第4話「チキン」

宮原愛花は知らなかった。

美桜「このッ!」バシンッ!

文彦「アンッ!♥」

世の中にムチで叩かれて嬉しがる者たちがいることを。

文彦「もっとーッ!」

美桜「この変態!」バシンッ!

文彦「アァーッ!❤」

故に彼女の脳内回路は…

愛花「…」

止まっていた。


~翌日~

愛花「…」

女子A「どうしたの、宮原さん?」

愛花「…え、あ、ううん。何でもないよ。」

心の中では…。

愛花(何であの人たちはあんなことやってたの?!今そういうの流行ってたりするの?!)

流行るわけがない!

女子A「ホントに大丈夫?体調でも悪いんだったら…」

愛花「ううん、全然大丈夫!」

女子A「そう、ならいいんだけど…」

愛花(あぁもう、余計な心配かけちゃうし、もう考えるのはやめ!)

キーンコーンカーンコーン♪

愛花「あ、次って移動教室でしょ?ほら、急がないと。」

女子A「あ、うん。」


~移動中~


愛花「ほら、早く。」

女子A「宮原さん待ってぇ。」

愛花「急がないと遅刻しちゃうよ。」

女子A「あ、宮原さん、前見て、前!」

愛花「え?」

バタンッ

男子「うわっ」

愛花「きゃっ」

女子A「大丈夫、宮原さん?」

愛花「う、うん、大丈夫。」

男子「ごめんね、俺の不注意で。」

愛花「ううん、私の方こそ前を見てなかったのがいけなかったから…あっ。」

男子「…あっ。」

愛花(この人、この前もぶつかっちゃった人だ!まさか二回もぶつかっちゃうなんて。)

そう、このぶつかった相手は…

聖太(またこの人だ!やべぇ、なんて話しかけたらいいんだ?!)

久しぶりの登場のチキン主人公である!

愛花「あの、そちらこそ大丈夫ですか?」

聖太「…えっ、あ、うん、大丈夫大丈夫っ。じゃ、これでっ。」ビューンッ!

愛花「あっ…、行っちゃった。」

女子A「あれ、手帳落ちてるよ。」

愛花「この手帳、さっきの人のだ。」

愛花(ちょっと中を見るのは気がひけるけど、確認しないと。えっと…2年B組の崎町聖太くんか。後で届けに行こっと。)

キーンコーンカーンコーン♪

愛花「あっ…」

女子A「あっ…」

変なタイミングで主人公が現れたため、授業に遅刻したのであった。

聖太(なんだ、この物凄い罪悪感は?!)


~昼休み~


愛花(他のクラスに入るのちょっと緊張するなぁ。)

男子A「おいおい、何でまたうちのクラスに来てんだ?!」

男子B「知らん!…だが」

男子共(嬉しい!)

クラスの男子の心が一つになった瞬間である。

聖太(またかよ?!)

一人を除いて。

愛花「あのー、崎町くんは居ますか?」

聖太(よりにもよって俺かよ?!)

晴人「あそこだよー。どうも与野木晴人です☆」

聖太(与野木ィッ!)

愛花「あ、ありがとう、与野木くん。」

晴人「いえいえ☆」

聖太(何キメてんだよ!)

女性と普通に話せることに嫉妬しているのだ。

聖太(くそっ、ホントにどう会話したらいいかわかんねぇ!)

愛花「あの、崎町くん。」

聖太「は、はい。」

愛花「これ、あの時落としたみたいだったから届けに来たんだ。」

聖太「えっ、…ホントだ。ど、どうも、ありがとう。」

愛花「ううん。あの時は私がきちんと前を見てなかったのが原因だったから。本当にごめんなさい。」

聖太「い、いいよ、いいよ!そんな謝らなくてもっ。」

聖太(謝られると俺に殺意を持った視線がとんでくるだよ!)

男子B「アイツ、宮原さんに頭を下げさせるだとぉっ?!許せんっ!」

聖太「わかったから、お願いだからもう頭を上げてっ!」

愛花「あ、はい…。」

聖太(もう、他の奴らの視線が痛いっ!)

愛花「じゃあ、私はこれで。」

聖太「あ、うん…。」

聖太(すぐに帰ってくれて良かったぁ、でも…)

男子共(何なんだ、アイツ!)

聖太(あの視線からも早く解放されたい…)

それはしばらくの間続くのであった。


~宮原家 宅~


愛花(いやー、あんなことが二回も起きるなんて。なんか、本当にラブコメかよって思っちゃうよ。)

そして、彼女は思う。

愛花(崎町くんか…んー、前にも会ったことがあるような気がするんだけど…んー。)

果たして、二人の距離はどう縮まっていくのだろうか…。


To be continued…



よかったらレビュー、コメント、評価の方よろしくお願い致します。


次回もお楽しみに!

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理想の彼女と変人たち 蒼白ケイ @aosira-k

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