第十二話 私の冒険者デビュー!(リッサの冒険記)
冒険者が書き残すという冒険記というものを、伯爵家の令嬢である私もしてみようと思って、ここに記す。
……うん、こんな書き出しでいいだろうか。我ながら、悪くない感じで始められたと思う。
私の名前は、リッサ・ラゴスバット。
地方領主であるラゴスバット伯爵の、一人娘だ。
なんでも『ラゴスバット』とは、古代の言語でコウモリを意味する言葉だったらしい。コウモリが多い地域に居城があるので、それが名前の由来だと考えられているが、遠方の貴族の中には、我が一族を『コウモリ伯爵』と揶揄する者もいるそうだ。
世間一般では、コウモリに悪いイメージを持つ者も多いと聞く。鳥と獣の間で頻繁に立ち位置を変える卑怯者だとか、昼ではなく夜に行動する邪悪な生き物だとか、そういうイメージがあるようだ。
しかし私は、コウモリに悪いイメージはなく、むしろ小鳥のような可愛らしい生き物だと感じていた。物心ついた時から、城の周りを飛び回るコウモリを見慣れていたせいだろう。まだ幼かった頃、城の裏山で奇妙なコウモリを見つけて「新種のコウモリ発見!」と喜び、こっそり部屋に持ち帰り、ペットにしていたくらいだった。
そのコウモリは――モコラと名付けて可愛がっていたのだが――、みるみる大きく成長して、実はコウモリではなくドラゴンの赤ちゃんだったことが判明して、大騒ぎになったものだが……。
まあ、それについては、また別の機会に記そう。
今回こうして冒険記を始めたのは、驚天動地の大事件が起こったからである。
是非それを書き記さねばならない。
ある朝、いつものように目覚めたら……。
城の皆が――私以外の全員が――、透明人間になっていたのだ。
透明といっても、完全に消えてしまったわけではない。存在を感知できなくなったわけではない。
確か『
私は城の中を駆けずり回って、全員の居場所を確認した。
この透明化現象は、どうやら夜の間に起こった出来事らしい。多くの者が、寝室のベッドで寝たまま透明になっていた。まだ眠っていなかった者も、起き出した者も、ほとんどが寝室にいた。
ただ一人だけ、書物庫で本を広げて、座り込んだ姿で透明になった者もいた。おそらく、爺や――皆は『賢者様』と呼んでいるが私は『爺や』と呼んでいる――だろう。夜遅くまで、何を調べていたのだろうか。この時は、想像も出来なかった。
そうやって皆の状態を確かめたところで、疑問が浮かんだ。
なぜ、私だけ透明化を免れたのか。
もしかすると、透明人間は自身を透明と認識できないだけで、実は私も透明にされているのではないか。
そんな可能性も考えたが、私の姿は、はっきりと鏡に映っている。それに、他の者とは違って、私は自由に動き回れる。
だから私は透明人間ではない。理由は不明だが、私だけはこの現象を免れたのだ、と結論づけた。
そう。
今、私は大事なことを言いかけた。
私以外の者は皆、ただ透明になっただけでなく、動けなくなっていたのだ。
「おい、しっかりしろ! 何が起こった?」
何人かの者に声をかけたが、誰も答えてくれなかった。
私が意思疎通を試みても、彼らは口をきくことが出来ないし、筆談すら出来なかった。
全く動かないわけではないが、ブルブルと体を震わせるだけ。
まあ、私の呼びかけに対して、体を震わせるという反応をしてくれるだけでも、生存確認になったわけだが。
続いて私は、透明化は疫病の一種なのかもしれないと考えて――そんなわけないだろうと思いつつも――、皆の治療を試みた。
まず定石通り、解析魔法アナリシで患部を調べた。
この魔法は本来、モンスターの弱点を見抜くためとして、光の神から賜ったものらしい。だが、冒険などせず、城に閉じこもっているラゴスバット家の者にとっては、治療の際に使う魔法でしかない。病人に対して「体内の悪くなった部分はどこなのか」と問いかけるイメージで使うように、と私は教わっていた。
「レスピーチェ・インフィルミターテム!」
私の魔法によると『全部』という診断結果。つまり、原因が毒であれ病原体であれ、それは体中全身を駆け巡っているということだ。
「アヴァルテ・ヴェネヌム!」
それを取り除くイメージを思い浮かべながら、解毒魔法ヴェネヌナを唱える。
続いて、強回復魔法レメディダ。
「フォルティテル・クラティーオ!」
しかし何の改善も見られず、相変わらず、皆ブルブル震えているだけ。
一応、再び解析魔法アナリシで調べてみたが、変化はなかった。
そして、今。
私は自室に戻ってきている。
幼き頃より、私は白魔法士として教育を受けてきた。回復や治療など、人々を助ける白魔法士になれと教えられてきた。それがラゴスバット家の伝統だからだ。
爺やですら扱えない魔法を――それも一つではなく二つも――発動できたくらい、私は優秀だったので、お世辞ではなく「姫様は歴代の中でも逸材」と言われてきた。
しかし。
本当は、私は冒険者になりたかった。この城を飛び出して、広い世界を駆け回りたかった。
その意味では……。
皆には悪いが、今回の事件はチャンスである。誰も動けぬ今、私が『冒険者』として、事態を解決してみせよう!
「さあ!」
自分に気合いを入れる意味で、私は一声叫んだ。
既に服装も、いつもの魔法士姿ではなく冒険者っぽい格好に変わっている。
私の髪の色と同じ、真っ赤な
右手には、黒い鉤爪――コウモリの色にちなんで私は『ラゴスバット・クロー』と呼んでいる――を装着し、一応、左手には愛用の杖。本来は魔法を唱える時にイメージを集中するために使うもので、私の場合は杖があってもなくても同じように魔法を発動できるが、それでも何となく持ち続けていた。太くて先端が湾曲したタイプなので、今回は、鈍器として十分使用可能と考えたのだった。
さあ、これで私も立派な冒険者……白魔法の使える武闘家だ!
ちなみに、武闘服と鉤爪は、私の冒険者への憧れを少しでも満たそうと、父が用意してくれたものだった。もちろん今日までは本格的に使用する機会はなく、ただ城の中で着て冒険者気分だけを味わったり、せいぜい裏庭で――城の警備兵たちが大勢いる前で――用意された低級モンスター相手に戦う程度だったが……。
今日こそ!
今日こそは、本来の用途で使われるのだ!
しかし、いくら勇んだところで、事件解決の手がかりがなければ、なす
唯一のヒントは、書物庫で爺やが開いていた本だった。
そう。
もしかすると爺やは、透明化現象が始まってすぐ、まだ体が動く間に、何かに気づいて、それが書かれた本を調べていたのかもしれない……。
そんな可能性が、私の頭に浮かんだのだ。
問題の本は、この地方の伝承に関する本だった。
爺やが読みかけのページには「城の近くの、森の洞窟に『炎の精霊』が住む」という話が記載されていた。城の者ならば誰でも一度は耳にしている、有名な伝承だが……。
「ありがとう、爺や。私に手がかりを与えてくれて」
私は、出がけに書物庫に立ち寄り、爺やに礼を述べた。
「爺やの努力は、無駄にはしないぞ。あとは私に任せて、ゆっくり休んでくれ」
私の言葉に対して、爺やはブルブルと体を震わせる。きっと「任せましたぞ」とでも言いたいのだろう。
そう解釈して、私は出発した。
我らが城のすぐ北側は、広大な森となっている。子供の頃に何度も遊びに来た森であり、ラゴスバット城の者たちは、ここを『裏庭』と呼んでいた。
そんな森の奥に――奥といっても徒歩で簡単に行ける辺りに――、ぼんやりと輝く洞窟が一つ存在する。通称『光る洞窟』だ。
昔から「入ってはいけない」と言われる洞窟であり、普通ならば、子供は禁止されると逆に入りたくなるものだが、私は一度も入らなかった。薄暗い森の中で、洞窟だけが光っているのが、子供心には不気味だったからだ。
しかし。
今の私ならば知っている。発光現象の原因は、洞窟内部の岩肌に生えたヒカリゴケであり、ダンジョンとなる洞窟にはありがちなことなのだ、と。
そう、この『光る洞窟』も、立派なダンジョンの一つなのだ!
恐れるどころか、むしろわくわくしながら、私は『光る洞窟』に突入した。
少し進むと、モンスターが現れた。おお、これでこそ『ダンジョン』だ!
私に向かって、ふわふわと飛んでくる、二匹のブラッドバット。見た目はコウモリそのものだが、コウモリにしてはサイズが大き過ぎる。明らかに、モンスターだった。
私は優秀な白魔法士であるが、攻撃魔法は苦手なようで、風魔法は使えない。当然、黒魔法も使えない。だから私の攻撃手段は、左手で握る杖と、右手にはめた鉤爪『ラゴスバット・クロー』のみ。
「えいっ! えいっ、えいっ!」
左側の一匹を杖で殴り倒し、同時に、右側の一匹に『ラゴスバット・クロー』付きの拳を叩きつける。
もちろん、一撃では仕留めきれない。その攻撃を、何度も何度も繰り返した。しかも「ブラッドバットに噛みつかれると、体力を吸収される」と聞いていたので、私は手数を多くすることで、反撃の隙を与えなかった。
杖の鈍器効果は思いのほか強く、先に絶命したのは左のブラッドバットだった。だが、そろそろ右も終わりだろう。とどめの一撃は、気合いを入れる意味も込めて、こう叫びながら繰り出した。
「ラゴスバット・クロー!」
想定通り、右のブラッドバットも息絶えた。
ああ!
いざ実行してみると、ただ「えいっ!」と声を出すより「ラゴスバット・クロー!」と叫んだ方が、気合が乗った分、攻撃力もアップしたような気がする。次からは、最初から「ラゴスバット・クロー!」と叫ぶことにしよう。
私は、本来は魔法士なので――魔法はイメージによって左右されるので――、そんなことを考えてしまった。
それからもモンスターは現れたが、ほとんどブラッドバットばかりで、たまにゴブリンが出てくる程度だった。
洞窟内の通路は曲がりくねっていたが、特に分岐はなく、しばらく進むと……。
行き止まりの空間に辿り着いた。
天井も高く、洞窟内とは思えぬほど、広々とした空間だ。明らかに人為的に加工された、真四角な空間……。もはや『空間』ではなく『部屋』と呼んだ方が相応しいだろう。
中央が台地状に盛り上がっているのは、祭壇のつもりかもしれない。その祭壇らしき台地の横には、左右に三体ずつ、合計六体の石像が並んでいた。
「ここが精霊の部屋……?」
思わず口に出るくらい、不思議だった。いかにもそれらしい、整備された部屋なのに、誰の姿も見えなかったのだから。
少し目線を上げて、虚空に向かって、私は呼びかける。
「精霊様! いないのですか?」
返事はない。ただの空き部屋のようだ。
だが、これで帰るわけにもいくまい。無駄だろうと思いつつも、私は叫び続けた。
「精霊様! 出てきてください! お願いがあって参上いたしました! 今、私の城では……」
大声で事情を説明しつつ、何度も何度も懇願したが、やはり返事はなかった。
そんな状況でも、一時間くらいは、頑張って声を上げ続けたと思う。
頑張って、頑張って、それでもどうにもならないので……。
とうとう諦めて、私は
洞窟から出た私は、次に、近くの村へ行くことにした。
城下町というわけではないが、城から歩いて行ける距離のところに、ネクス村と呼ばれる集落がある。私自身はネクス村に行ったこともないし、村人と面識もない。だが、城の警備兵の子供の中に、村の子供と親しい者がいたはずだ。もしかしたら、村人の誰かが、今回の事件の手がかりを握っているかもしれない……。
そんな淡い期待で、ネクス村へ向かうのだ。これが「溺れる者は藁にもすがる」という心境なのだろう。
なお、村へ行く前に一旦、城に戻り、武闘服の上から白いローブを羽織ることにした。白ローブは、白魔法士の正装だ。村を突然訪問するのだから、武闘家姿よりは、こちらの方が良いだろう。
ネクス村に着くと、そろそろ夕刻だった。とりあえずは今晩の寝床を確保しようと、まずは村の宿屋へ。
「女将、部屋は空いているか?」
伯爵家の娘とはバレなかったはずだが、それでも一目で私を上客と見抜いたのだろうか。女将はホクホク顔で、
「はいはい、いくらでも空いてますよ。お一人様ですか?」
「そうだ」
私は宿の帳面に「リッサ」とだけ記帳しながら、
「ところで女将。つかぬことを尋ねるが……。人間が透明になるという話、聞いたことないか?」
「ああ、鍛冶屋のところの坊やの話だね」
「何! あるのか!」
飛びかからんばかりの私の勢いに、女将は少し身を引きながら、
「お客さん……。その話を聞いて、村に来たんじゃないんですかい?」
「あ、いや……」
彼女は、私の白魔法士姿をジロリと眺めている。「病気の話を聞いて、腕に覚えのある白魔法士が治療しに来た」とでも考えているのだろう。私は、彼女の想像に合わせることにした。
「……そういう噂は聞いていたが、半信半疑だったからな」
女将から鍛冶屋の場所を詳しく聞き、部屋に荷物を置いた後、今度は鍛冶屋に向かった。
私が「透明化現象について調べている白魔法士だ」と述べると、鍛冶屋の夫婦は、快く私を迎え入れてくれた。彼らも子供を治したくて『藁にもすがる』気持ちなのだろう。
「ご覧の通りです。治療師の先生には、病気じゃなくて呪いだから治せない、と言われてしまい……」
母親が示す先には、ベッドに横たわる少年らしき姿があった。
城の皆と同じだ。
完全に見えなくなったわけではないが、ぼんやりと「そこにいる」ということだけ、かろうじて認識できる程度。
これは、間違いなく同じ現象に違いない。
しかし、
「今朝、まだ私たちが寝ている間に、お城まで遊びに行ったみたいで……」
今朝?
私が起きる直前くらいの話だろうか、と思ったが、とりあえず口は挟まずに、事情説明に耳を傾ける。
母親の話によると。
城から帰って来た頃は、まだ普通だった。それが「具合が悪い」と言ってベッドに入ったら、だんだん体がスーッと見えなくなっていき、ついには動くことも話すことも出来なくなった……。
「なるほど」
城の皆は、夜の間に透明になったはずだから、少し経緯は異なるようだ。しかし、結果としての症状は同じらしい。
一応、解析魔法アナリシで調べてみる。
「レスピーチェ・インフィルミターテム!」
やはり病気――いや治療師の言葉を借りて『呪い』と言うべきか――の原因は、体の中の全身を回っていた。
首を横に振りながら、私は告げる。
「同じ症状をたくさん見てきた。私も解決の手がかりを求めて、ここまで来たのだが……」
「そんな……」
「いや、やるだけのことは私もやってみよう」
悲嘆にくれる母親の前で、解毒魔法ヴェネヌナと強回復魔法レメディダを唱え、治療を試みる。
しかし、やはり城の皆と同じで、何の成果も得られなかった。
「すまん」
「いいえ、先生は悪くありません。精一杯、努力してくれたのでしょう? ありがとうございました」
無言の母親に代わって、父親が礼を述べている。
その言葉を背に受けて、私は宿に戻った。
「疲れた……」
宿の部屋に入って、まず第一声がそれだった。
魔法士独特の疲労感だ。たくさん魔法を使ったので、魔力が尽きかけているのだろう。
どっと疲れが出て、ベッドに沈み込み……。
夕食もとらずに、そのまま私は眠ってしまった。
翌朝。
一晩寝たら魔力も完全に回復したとみえて、昨夜の疲労感は嘘のように消えていた。だが、今度は凄まじい空腹感に襲われた。
「そういえば……」
昨日『光る洞窟』へ行く前に城で食べて以来、何も口にしていなかった。
その城での食事にしたって、皆が動けない以上、自分で準備するしかなかったのだ。初めての料理は思った以上に大変であり、厨房も汚してしまったし、完成した料理も驚くほど美味しくなかった。
「ああ……」
そんなことを考えたら、余計にお腹がすいてきた。
私は急いで階下の食堂へ向かい、普段の倍以上の量を注文して、ようやく食事にありついた。
「うん。うまい、うまい」
昨日の自炊料理とは、天と地との差だ。
そうやって朝飯を貪るように食べていたら……。
「ここ、いいかな?」
冒険者らしき三人組が、私の前に座った。
格好から判断するに、白魔法士と黒魔法士と戦士の三人パーティーのようだ。
だが自分から「いいかな?」と尋ねておきながら、私の返事も待たずに勝手に座るとは、なんたる無礼。城では、食事を私と同席できる者など、それなりの身分の者に限られていたわけだが……。
いや、ここは庶民の村の宿屋だ。それに、今は食べるのに忙しくて「あっち行け」と追い払うのも面倒だ。
「構わないが……。何か用か?」
儀礼的に用事を尋ねるだけで、私は食事に戻った。形式的な質問であって、返答に興味はないのだが、
「俺はラビエス・ラ・ブド。イスト村の冒険者だ」
「私はマール・ブルグ。このラビエスの幼馴染よ」
「パラ・ミクソです! 駆け出しの冒険者です」
三人は自己紹介を始めてしまった。どうやら、少し長くなりそうだ。私は食事に専念したいのに。
仕方ないので、一瞬だけ食べるのを止めて、私も名乗る。
「私はリッサ。ラゴスバット城から来た冒険者だ」
この言い方ならば、城に雇われているように聞こえるだろう。まさか伯爵家の一人娘とは思うまい。
さあ、あとは勝手に話してくれ。
続きは聞き流すつもりで、私は食事に戻ったのだが、
「その『用』なんだが……。食事の後で、鍛冶屋まで案内してもらいたいと思ってな。実は俺たち、奇妙な病気の噂を聞きつけて、この村にやって来たんだ」
「宿の女将さんからは、透明人間になる呪い……って聞きました。この目で見てみたいのです」
なんだと? この者たちも、透明化現象に興味あるのか?
もしや、何か解決のためのヒントになるような情報を持っているのでは……。
これは真面目に対応せねばなるまい。私はフォークとスプーンを置いて、白魔法士姿の男と、真面目に向き合うことにした。
「ああ、あれは病気ではなく呪いだ。解毒魔法も回復魔法も効かないぞ。なにしろ、私の魔法でも無理だったのだからな」
と口に出してから、少し考え直す。
ずっと城で暮らしてきた私とは違い、この者たちは冒険者だ。まだまだ若輩者のようだが――特に黒魔法士は自分で「駆け出しの冒険者」と言っていたが――、それでもおそらく、イスト村とやらを拠点として、大陸中を冒険してきたのだろう。
ならば。
私の知らない魔法を扱える可能性や、魔法に頼らぬ治療法を知っている可能性も……。
「まあ、鍛冶屋までは案内してやろう。どうせ駄目だろうが……」
ここで、思わず私は笑顔を見せてしまった。ようやく朝食が消化され始めたらしく、空腹感も少しは収まったので、自然に頬が緩んだのだ。
「……もし少しでも呪いを解除できるのであれば、こちらから頼みたいこともあるからな」
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