第12話 たんけん〜前編〜

吹雪が止んだ。なんだよもうちょっと吹雪いてくれてたらジェーンともっと寄り添えるのに。


「止んだな。行くか」

「あ、はい行きましょう」


そのあとは特に問題もなく山の上にある建物に着いた。


「うわぁ~…でっけえな…!」

「大きいですね…どこに音の出る箱というのはあるんでしょう……」

「さあな…プリンセスもここにあるらしいということしか聞いてないみたいだから、もしかするとないかも」

「えぇ…なかったらどうするんでしょう…」

「ま、とにかく探そう」

「そうですね…」

「こういうの探検みたいでワクワクするぜ!」

「そうですね!ワクワクします!」

「とりあえず上から見ていくかぁ」


階段を何階分か上がって1番上。結構見晴らしがいい。


「見晴らしいいな!」

「そうですね!この前の観覧車の時と似てますね!」

「確かに!楽しかったな!」

「はい!!楽しかったです!また二人で行きましょう!」

「おう!行こうな!……ってこんな話してる場合じゃなかった、奥の部屋から見てみるか」

ガチャリ…ギィ…

「ん…?ベッド…があるだけ…かな?」

「そうみたいですね……ここにはなさそうです」

「一応部屋ん中全部調べてみるか」

「き、気をつけてくださいね…?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


吹雪がもう少し続いてればイワビーさんと長く寄り添えたのに…という私の願い虚しく吹雪は止んで建物に着いてしまった。

こういう建物、すごくワクワクするのだけれど、その反面怖さも感じる。でもイワビーさんがいれば大丈夫…かな。


どんどん進んでいくイワビーさん。私には出来そうもないからとても憧れる。

私にはないものがイワビーさんにはある、それが私がイワビーさんを好きになった理由。


1番上に着いた。とても眺めがいい。綺麗な建物だったら私の巣にしたいほど。

そういえば遊園地で観覧車に乗った時もこんな眺めだったな。また二人で、イワビーさんと遊園地に遊びに行きたい。


イワビーさんが奥の部屋に入る。怖いもの知らずで中に入れるイワビーさんはかっこいい。


いざとなったら私を守ってくれる…かな?


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ジェーンは好奇心はあれどこういう不気味な感じのやつは怖がるから気をつけてやらねえとな。俺は別に気にしないけど、ジェーンに何かあったら困るし…。


「ん~……」

「イワビーさん音の出る箱、ありますか?」

「…いやぁ…ここにはなさそうだな~…」

「そう…ですか、じゃあ次のお部屋に行きましょうか」

「そうだな」


ジェーンの良さは怖がりなところ、俺にはこういう乙女な面っての?そういうないから憧れるっていうか好きな理由の一つ。


だからこそ、いざとなったら俺がジェーンを守ってやらなくちゃ…。

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