第13話 たんけん〜中編〜

結局1番上の階には何もありませんでした。

音の出る箱、本当にあるんでしょうか…。プリンセスさんを疑ってるわけではありませんが見つからないような気がしてなりません…。

イワビーさんは変わらず笑顔で下の階に行くぞー!って張り切ってます。そうです、私もイワビーさんみたいに明るくならないと…!


「えぇ!次の階!行きましょう!!」

「どうしたジェーン、急にやる気だな」

「なんでもないですよ!行きましょ!」

「お、おう!」


次の階。電灯が切れかかっていて少し不気味。


「この階も奥から探すか」

「そうですね…」

ガチャ…

「どうだ?あるかー?」

「んー…なさそうです…」


音の出る箱、見つかるのかな…。でも見つかっちゃうと帰らないといけない。でも帰りたくない。

私は…少しでも長く…イワビーさんと一緒にいたいから…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ジェーンが急にやる気を見せてびっくりした。なんか分かんねえけど気合十分のようだ。頼りになるぜ。


「この部屋はどうだ…?」

「うーん…ここにもなさそうです…」

「ほんとにあんのかぁ〜?プリンセスのやつ嘘ついてるんじゃねーだろうなぁ」

「プリンセスさんに限ってそんなことはないですよ、一生懸命探しましょう」

「そうだなー…」


新曲、楽しみだ。今回は2人組で歌うパートを考えてるらしくその2人を誰にするかプリンセスが悩んでるらしい。コウテイは俺とジェーンを推してるらしいが、プリンセスはフルルとジェーンのコンビも気になってるらしい。確かにちょっと抜けてるフルルとしっかり者のジェーン、いいコンビかもしれねえ。


妬ける…。妬けるなぁ。ジェーンを一番理解してんのは俺だ。多分俺だ…。いや、絶対俺だ。だから新曲を見つけたらジェーンと離れる気がしてしまう…。音の出る箱なんて見つからなきゃいいんだ。

だって俺は…俺は少しでも長く…ジェーンと一緒にいたいから…。

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純情可憐にロックンロール 佐藤敢(Isam Satou) @Kalium_Friends

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