喪女とヤリマン

りんこ

第1話

『喪女とヤリマン』



夕方から夜にかけた谷間。開けていたマンションの窓からひんやりとした風が吹き込んできた。

夏が終わったのだな。と、薄く聞こえる虫の鳴き声で実感する。

今年の夏休みも実家に帰らなかった。バツイチで子供が二人いる妹と、男っ気の無い美樹の行く末を心配している両親に会いたくなかった。


レンアイ、ケッコン、セックス、ニンシン、シュッサン。

そのどれもが、美樹には、とても遠いもののように思える。

美樹の下半身についている陰部は、基本的には毎月、不要になった子宮の中に作られた内膜がはがれて経血が出てくる役割のものだ。

美樹は特に美人でもブスでもない。中の中というような容姿をしている。

太ってもいないし、痩せてもいないし(最近になって少し下腹の肉が気になってきたが)

長く黒い髪は、いつもひとつに結んでいる。普段会社に行くときは眼鏡をかけ、すっぴんなので飾り気はない。肌の色が白いのだけが美樹の自慢だ。

三十九歳独身処女。果たして、その割合がどれくらいのものか。

不安になって調べて見たことがあった。三十五パーセントの女性が実は、やらずの三十路。略して「やらみそ」だと知ったときは心底安堵した。年々、女性の処女率は高まっているらしい。

しかし、このまま、やらずの四十路、いや五十路になっていくのだと考えると、自分が女として生まれてきたことへの疑問を感じざるを得ない。

けれども、今のところ、処女ということに不自由はない。

エクスタシーだって小型マッサージをクリトリスにあてれば自分で得ることができる。

男性と付き合ったことは、ない。よく女の子同士で話している、男に対してのときめきも感じない。

上京して東京の大学を卒業後、食品会社に就職し、現在、企画開発部係長。去年、美樹が考案し発売した商品「レンジでチンする小さな肉まん」は調理工程が簡単でカロリーも低かったためか、若い女性層に人気になってその年のトレンドワードにもなった。

 パソコンに入れておいた新製品の会場調査一日目のアンケートの結果の資料を作り、ひと段落したところで、息抜きにSNSのページを開いた。

学生時代の友人の楽しそうな写真が映し出される。

『ずっと仲良しの友人とママ友会♪~ タコパーしたよー  ♯二十年間ずっと仲良し

♯赤ちゃん同い年 ♯ママ友』

子供を抱いて、笑っている。『母』の顔をしながらも、アプリで可愛く盛った写真を張り付けている友人達。

胸骨の裏に、嫉妬と羨望を感じてしまう。

―気楽なんだろうな。人の稼いだ金で生活できるって。

思いながら、美樹はスマホにこの間入れてみた可愛く盛れると評判のアプリで自分を撮って見た。

撮影ボタンを押し写った自分を見てげんなりした。

たしかに、普段の自分の何倍も可愛い。目が不自然に大きくなって肌がつやつやになり、犬を模した顔になる。

可愛いけれども人間のそれとは違う……。

美樹が中学生の頃に大好きだった漫画のキャラクター『肉まんミック』に似ていた。

『はるきいずみ』という漫画家の描いていたニックは目がくりくりとして、手のひらサイズなのに美味しそうに膨らんでいて、おっちょこちょいで可愛かった。

しかし『肉まんミック』の連載は長く続かず、単行本三冊で終わった。『はるきいずみ』は、そのあと別冊漫画誌でしばらく漫画を描いていたが、いつのまにか漫画界から消えた。一応有名少女コミックに連載されていたのに、ミックの話をしても人に通じることは少ない。


美樹は、男子に興味はないが、基礎化粧品やコスメや洋服を買うのは大好きなので色々なメーカーのものを使っている。ブログランキングで上位のブロガーさんの記事を参考にして新商品が出ると即、購入ボタンを押す。

なので、日曜日の午前にはいつもなにかしら宅配便が届いていた。

なんて便利な時代なのだろう。

ネットで買うと、想像と違っていたなんて商品も多々ある。そんなときは、衝動的な買い物癖の治らない己の背中に重い何かがのしかかってくる。

人気ブロガーさんが絶賛していた美容液も匂いが合わずに落ち込んだ。

開けてしまったので返品はできないし、返品の過程が面倒なので、結局捨ててしまう。

モッタイナイ精神とは対極にいる自分に幻滅し、大きな嘆息が漏れていく。生温かい自分の息が部屋に充満しているようで気が滅入った。

気晴らしに抽斗に入った小型マッサージ機をパンツの上からクリトリスに当てパンティの隙間に指すべらせ膣の中にいれて少し動かす。

すぐに快感がやって来て、イキそうになっていたら部屋のインターフォンが鳴って、身体がビクンと反応したと同時にエクスタシーが襲ってきた。

イッた瞬間に目の前が一段階明るくなって、その後は恥ずかしさと罪悪感のようなものに襲われる。

あー、なにやってんだか、わたしは。

椅子から立ち上がり、インターフォンの画面を見るとすでに部屋の前に人がいる。誰だかはすぐにわかった。

「いま、開けるね」

美樹はインターフォンの受話器を取って返事をした。扉の前と受話器から同時に声が聞こえてきた。

『よかった! いてくれて』

チェーンを外して扉を開けるとビニール袋を提げた泉が立っている。

隣人で親友の泉はいつみても美しい女だ。女優のような顔と出立。

泉は扉の隙間から飼っている猫ように自然と家に入り込んできた。

「ってか、普通に入ってきてもよかったのに」

「いや、だって美樹、夜はきちんとチェーンかけるじゃない? いきなりガコンって扉空いたらビビるでしょ」

最近、美樹が鍵を会社に置いてきてしまい、家に入れなかったことをきっかけに、互いの部屋の合鍵を持つようにしたのだ。

「たしかに」

そうだ。確かにびっくりするし、いくら泉と言えども、オナニーしている姿はさすがにみられたくない。

「また、ネットしてたの? 休みは家から出なさいな」

泉の髪はボブで茶色く艶めいている。顔が本当にネコのように小さい。目はくりくりと大きく鼻筋がすっと伸びていて、手足は棒のように細い。

きっと誰だって、おもわずじっと見つめてしまいたくなるほどの美人。泉はたった一人の美樹の親友。

「っていうか、仕事してたんだもん」

「ああ、おにぎり食べた? おべんとさんついてるよ~ も~美樹は」

言いながら美樹の頬を触る泉の手は冷たくて細くて死んだ小動物の骨みたいだ。ひんやりとした感じが心地よい。少しだけ心がときめいてしまう。もし自分が男だったら泉に心を奪われていたに違いない。

泉は隣の部屋の住人で、なおかつ『肉まんミック』の作者だった。美樹の大好きだった元漫画家は、漫画家を辞め、現在は小さな文房具メーカーで働いている。

偶然とは不思議なものだ。半年前、泉はこのマンションに引っ越してきて、隣人の美樹に菓子折りを持ってあいさつに来た。

「隣に越してきた春木泉と申します。よろしくお願いいたします」と言われ、美樹はまさかと驚いた。

いや、そんなわけがない、と思いながらも「あの、間違えていたらすみません、もしかして、フローラでやっていた、肉まんミック作者の方ですか?」と不躾にも聞いてみると、泉はすごく驚いて目を丸くした。

「え、ミックのこと、知ってるんですか?」

「わたし、ミックの大ファンでした、今も、単行本も持ってます」

「えええ、本当ですか? もう、売っていないのに、嬉しい……」

泉は、本当に嬉しそうにしてはにかんだ。

憧れだった漫画家本人が隣に引っ越してくるなんて、一体どれくらいの確立なのだろうか。

奇跡に近いのではないだろうか。

美樹がミックの大ファンだったことと、泉が『レンジでチンする小さい肉まん』を好んで食べていたことで、二人の距離は一気に縮まった。

(ちなみに肉まんの構想は、ミックから得たものだった)

ハルキイズミこと泉は美樹よりも五つ年上の四十四歳。

泉は漫画家としてスランプに陥っていた頃、つき合っていた男と結婚して漫画家を辞めた。が、旦那がダメンズだったために結婚生活はうまくいかず、三十歳の時に離婚。

結婚は、もうこりごりだというのが泉の持論だ。

泉と美樹はなぜだか初めから気が合った。なにがどうとか、うまく説明できないけれども、泉といると安心した、いつまでも話し続けていたいと思った。

美樹の人生に泉が入り込んできたことで、簡素だった美樹の人生に鮮やかな色が付いた。

「なんか、日曜日ってさみしくなるんだよね、ここでご飯食べていい?」

「うん、いいよ」

「じゃあ、いただきます」

泉は丸い容器の持ち帰り弁当を袋から取り出してリビングのテーブルで容器を開けた。

ぷぅんと、オムライスのいい匂いがする。

泉の会社の近くにある持ち帰り専門店のオムライスだ。泉はその店のオムライスをよく買って帰ってくる。泉が口運んでいたのはホワイトソースのかかったオムライスだった。

なんて優しい美味しそうな薫り。匂いにつられて美樹の腹が鳴った。おにぎりをたべたのは三時間前。ちょうど小腹が空く頃だった。

「あー、お腹いっぱいになってきちゃった、美樹、少し食べる?」

「え、いいの? 食べたい」

泉は大概ご飯を残す。体格からして胃が小さいのだと思うが、食べたい欲は強いらしく美味しいものをたくさん知っている。

「ここのオムライス、わたし大好き」

「でしょ、ここのって、有名店のよりも美味しいんだよね」

食リポサイトには載っていない、密かな名店。泉は美樹の知らないことを沢山知っている。

泉は、小さい頃親に捨てられ施設で育った。友人はおらず、漫画が大好きで、一人もくもくと漫画を描き続け、投稿していたら二十歳のころにフローラの新人賞を受賞した。が、人気は一瞬。順位が下がれば、漫画は打ち切られる。デビューした後、ストレスで禿げたこともあったらしい。打ち切りになったあとは『諦めるしかない』という転落の一途をたどっていった。これぞ、人生劇場というくらいに色濃い人生を歩んでいる泉の話は興味深い。

「お腹いっぱいになったら眠くなってきちゃったな、ちょっとだけソファで寝てもいい?」

「うん、いいけど、お風呂入る?」

「うーん、ちょっと寝て、明日入るから平気」

「泉、肉まん、冷凍庫に入っているからね」

「わ、やったー! いただく!」

泉は、本当に気まぐれな猫みたいだ。きっとこのまま、寝てしまって朝になる前に自分の部屋に帰るのだろう。

ソファに寝ころんですぐに泉は寝息を立てた。泉の背中は薄い。骨の形がよくわかる。肉の無い哀しい背中だ。

泉は、美しい。間違いなく四十四歳には見えない。とても美しくて面白いのに、いつもどことなく哀しみを湛えているのはなぜなのだろう。


翌朝、起きるとやはり泉は自分の部屋に帰っていた。

LINEを開くと♡が沢山あるスタンプが添えられ「冷凍庫の肉まんもらった~ いつもありがちょー 美樹大好き」と、書いてあった。

―美樹大好き

LINEを読みながら、美樹の口角は上がっていた。シャワーを浴びて仕事用のスーツに着替える。今日は新商品の会場調査二日目だ。


会場調査は、同期の山田と美樹の二人が担当で、世田谷にある区の施設で行われた。

山田は、地味で眼鏡で、歯並びが悪く、鼻はあぐらをかいていて目が細く。いわゆる不細工の部類に入るだろう。痩せて貧相で、女には相手にされなそうな容姿だ。

多分、この人、童貞なんだろうな。と、会うたびに思う。まあ、自分も処女なのだけれども。

「昼は、やっぱり主婦とか多いですね」

「そうですね、サラリーマンとかは、夜ですもんね」

会場調査は、新商品が出るたびに行われる。目隠しをしてもらい、新しい商品と同じ系列の他社商品、そして今までの自社商品を並べ食べてもらいアンケートに答えてもらう。

先月行われた会社の運動会で山田がミックのタオルを持っているのを見かけたときから、美樹は山田に親近感のようなものを感じていた。

ミックのタオルなんてかなりレアだし、販売はしていない。フローラの読者プレゼントでしか作ってなかったはずだ。

実は、美樹もそのタオルを持っていた。もったいなくて使っていないのだが、泉にその話をしたら大層喜んでいた。

山田の持っていたタオルは古いものらしくて黄ばんでいた。ミックのプリントは薄くなっていて、相当な年月を感じさせた。

山田もミックが好きなのだろうか。はっきりしないまま現在に至っていたが、その可能性は高い。

わたし、ミックの作者と仲良しなんだよ。と言ったら山田は驚くだろうか。

美樹は、優越感を得たいがために、山田に質問を投げかけた。

「山田さん」

「はい?」

「あの、漫画とか読みますか?」

「え、漫画ですか、えー、まあ普通に、何でですか?」

「いえ、あのちょっと気になっていたことがあって」

「気になっていたこと?」

ぴりりと脳に電流が走った。やはり山田は肉まんミックを知っているのだろう。期待に胸が躍る。

「山田さんって、昔やってた肉まんが主人公の少女漫画知ってますよね?」

「え? 肉まんですか? ちょっと、わかんないっすね、にんにくマンなら知ってますけど……」

二人の間に沈黙が訪れた。サイレンス……聞かなきゃよかった。

「あ、ならいいです、すんません」

「いえ、おれがすいません、なんか」

「いえ、世代的ににんにくマンですよね、やっぱり」

にんにくマンは男子向けに流行った格闘漫画で、美樹の世代で知らない人の方が少ないだろう。

「アホ」

「え?」

確かにアホなことを聞いてしまった。しかし、直接アホだなんて失礼だと驚いていたら山田が口を開き笑いを浮かべた。歯並びがわるいから小石を接着剤で無理やりくっつけたみたいな口元だ。

「スペイン語でアホって言うんですよね、ニンニクって」

「あ、そうなんだ」

つい、気が緩んで、ため口になった。

「ちなみに、牛はバカって言うらしいですよ」

「そうなんだ、なんかおかしいですね」

「なんか、牛とかニンニクの話してたら焼肉食べたくなってきたな」

「たしかに、焼肉食べたくなりますね」

「今日、一緒にどうですか? 行きませんか焼肉」

「え? 今日ですか」

急な山田の誘いに美樹は動揺した。なんですか、この急な展開。


会場調査を無事に終え、惑いつつも美樹は三軒茶屋にある焼肉屋で山田と向かい合い座ってビールを飲んでいた。

「はじめてですね、さし飲み」

送別会や、歓迎会以外で男子と飲んだこともないのに、急に山田とさし飲みなんてレベルが高すぎる。

山田はすぐに顔を赤くして、世田谷にある実家で暮らしていることなど、大学時代の思い出などをべらべらとしゃべりだした。

「安田さんは独り暮らしですか?」

「はい、一人ですけど……」

肉とキムチが運ばれてくる。

コースにしたらしく、次々と肉が運ばれてくる。付け合わせにと、生ニンニクと青唐辛子とゴマの葉が添えられていて山田は焼かれた肉にニンニクとゴマの葉を巻きながら肉を噛んでいる。

「なんかいいなあ、女の子の一人暮らしって……料理とかします?」

「まあ、それなりにしますけど」

「ですよねー、しそうですよね、おれ、今度、バレンタインの企画で女子向けのチョコまんをプレゼンしようと思っているんですけど……形とかどういうのがいいのかなって考えていて、安田さんの肉まん、超ヒットしたじゃないですか、あれってどういう風に考えたんですか」

ああ、なるほど、マーケティングのための食事だったのかと。美樹は胸をなでおろし、やっと、緊張がほぐれた。

「そこはですね……」

美樹が真面目に答えようとすると、山田が話を遮った。

「っていうのは口実で、ほんとは安田さんと二人で飲みたかったんです」

「え?」

唐突な告白に、声に険が混じってしまった。山田の顔は赤いがそれが酔っているのか、照れなのか血流がよくなったからなのかはわからない。

「いやおれ、安田さんのこと可愛いと思ってたから」

「何を……言っているんですか」

「いや、まじ、色白くて、いいなと思って」

山田のことをそういう感情で見ていなかったはずなのに、好きだと言われると心臓が音を立ててしまう。

「冗談やめてもらえますか?」

「冗談じゃないですよ」

気まずくなって美樹はもくもくと肉を食らい続けた。山田は目元を赤くしながら再びビールを頼んで、美樹もそれに便乗した。

「山田さん、酔ってるんですよね?」

「あー、少しは酔ってますけど、そこまででもないですよ、そういえば、肉まんの漫画、思い出した! 肉まんなんとかって少女漫画、前の彼女が好きでグッズとか持ってたな」

「え、山田さん、彼女いたんですか?」

運ばれてきたビールをあまりおいしく感じられなかった。肉の食べ過ぎで胸やけがしてくる。

「そりゃ、いますよ、もう三十九歳ですよ?」

からからと笑う山田に対して、軽いショックを覚えた。なんだ、山田は童貞ではなかったのか……。

「安田さんは、結婚願望とかないんですか?」

「今のところないですね」

「え、彼氏とか、いないんですか?」

「今はいません」

見栄を張ってしまった。今、じゃなくてずっとなのに。

「え、ラッキー」

「なにがですか」

「じゃあ、俺とランデブーとかしません?」

ランデブー……。ランデブーなんて言葉、今の人たちは使わないだろ普通。

「この後、まだ、時間あります?」

「え、いや、あの」

 この流れ、だめだ。ホテルに誘われそうな気がして怖気づいた。美樹は財布を取り出し山田に金を渡す。

「この後、用事あったの思い出しちゃって、ごめんなさい、じゃあ、また明日」

逃げるようにして美樹は店を出た。山田の視線を背中に感じながらも、一刻も早く山田から離れたくなってしまった。

心臓の鼓動は鳴りやまない。臓腑の振動で気持ち悪くなってしまい、広場の植木の土にまだ消化しきれていない固まり肉を吐いた。

「安田さん、大丈夫?」

吐いていたら、水を持った山田が後ろに立っていた。

「なんで、頼ってくれないんすか、具合悪かったんですか?」

「いや、そうじゃなくて、食べすぎちゃったみたい」

「じゃあ、ちょっと、どっかで休みませんか? 安田さん家まで行きましょうか?」

「いや、それはちょっと」 

困る。泉に山田といるところを見られるのは嫌だ。

しかし、吐いたせいか、眩暈がするしまだ気持ち悪い。とにかくいますぐ横になりたい。まだ吐き足りないし、休みたい。

「じゃあ、あそこでちょっと休みましょう、あ、絶対なんもしないんで安心してください」

山田が指を指した先はラブホテルだ。

この際、しょうがない。さすがに、こんな公共の場で吐いてぐったりし続けるわけにはいかない。

「……はい」

美樹は、山田の肩にもたれて生まれて初めてのラブホテルに入った。

山田のシャツからは、微かに柔軟剤のいい匂いがした。不細工でちっとも好みじゃないのに、少しだけ胸が浮ついた。


 手をのどに突っ込み、トイレで吐いてから歯を磨いて口をゆすぎ、ホテルのベッドでしばらく横になっていたら、体調は回復してきた。

山田はスーツ姿のまま、ベッドに腰掛けテレビを観ていた。

ラブホテルって、窓がないんだ……。

そんな風に思いながら美樹は天井を見上げていた。

ふと、固くて温かい山田の指が、美樹の手に触れた。

そのまま、徐々に美樹の顔に山田の手が近づいてきた。大きな蜘蛛がゆっくり歩いているみたいだった。

貧相な身体の割に大きな手だ。手の動きを見ていたら山田の口が急に美樹の唇に覆いかぶさってきた。初めてのキスはナメクジが這っているように感じた。焼肉の匂いのするナメクジ。

「安田さん、まじで、可愛いよ」

山田は、一言そう言ってから、服を脱ぎ、美樹の服を脱がしながらパンティの中に手を入れてきた。

抵抗する気力がなかったし、処女でなくなることへの興味もあった。山田は自分を可愛いと言ってくれているし、ここで処女を捨てるのは妥当なことのように思えてしまった。

美樹は体の力を抜き、山田に身を任せた。

はあはあと荒い息を吐きながら、山田は美樹の中に侵入してきた。

暗くてよく見えないけれども、山田のそれは多分小さいのだろう、処女喪失の体験で聞いていた痛みは微塵も感じなかった。ただ、異物が入ってきた感覚があったが、タンポンと変わらない。然して痛くもない。

もっと、メリメリと音を立て、処女膜がばつんと破られるのを想像していたが、美樹の処女喪失は二分半で終わった。

「安田さんが可愛くて、我慢できなかった……」

山田はそう言って、さわやかな笑顔を見せたが歯の間には、さっき食べた肉とサンチュが挟まっていた。

美樹が指で己の陰部を触ると、ぬめりの後にざらつきのある感触の液体が膣から漏れている。

行為が終わると、山田はそそくさとシャワーを浴びに行った。

美樹も続いてシャワーを浴びた。

シャワーを浴び終わってからは、山田は甘い言葉を美樹にかけるでもなく、「明日も早いから、そろろ帰りますかね」と、先ほどまでとは違うテンションで美樹に声をかけ着替え始めた。

山田はホテルをでると、とっととタクシーを止めて一人で帰ってしまった。

「安田さん、家、逆ですよね、んじゃ、また明日」

セックスしたのに、処女をささげたのに。駅までも送ってくれない山田に少し腹が立った。好きでもなかったのに可愛いと言われて浮足立った自分にも腹が立った。

痛くはなかったが、下腹部の違和感が増してきて、ケガを負わされたような気分だった。

帰り路、パンツに垂れてくる液体が気持ち悪くて、ハンドタオルをウエストの部分からこっそりパンティの下に敷いた。駅に着き、揺れる電車の中から暗く浮かんだ窓の外の景色を見つめていたら、空しさがこみあげてきた。


駅からの帰路の途中、自宅のマンションを見上げると、自分の部屋に灯りが点いていた。

安堵が美樹の背中を覆う。

「ただいま」と、言って部屋を開けると泉がソファでくつろいでいた。

「おかえり、おそかったね」

泉の顔を見た途端、胸が苦しくなって顔に影が落ちた、つうと、一筋の涙が頬をつたった。

「美樹、ど、どうしたの?」

「なんでもない」

「なんでもなくて泣かないでしょう」

処女を失った。捧げた相手に冷たくされた。処女を失ったこと自体は全く大したことではないけれども、山田ごときに冷たくされて悲しくなった。

美樹は泉に自分が処女であることを言っていない。泉のことは大好きだけれども、美樹は自分の話を人にするのが苦手なのだ。

「仕事で、なんかちょっと嫌なことがあって」

「そっか、よしよし」

泉はさすが年上だけあって、母性が強い。

泉に頭を撫でられて、腹の中に溜まっていたどす黒いものが抜けていくような気がした。

「美樹は、頑張り屋さんだからな」

「いや、ただ単に馬鹿なんだよ」

「まあ、なんか、確かにはまりやすいとことかあるよね」

くつくつと、泉が笑ってくれて、美樹の中にあった不快感が薄れてきた。

まるで服を着たままプールに落とされたような不快感を抱いたまま美樹は家に帰ってきたのだ。

「美樹、焼肉食べた?」

「え? わかる?」

「わかるよ、わたし、嗅覚鋭いから、大体なにを食べてきたかわかる」

そうか、だから泉はいつもいい匂いがするんだ。

「特技だね」

「いや、逆に臭い人が近くに来るときついよ」

「そうか、そりゃ大変だね」

「美樹、もしかして彼氏できた?」

「え! なんで」

「なんか、いつもと違う匂いがする。あと、シャツのボタン掛け違えてるし」

「え! あ、ほんとだ、ボタン……」

恥ずかしい。こんな格好で電車に乗って帰って来ていたとは。ボタンがあべこべになっている。

「ううん、彼氏とかではないよ……」

「そっか、好きな人?」

「ううん、違うんだ」

そういえば、プライベートの山田の連絡先すら聞いていない。これっていわゆるやり逃げってやつだろうか。

同じ会社なのに、もし本当にやり逃げされたのだとしたら、大した図太い男だ。

「あー、いいなぁ、わたしはきっともう、一生結婚とかないんだろうな」

「泉なんて、いくらでも言い寄ってくる男の人いるでしょ」

「うーん、前の結婚で懲りたから、彼氏とか、決まった人とか、なんか考えられないんだよね、終わってるよね」

「そんな、こんなに美人で優しいのに」

「あはは、美樹のほうが優しいよ、本当に、邪気がないっていうか」

泉の目の奥はガラス玉みたいに美しい。美樹はその瞳に吸い込まれそうになりながら、泉の胸に顔をくっつけた。

「よしよし、大丈夫、美樹にはわたしがいる」

「うん」

泉は、いつもいい匂い。子供の頃に嗅いだお母さんのような匂いがする。


翌日、山田は会社に来ていなかった。

上司に聞くと、次の商品のプレゼンの件で小金井市にある工場に出向いているらしかった。

美樹は、昨日のアンケート結果の集計を終えてから、山田をネットの中に探した。

SNSの中にすぐに山田が見つかった。

山田のSNSは、女の子とラーメンと焼肉の写真であふれていた。

昨日一緒に行った焼肉屋の写真もあった。女の子と一緒だ。タグ付けされた女の子が気になって、その子のページに飛んだが、友人しか見られない設定になっている。

だが、トップ画像は山田とのツーショットだ。正直言って容姿だけを見たら醜い女だった。太っていて、アプリで目を大きくしているのにもかかわらず可愛くない。

山田のページに戻り遡って見ていたら、後ろから、後輩の女子に話しかけられた。

「安田さん、なんでガッチャのページなんか見てるんですか」

歯がガチャガチャしているからという理由で、山田は後輩女子からガッチャというあだ名をつけられている

「あ、いや、なんか気になることあって」

「ガッチャ、結婚するらしいですよね、あんなブサ男と結婚するなんて、どんな女なんだろう、女の写真、載ってます? 見たい見たい」

「え? まじで? 多分、この子かな? 載ってるよ」

「げー、くそブス? でもなんかお似合いだな……っていうか安田さん、ガッチャの結婚のこと、聞いてなかったんですか?」

「うん、聞いてないよね……」

「なんか、一時期、彼女と別れて寂しいとか嘘ついて、ほら、経理の佐々木さんって、アラフィフおばちゃんいるじゃないですか? あの人とご飯行ってホテル行ったらしいんですよ、本当、ガッチャのくせに最低ですよね」

後輩の話を聞いて、血の気が引いた。

同じようにやり逃げされた佐々木さんに同情せざるを得なかったが、さすがに佐々木さんは処女ではなかっただろう。

三十九歳にもなって、処女喪失がやり逃げなんて。馬鹿なのかわたしは。

可愛いと言われて浮かれてしまった。ミックを知っているというだけで山田に気を許してしまった。不細工だからって、童貞だとはかぎらない。まさか、山田が最低ヤリチン男だったなんて。と、美樹は大きく肩を落とした。


その後、山田と顔を合わせても必要なこと以外、話すことはなかった。数か月後、秋の終わりに山田は彼女と結婚した。彼女は妊娠していたらしく子供も生まれていた。

山田は名古屋支社に転勤になって会社からいなくなった。彼女がもともと名古屋の出身で、かねてから転勤願いを出していたらしい。

計画的犯行。という言葉が頭に浮かんだ。結婚前に遊んでおくつもりだったのだろう。

美樹はストレスが溜まって過食に走り、二キロ太ってしまった。

あまりの食欲を泉に心配されたので失恋のやけ食いだと言っておいた。(好きでもなかったのに!)

もう、男なんてまっぴらだ。期待が大きかった分、落胆がすさまじかった。

全ての男が山田と同じとは限らないが、この世は罠に満ち溢れているのだと、身をもって体感した。

数週間後、過食は治まったが、ストレスの矛先は嘔吐になった。胃がむかむかしてしょうがなかった。もしかした胃潰瘍かもしれない。隙間を見て病院に行こうと思いながらも忙しさで自由な時間が作れない。

歳を重ねるごとに年月が経つのはあっという間だ。街にはダウンコートを着ている人が溢れている。

美樹は『レンジでチンするクリームシチューまん』という冬向けの商品を担当していた。

『レンジでチンする小さな肉まん』をヒットさせた美樹は会社から期待されていた。上層部も乗り気で、今度もヒットは間違いないだろうと言われ、山田との一件の後、気を紛らわせるためにも美樹は必死でクリームシチューマンを研究した。

試食を何度も家に持ち帰り、泉と共に試行錯誤した。

皮をもう少し薄くして、チーズも少しいれて……。

泉は、美味しいものをよく知っているのでアドバイスは的確だった。おかげでクリームシチューまんは、肉まんと同じくらいヒットした。簡単で、子供も大人も美味しく食べることができて冬に丁度良くて、なおかつちょうどいいサイズでカロリーも少なめ、完璧な商品だった。

胃が悪くなって嘔吐することが多くなっていた美樹に泉が聞いた。

「美樹、最近ずっと吐いてるけど大丈夫?」

「胃が悪いんだよね、病院行かないと」

「っていうかさ、美樹、生理、ちゃんと来てる?」

唐突に聞かれ、指折り数えた。そういえば生理がしばらく来ていないことに気が付いたが、それは美樹にとってはよくあることだった

仕事が忙しすぎて四十歳で閉経してしまったという人の話も聞いたことがあったので、美樹は気にせず日常を過ごしていた。

「え? そういえばずっと来てないかな……」

「もしかしたら、妊娠してない?」

「まさか、そんなわけないよ」

だって、セックスしたのは、たった一度だけだし。しかも二分半で、セックスと呼べるような代物ではなかった。

「最後にセックスしたのいつ?」

最期も何も一回しかしてないんだけど……と若干恥に塗れながら美樹は答えた。

「あの日……あの、八月の終わりに泉が家に遊びに来てた日だけど、でも、妊娠なんてしてるわけないよ」

ふー。と、泉が大きく息を吐いた。

「でも、セックスしたんでしょ?」

「まあ、一応」

「美樹、ちょっと重いかもしれないけど……私の話を聞いてくれる?」

そう言って語られ始めた泉の話は衝撃的だった。結婚していた時に、泉は何度か妊娠したが、夫だった男がDVだったために、流産を繰り返した。

三度目の流産のとき、妊娠八か月で腹を蹴られ、すでに人間の形をしていた我が子を亡くした。その際、もう子供を産むのは無理だと医者に告げられた。

人生で唯一後悔しているのは、漫画を描くのを辞めたことよりも、いつか治ってくれるとの淡い期待を抱きながら夫から逃げなかったことだった。

その後は離婚し、自棄になって好きでもない大勢の男と身体を重ね続けた。

今でも、求められれば、誰とでも寝てしまう。会社の男ほとんどと寝ている。身体が渇望していてしょうがないのだと言う。もう子供の産めない女、そんな哀しみをセックスで埋め続けている。

「……泉が? うそ」

「ううん、本当の話なの、わたし、ものすごくヤリマンなの」

複雑だった。多数の男に身体を許すような女だとは思っていなかった。

大好きな泉に裏切られたような気がしてショックだったが、同時に美樹は泉に対して憧れや友情以上の恋慕のような感情があったことにはっきりと気が付いてしまった。

今、美樹は泉を抱いているという男たちに対して怒りを覚えていた。

「美樹、私の経験上、妊娠してると思う。今からわたし、検査薬買ってくるから、待ってて」

今までに見たことのないような真剣な泉のまなざしに言われ、美樹は頷くしかなかった。

そんな、そんなことあるわけがないとおもいつつも、嫌な予感が胸の奥に出現していた。

確かに、便秘がちで、腹だけがせり出し、最近臓腑がよく動くなとは思っていたのだ。

泉が買ってきてくれた検査薬に尿をかけ、しばらく待った後、赤い太陽のような〇の記号が浮き出たとき、美樹の背筋は凍った。

妊娠……。している。

この腹の中で胎児が育っていたのか……。

泉が検査薬をのぞきこみ、頷いた。

「やっぱり、で、相手の人は?」

「相手は……」

山田しかいない。が、山田は結婚して名古屋にいる。会社の携帯の番号も変わっていたから連絡先も知らないし、山田に、妊娠したなんて言いたくもない。

「相手は付き合ってもないし、一回だけの関係だったし、その人、結婚したばかりなの、だから早めになんとかしないと……」

「美樹、何とかなんて言わないでよ」

「だって、大事な仕事もあるし、わたし、一人で子供なんか産めないよ」

妊娠なんて美樹にとって遠い世界の話だった。恋愛も結婚もすっとばして、ニンシンなんて……。

「美樹、わたしがその子を育てるよ、だから産んでよ」

泉の口からとんでもない言葉が飛び出てきた。

「そんなこと、できるわけないよ」

「でも、美樹、その子、もう人間の形をしてるんだよ? 生きてるんだよ? 美樹のお腹の中で赤ちゃん生きてるんだよ?」

吐き気がしてくる。生きているんだよ? 言葉が深く胸に突き刺さり美樹はどうしようもない憤りに泣き出してしまった。「ごめんごめん泣かないで」と、泉に優しく抱きしめられる。ヤリマンだと聞いて憤ったのに、泉に抱きしめられるとやはり安心した。泉の身体からはいつも石鹸のいい香りがする。

翌日すぐに休みをとり、泉に付き添ってもらって産婦人科に行った。温かいゼリーを腹に塗られ、映し出されたエコーの画面の中には、きちんと人間の形をした胎児がいた。すでに妊娠後期に入っている。と、医者が言った。

生きている胎児の鼓動を聞いて美樹は決めた。産む。産んで、泉と一緒にこの子を育てる。

昨日はあんなに、嫌だったのに胎児の鼓動を聞いて、母としての決意のようなものが美樹の中に生まれていた。

「泉、わたし、産む」

自分の体の中で命が育っていると思うと、不思議でしょうがなかったが、産まなければならない使命感のようなものが美樹の胸の中に大きく広がっていた。

美樹が言うと「ありがとう」と、泉が泣いた。美樹の眼前も涙で揺らめいた。

二人病院の待合室で、人目も気にせず抱き合って泣いた。


産むと決め、会社に産休届を出した。臨月までは働くと伝えると、上司は驚いていたが深くは聞いてこなかった。親には一応妊娠して産むとだけ告げた。

妹もバツイチだし、美樹もいい歳で自立しているので父親が誰かだとかいうことは聞かれなかった。

クリームシチューマンが売れ続け、会社の株も上がっていたし、女性の出産に対する発言に会社や世間が慎重になっていたことが功を奏した。

妊娠がわかった日から美樹は会社が終わると毎日まっすぐ美樹の家に寄ってくれて、なにかと世話をやいてくれた。

むくんだ足を揉んでくれたり、臨月に入ると靴下を履かせてくれたり、まるで夫のような役割をしてくれた。

「わたしね、もう、好きでもない人と寝るのやめたの、セフレのLINEも消した、この子の父親になりたい」

「そっか、よかった、うん、泉がいてくれたら頼もしい」

嬉しかった。本当に泉が心を入れ替えてくれて、お腹の子の父親になってくれたみたいで、心強かったし泉が自分だけのものになってくれたことに高揚した。

破水し陣痛が始まったのは夜中で、破水を告げると泉は手早くタクシーを呼び、入院グッズを持って一緒に病院に向かってくれた。

 分娩室に入って二十五時間。一回のセックスしかしていなかったから産道が固かったのか、予想以上に難産だったが、身体中の水分と共に、無事に猿のような顔をした赤ん坊が生まれてきた。

赤ん坊は、か細い声で泣いた。看護師さん達が「可愛い女の子ですよ」と洗った赤ん坊を持ってきてくれた。

「美樹、がんばったね」

寝ないで立ち会って、ずっと励ましてくれていた泉はぼろぼろと大粒の涙をこぼしていた。美樹は疲弊しすぎて泣くどころではなかったが、自分のために泣いてくれる泉を愛おしく思った。

―この子は、泉と自分の子供なのだ。

美樹はそう思った。

子供を産めなくなってしまった泉の代わりに、神様がわたしたちに授けてくれた子。

「この子は、泉と、わたしの子だよ」

泉は顔をくしゃくしゃにして頷きながら泣いている。美樹の妊娠がわかってから、一緒に居る時間は増えたのに、泉が安定剤を噛んでいるのを見ることはなくなっていた。それは、美樹をとても安心させた。

「泉、名前、決めてね」

小さい。腕に抱いた子供は思っていたよりもすごく小さい。

髪の毛が少なくて丸くて温かくて柔らかくてお饅頭みたいだ。

「名前、実は考えてたの『みく』はどうかな、漢字は、まだ、決めてないけど」

「いいね、ミックだね」

「うん、美樹とわたしの、ミックちゃん」

運命というものが、もしあるのだとしたら、それは全て繋がっていて、ミックと出会って、泉に出会えて、山田と(あまり思い出したくもないけど)セックスをして、みくに出会えたことは運命と呼べるものなのかもしれない。

「みくちゃん、クリームシチューみたいな匂いがするね」

「ほんとうだ、乳酸菌の匂いだ、クリームシチューまんだ」

泉がと美樹はみくの頭に顔を近づけて、すうと鼻から息を吸う。

温かくて優しい匂いが美樹の鼻孔に広がっていき、眼窩の奥が少し潤んだ。

                                   


 了
















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喪女とヤリマン りんこ @yuribo

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