そもそも「小説家になろう」でもPV・感想は少なかった(後編・主に感想について)

   

 さて、後編です。主として、感想に関する話です。


 感想というものは、そもそも作品が読まれない限り、書かれることはありません。ですから「小説家になろう」から「カクヨム」に来て「作品が読まれない!」と感じるのであれば、必然的に「感想も少ない!」となるわけです。

 しかし私の場合、そもそも「小説家になろう」でも少なかった、というのは前項やタイトルに示した通りです。

 特に「小説家になろう」を使い始めた当初、

「感想って、こんなに書かれないものなの? 誰も作品に反応してくれないの?」

 と驚いたものです。

 それこそ『愕然とした』と表現するくらいの、驚きでした。


 もしも初めて使う投稿サイトが「小説家になろう」であるならば、おそらく、そこまで衝撃は受けなかったことでしょう。それが当然なのだ、と思えたことでしょう。

 しかし私は、それより昔に、二次創作がメインの投稿サイトばかり使っていたために、ついつい比較してしまったようです。

 もちろん、オリジナル小説と二次創作小説は、前提からして異なります。それはわかっていたつもりだったのですが、それでも無意識のうちに比較してしまったようです。


 二次創作小説は、投稿すれば必ずといっていいほど、反応されます。感想がつきます。

 その『原作』のファンが読んでくれますからね。

 場合によっては、投稿サイトとは別のところ――匿名掲示板など――で、色々と書かれることもあります。匿名の場所では揶揄されることの方が多かったですが、好意的な意見をもらうこともありました。また、否定的な意見であっても、投稿サイトの感想欄で「良かった」と書かれた同じ点に関して「逆に……」と批判的なものであれば、

「なるほど、物事の見方は表裏一体だ。こういう捉え方もあるのか」

 と、勉強になる部分もありました。

 また、匿名掲示板ではなく、見知らぬ誰かの個人ブログで、作品が紹介されることもありました。こんなに嬉しいことはない、と思いました。


 しかし。

 それらは全て「二次創作小説だから」という理由に過ぎなかったのです。

 あくまでも『原作』に対する興味があるからこそ、二次創作小説を読んでもらえるわけで、それがなければ、そもそも関心すら持ってもらえなかったのです。

 二次創作は他人の褌で相撲を取るようなもの、という言葉がありますが、それを強く実感しました。


 また、私が書いていた二次創作作品の傾向的にも、感想を述べやすかったのではないか、と思います。

 私が書いていた二次創作は、基本的に、

「原作のこの部分って、こう解釈できるんじゃないかな? あの部分って、ああ解釈できるんじゃないかな? ならば、その二つの出来事の間に、こんな『語られざる事件』があったとは考えられないか……」

 という感じのものばかりでした。

 そういう「原作に対する分析・解釈」を土台とした二次創作なら、同じ原作ファンなら「俺もそう思う」「いや違うんじゃないか」と、感想を言いたくなるわけです。

 でも、今にして思えば。

 これって、一応は二次創作の形式をとっていますが、実質的には、原作に対する解釈論みたいなものを表現していたわけです。

 つまり、そもそもが「小説としての面白さ」ではなかったわけですね。

 そんなことを、「小説家になろう」で書き始めてから――二次創作から離れた今頃になって――、ようやく理解したのでした。


 こうして「小説家になろう」で感想がもらえない理由を「オリジナル小説と二次創作小説との違い」として納得したわけですが……。

 ふと、

「それだけではなく、他にも理由があるのではないか」

 とも思いました。

 それは、感想欄のシステムが違うことです。


 私がそれまで使っていた二次創作メインのサイトは、どれも「各話ごとに感想欄がある」というサイトばかりでした。

 一方「小説家になろう」では『感想の仕様』として、


  感想フォームの設置場所

  短編 : 本文・後書きの下

  連載 : 最新部分の本文・後書きの下


 と書かれています(「小説家になろう・各種マニュアル」より引用)。

 つまり、各話ごとの感想欄はないわけです。

 例えば、最新話が第六話だとして、そこに感想フォームがあるからといって、第六話だけの感想を書いたら、しばらくしたら第七話とか第十話とか違うところに、第六話の感想が記載されることになります。感想を書き込んだ当の読者と作者は困らないかもしれませんが、後になって読み始めた別の読者は混乱しそうです。

 だから「小説家になろう」の感想欄は、むしろ作品全体に対する感想なのでしょう。感想フォームが『良い点』『気になる点』『一言』という項目に分かれているのも、全体に対する感想だからなのだと思いました。


 こういうシステムでは、まず読者が気軽に感想を書くのは難しいのではないでしょうか。また、作者側としても「読者の反応を作品に組み込む」ということがやりにくいのではないでしょうか(感想を大量にもらう人気作家以外は)。

 それこそ二次創作を書いていた時には、途中の話で書かれた感想を見て、後々の展開を再考したり、無理難題を押し付けられた気がして頭を抱えたり、「ん?」と思ってしまうような指摘に対して(感想欄で返したら言い訳っぽいので)作品中にリアクションを紛れ込ませたり……。そんなこともありましたが、「小説家になろう」のシステムでは「読者の意見を取り入れる」ことは少なくなりそうです(すでに私でも感想に基づいて内容に手を加えた作品が複数あるので、「全くない」とは言い切れないのですが)。


 さて。

 それに対して「カクヨム」では、どうでしょう?

 カクヨムには『応援コメント』という項目があります。

 以前の『青く輝く三つ星よ! 真っ赤に燃えるその心!』で書いたように、私は、この『応援コメント』を感想に相当するものだと認識しています。

 しかも。

 応援コメントは、各話ごとに――個別に――設置されているのです。

 私が「小説家になろう」より前に使っていた二次創作サイトと同じです。

「個別の感想欄よ! 私は帰ってきた!」

 と叫び出したいくらい、慣れ親しんだシステムです。カクヨム万歳!


 そういうわけで、この『応援コメント』というシステムの存在だけでも、私にはカクヨムの方が使いやすい、と思えるのです。


 ですが。

 最初は知らなかったのですが。

 この『応援コメント』というシステム。

 開始当初には存在しなかったシステムなのですね。2016年の11月に実装されたのですね。

 ならば。

 改善後にカクヨムに来た私は、幸せ者ということになります。最初から、その恩恵に預かることが出来るのですから。

 また、そうした『変更された仕様』が、自分に合っていると思えるのであれば。

 今後もカクヨムは、私にとって、さらに使いやすくなる方向に変わっていくのではないか、と期待できるわけです。これこそ、素敵な話じゃありませんか!

   

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