちがあるのですよ、なんとなく。


 うまい例かどうか、わかりませんが。

 ラーメンが好きでラーメンを作っている、あわよくば、本当にあわよくば、ラーメン屋を開業できたらいいな、くらいの気持ちで。

 そんな人間が「もう今の時代、ラーメンは売れない! 売れるのはケーキだ!」と思っても、ケーキ職人を目指せるのか?

 ……そんな感じです。


 ここでガチ勢ならば「それならばケーキ職人に転向!」となるのかもしれませんが。

 しょせん私はエンジョイ勢ですからねえ。



 そういうわけで、最近の私は、

「読み書きするのはカクヨムで。でもコンテスト応募は『小説家になろう』で。一応カクヨムのコンテストは、なろう以上にダメ元で参加」

 という考えでした。



 そして今日。

 収益化問題の続報を「カクヨムからのお知らせ」で見つけたわけです。


 ……なるほど、やはり、私と同じポイントを気にしておられる方々、多かったのですね。

 引用します。


『3.広告掲載によって収益を得た場合、商用利用された作品として扱われますか? また、その場合商業発表された作品が応募要項に抵触する新人賞には応募できなくなるのではありませんか?』


 カクヨムからの回答として、以下のように書かれていました。

 結論っぽい部分だけ、引用です。


『そのため、作品の商用利用にはあたらないとカクヨムでは判断しております。

 ただし新人賞への応募につきましてはそれぞれ基準が異なりますので、詳細はそれぞれの運営元にお問い合わせください』


 あくまでもカクヨムの認識であり『詳細はそれぞれの運営元に』となっていますが、エンジョイ勢の私としては、これくらいで安心できました。

 一次選考とか二次選考とかの段階で読んでもらえるかどうか、それがエンジョイ勢にとっては大事ですから。まあ、その辺に関わる人々は、これなら「カクヨム掲載作品はダメ」と言わないかな、と。受賞作品が偉い人たちの会議で問題になるとしても、私には無関係ですし。


 ただ、本当にカクヨム運営が『作品の商用利用にはあたらない』と思っているのか、そこは少し微妙かなあ、とも感じました。

 本当に「個々の作品の問題ではない」というなら、質疑応答の五番目の項目。「とりあえず二次創作は対象外」というのは、どうかなあ、と。商用利用じゃないなら、二次創作にも適用するべきではないか、と。もちろん、安全策なのは理解できますが。

 まあ、これも、カクヨムで二次創作を書いていない私には無関係なのですが……。

 こんなこと言ってしまうと、それこそフラグになって、いずれ私も二次創作を投稿するかもしれませんね。

   

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