異世界皇子と私の恋物語

異世界に落ちた!?

こんにちは。

私、轔って言います。

顔立ちは男らしくなっているし体型も絶望的の私です。

ただいま私は森を全力で走って狼から逃げております。


それはほんの三十分前の事。

「またね〜」

そう言って私は付き合いたての彼と別れた訳ですが、何故か私は階段を踏み外してしまい、今に至るのです。


階段を踏み外してから今まで色んなものに追われました。

どう考えてみても私のいた世界では見られないほど大きい熊やら、歯がおかしいほどに生えている鷹に追われ続けた結果、只今どこかの街に辿り着けました。

「ようやく一息つくことが出来るわ。」

そう息を吐いたばかりなのに背後から

「そこのみすぼらしい者よ、どきたまえ。」

と言いながら私を人混みに放り投げやがった。

「まったく。なんだってこんな奴がこの国にいるんだか。」

「本当だな。こんな娘はこの国には居場所はないって言うのにな。」

その言葉が聞こえてきてはさすがの私も怒りが頂点に達してしまった。

「なんですかあなた達は!」

「なにか文句があるのか?」

「私は今休憩してたでしょ!」

そう口論をしていると、

「どうしたんだ?蕉雨」

と、不思議な感じがする声が聞こえた。

と思った直後、私の目の前に少しどころじゃないカッコイイ軍服姿の男が現れた。

「し、失礼しました」

と蕉雨と呼ばれる男が謝っていた。

「あなた誰?」

「な、お前はこの方のことを知らないのか!?」

そんなことを言われても今ここに来たばかりなのに知るわけがない。

「誰?」

と聞くと、

「ホントに知らないのか?」

と男に言われてしまった。


その後、私は男にどこかの城に連れていかれた。

男は巳碧といいこの国優弥の第三皇子らしい。

さっき私と口論していた男は彼の従者らしい。

彼は、

「すみませんでした」

と言いながらも何故か納得しない顔をしていた。

(納得しないのはこっちだっつーの)

巳碧は私を部屋に置いていったままどこかに行ってしまった。


翌日、私は蕉雨さんに言われてとある部屋に連れていかれた。

「お連れしました」

少し間があってから

「入っていいぞ」

と巳碧の声が聞こえた。

「失礼します」

と、ビクビクしながら入ると

「あ、おはよう」

と、昨日とは違う普段着の姿でニッコリしながら言われた。

私はちょっとビックリしながら

「おはようございます」

と返事をした。

「えっと、私が呼ばれたのは・・・ 」

「あぁ、昨夜はごめんね」

とまずは謝ってくれた。

「実は君にお願いがあるんだけど」

「はぁ」

そして彼は頭をめちゃくちゃ下げてこう言った。

「俺の嫁代理やってくれないか」

「はぁ!?」

こうして、私は第三皇子の嫁代理になってしまった。


「はぁ」

とため息をする度に私につけられた侍女、春雅が頭をひっぱたいてくる。

「その度に私は彼女に姫様は将来この国の国母になるのですよ?」

というお小言を言われた。

(私だってなりたくてなった訳でもないのにさ)

頭の中では国母となるよりも元の世界に帰りたいと考えている。

「そう言えば、何故私は馬車に乗っているのですか?」

と春雅に聞くが、なんにも教えてもらえない。

(それに巳碧はどこに居るんだろう)

と考え事をしていると、馬車は止まった。

「ここは?」

「優弥の街のひとつ、咲莉葉です」

「ふーん」

といった会話をしていたら、巳碧がやって来た。

「轔、馬車の乗り心地はどうだった?」

「初めて乗りましたが快適です」

「そう、良かった」

と満面の笑みを浮かべていた。

「さぁ、お手をどうぞ」

と手を差し伸べられたが、私はやんわりお断りして自分で降りた。

それを見て蕉雨は私に近づいてきて注意を始めた。

「轔様、これから行くとこは高貴な方のもとです。巳碧様に手を差し伸べられたら手をお取りください」

なんて言ってきた。

「え〜。だってそんな事言われても初めてでどうすればいいのか分からない」

「それでもです」

と、そこに巳碧が来て

「蕉雨、そこまでにしてあげな。轔も分かってくれたはずだから」

と、こちらに顔を向けて微笑んでくれた。

たったそれだけの事に私は落ち着いてきた。

それに自分でびっくりした。

「どうしたの?」

「え、あ、いえいえ。大丈夫です」

「さぁ、公爵のパーティーに行こうか」




つづく

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異世界皇子と私の恋物語 @aoi12262002

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