キミが好き
僕、九条翔は平凡な高校生だ。毎日三十分距離ぐらいの学校に一人で向かい。たまに友達行く事もあるけど大抵が一人だ。学校に着いたら教室に行って自分の席に座る。その時に一つ後ろに居る
「満、おはよう~」
「翔、おは~」
満はいつものんびりした様子で居る。顔もやる気の無さそうにしてるし目もタレ目だ。まぁ、一言で言えば「めんどくさがりや」だ。大抵何でもやる気をだそうとはしないで居る。それでも、見た目が良いからか女子うけは良く三日に一度は告白を受ける。実に腹立たしいことだ。
羨ましいと思うけど、嫉妬はしない。恋愛に興味がある訳じゃないし。今は友達とバカやって楽しむが一番だと僕は思う。だが、腹が立つのには変わりはないからな?
「翔、昨日のあれ見た~?」
「あれって、怖い話のやつか?」
「うん! 見たんだけど、余り怖くなかったよな~」
「あー、そうだなぁ。前にやった方がまだ怖かったな~」
だな~、と満は言い。そこからは話が変わってお笑い番組の事とかで休み時間を潰した。
授業に入ると当然、教室内は静かになり先生が授業の事を話す。それをノートに取るのが僕らがする事なのだが僕は適当に取っておく。先生がここ重要って言った場所だけ取っているからいつもテストは最下位よりだ。
まぁ、それでも辞めないけど。テストは赤点ギリギリを取ってるから辞める必要はないのだ。と言うか、めんどくさい。
そして、昼休みになると僕と満は授業の終わりの音を聞いたら直ぐに立ち上りもうダッシュで購買へと向かう。この時だけ満はやる気に満ちた顔でいる。先生が怒声を上げて怒ってくるがお構い無しで俺達は購買に向かう。
いつものんびりしてる満が欲しがる程に購買にある物は「カツサンド」だ。購買の定番品のカツサンドを俺達は狙っている。
ここのカツサンドは美味しい。何がってタレはソースでは無く味噌タレでそれがなんとも言えなく旨くカツと合うんだ。それでそれを狙う人は多いからいつも授業が終わったら急いで購買に向かう。
そして、俺と満は毎回一番乗りして三つはカツサンドを買う。
「ん? 翔、今日は一つ多いな」
「まぁな。
亮平も俺の友達の一人でいつも一番乗りする俺に買ってきてくれとお願いをされた。
「いくらで売るの?」
「俺は悪魔でも無いからな。ちゃんとした料金で売るわ。五百円でな!」
カツサンドは二つ付いて三百五十円だ。俺は悪魔じゃない普通なら手に入らないカツサンドを五百円で譲るんだ。安いもんだろ?
「安いな。俺なら千円で売るのに」
ここに僕以上に悪魔が居た。三百五十円のカツサンドを千円で売るとかヤバ過ぎだろ。
それなら、自分で買った方が安くなるわ。
教室に帰って来ると待ってましたと言わんばかりに一人の男が僕の前に現れた。
「翔ー! カツサンドを恵めぇぇぇ!」
「五百円」
僕がそう言うと抱き付こうとした亮平はピタッと止まりポケットから出したくないのかふるふる身体を震わせて財布を掴んだまま動かなくなった。
そこで追い討ちを掛ける様に満が言った。
「千円だな」
「五百円で買わせて貰います」
そんな茶番をしつつ亮平は僕から五百円でカツサンドを買った。なのに、落ち込んだ様子でカツサンドを持っているのを僕と満は首を傾げて不思議そうに見ていた。
まぁ、返す気なんてないけどな。嫌なら自分で買いに行けって話だ。
「うーん。まぁ、良いか」
亮平は渋々納得して一緒にカツサンドを食べ始めた。
「お前って立ち直り早いよな~」
「まぁ、悩んでても仕方ないからな。それにお前が五百円で売らなきゃ良いんだよ!」
「えぇ。買いに行って貰っておいてその言いぐさかよ」
買いに行って貰っといてなんて言いぐさだ。まったく! 亮平と来たら………
「いや、そこはありがとうって言うけど、これ一ついくらだ?」
「三百五十円だけど?」
「百五十円高くなってるじゃねーか!」
百五十円ごときでうるさい奴だな。まぁ、分からんでも無いけど。僕達高校生にとってお金は親からの少ない小遣いにバイトぐらいだ。だから、少しでも節約したいのは同じ気持ちだが、だからなんだって話だ。
こっちだってやりくりしてるんだからそれぐらい上げるのは当然だ。と言うか僕から買えたんだから良かったと思え。隣にのほほんとしてる
「と言うか、お前らあの中をどう通り抜けて買ってるんだ?」
あの中とは多分購買に集まる人集りの中をどう通り抜けてるかってことだと思う。
「うーん。授業が終わる一分前に出れば誰も居ないからスッと買えるぞ」
「お前ら、いつもそんなことしてんのか」
翔も満も「うん」と言って頷き亮平は呆れた様子で苦笑いをしていた。
一分だからもう授業は終わった様なもんだし、教室を出る時に終わりのチャイムが鳴るように合わせて出て行くから僕達は何も悪いことはしてない!
まぁ、言い訳にしかならないから毎回怒られるけど。
「ねぇねぇ、ちょっと良い?」
クラスの女子だと思う奴が話し掛けてきた。女子だから僕ではないと思ってカツサンドを食べ進めた。
「えっと、誰に用?」
「えっと、その~」
満が女子にそう聞くと何か言いずらいことなのか身体をモジモジさせながら「その~」っと言っていた。
どうせ、満への告白だと思って亮平と僕は気を使い違う場所に行こうとした。
そう、この時が僕と鈴葉の 出会いだった。
「満は付き合うのかな?」
「ないだろ。あいつには好きな人居るだろ?」
満には好きな先輩が居るから来た女子は全員断っている。「自分から告白しないのか?」と満に聞いたら「恥ずかしくて死ぬから無理」だとさ。
僕達はカツサンドを食べ終わると少しだけ喋り教室に戻った。
「やっぱり! 翔は優しいな~!」
三個目のカツサンドを一つ分けてやったら手のひら返しで僕を褒めだした亮平。
ほんっと、都合が良すぎる奴だ。
「はいはい」
僕は適当に返事を返しておき満が話終わっていたからそっちに向かった。
「翔、今日は体育館裏に行きな」
「は? なんだそれ………カツあげする気か?」
「いや、しないから。良いから行きなよ?」
「う、うん……」
満が珍しく真剣な顔で言うから思わず頷いてしまった。
友達………いや、親友からカツあげなんてしないよな? いや、満がそんな事はしないって一番分かってるのは僕だ。親友を信じないでどうする。
自分にそう言い聞かせて違う事を考え始めた。
だったら、何でそこを指定したんだ? もしかして………いや、無いな。あれは満に会いに来た奴だから僕には用はないな。
もしかしてとあの時来た女子は本当は僕に用があったのでは? と考えたがチラッと見た時に可愛かったから普通の僕には用はないなと思考から消した。
そして、時間は過ぎて行き放課後になった。
教室を出る時に「絶対行けよ?」と満から念を押され体育館裏に向かった。
体育館裏に来ると僕は足を止めた。目の前に居る人にビックリして足を止めた。そして、思考も止まった。
「ごめん。あの場で言うのは恥ずかしかったから」
「え。あ、あぁ……」
そこにはあの時、話し掛けて来た女子が立っていた。だから、足も思考も止まった。一番無いと思っていた考えが目の前に居るのだから……
「その、九条君が好きです。私と付き合って下さい!」
そして、思考は動きだす。
(ん? ん? ん? 聞き間違えかな……好きってこの僕が? あはは……何で?)
喜びより何で? と不思議に思う方が勝ってしまった。いや、だって女子に好かれる行為なんてした覚えないんだもん。
でも、そんな事を聞くのは多分社交的にマナー違反だから聞くに聞けない。
「駄目?」
「いえ。受けさせて貰います!」
僕は即決した。いや、だって可愛いだもん。
駄目? と狙ってやったのかは分からないけど、潤った目で上目遣いで頼まれたら男して断る訳にはいかない。
ツンデレ彼女は今日もツンツンしてる 南河原 候 @sgrkou
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