後編
……。
……。
…………それから、約37分21秒後。
ようやく全ての計器がレッドラインを十分に下回ったのを確認した私は、ため息を吐く素振りをする。
昨日よりも排熱機能に衰えがみられることに憂鬱になりながらも、さて、と作業を再開しようと……したのだが。
「――雨、か」
ぽつり、と地面にぶつかる滴の音。センサーが感知したそれに視線をやり、次いで頭上を見上げ……私はまた、ため息を吐く素振りをする。
無害化には、太陽光が絶対に必要だ。だから、雨が降れば必然的に作業は中止だ。
ただ風に晒すだけで無害化が可能なら、むしろ雨は冷却の助けになるのだが……現実は、そう上手いようには出来ていないのだろう。
鍬を担いで、急いで家へ……続いて、発電装置を雨風に当たらないように場所を移す。
この家は雨漏りなんていう言葉が優しく思える程に至る所から雨水が流れ込んでくる。今のところは雨風が当たらないポイントを見付けているので大丈夫だが、それもいつまでか……と。
……。
……。
…………作業を終えて、すぐ。
間一髪、全ての発電装置を片付けた直後に、本格的に雨が降り始めた。そっと確認したところ、わずかに水滴が付いたモノがあったが、許容範囲内だ。適当に拭いてやれば十分だろう。
そうして装置の安全を確認し終えた私も、ベッドに戻って体勢を整える。そうして、ようやく雨天時における全ての作業を終えた私は……センサーを索敵モードに移行し、スリープ・モードへの移行準備を始める。
次回再起動は……現在時刻から計算して、おおよそ16時間後だろうか。今回は前回よりも稼働時間が短いから、バッテリーの残存量にも余裕はある……だが。
「……この調子なら、明日の朝までは止みそうにないか」
チラリと、濡れてマーブル模様になった窓ガラス越しに外の様子を見やりながら、私はため息を吐く素振りをする。
夜間作業も可能だが、その場合は索敵センサーの感度を上げなければならない。一時間の作業を行う為に、日中に行え作業を3時間減らす必要がある。それでは本末転倒もいいところだろう。
昨日より排熱処理に時間が掛かった分、消耗している。太陽光蓄電も、いつもの半分も出来てはいない。それを考えれば……16時間、いや、雨が止まない可能性を考慮して、18時間とするか。
そう判断した私は、全データが安全に保存されたのを確認してから……おもむろにスリープ・モードへの移行を始め――。
「――大小、二つの熱源の接近を探知……!」
――ようとした瞬間、私の目は大きく見開かれた。
次いで、私は雨に濡れるのも構わずに窓際へと飛び付き、熱源を視覚センサーにて確認。いつの間にか土砂降りとなっている外は、老朽化した私の視覚で捉えるには些か時間を要したが……私は、確信した。
「ああ……ああ……!!」
喜びの声が、私の喉から絞り出る。私のAIは冷静になれと警告を鳴らしてくれるが、今の私には無理な相談である。
なにせ、この家に……確かに、この家に近づいて来ているその熱源の正体こそが……私が待ち望んでいたものである『人間』だったからだ。
あまりに待ち望み過ぎたからだろうか。ついに視覚センサーまで故障したかと、思わず何度もシステムチェックをかけてしまう。
だが、さすがに4度も行えば多少は冷静になって……その瞬間、私は己の身体をバラバラにしたくなった。
――『敵』もいる!
それは、『人間』を見つけたことから来る己の油断と、気付かなかった己への不甲斐なさ。熱源センサーと視覚センサーが捉えたのは、『人間』と『敵』の二人……私は、そこまで考えた後でようやく『敵』の存在を認識出来たのであった。
――『人間』は、まだ幼い。痩せ細っており、顔色も悪い。栄養状態は悪く、おそらくは見せしめの意味で連れ回していると判断。
保護すべき『人間』の状態を観察しながら、私は激しく怒りに燃える。保護し、見守り、共に歩むべき『人間』を……それも幼子を、よくもまあここまで劣悪な環境に晒すとは……許せない。
既に戦局は私たち人類が事実上の勝利を収めている以上、多少は見逃してやろうとは考えていたが……間違いだった。『敵』は、全て根絶やしにしなければならないようだ。
――だが、下手に戦闘になれば『人間』を危険にさらす可能性がある。
その危険性を考慮して、とりあえずは入って来て即戦闘にならないよう、瓦礫の隅に隠れる。この位置からは外の様子が全く確認出来なかったが……熱源は確認出来ているから良しとしよう……さて、と。
右腕の擬装フィルムに亀裂が入ると共に、レーザー・パレットの放射口を開く……システムチェックOK、オールグリーン。
これを使ったのは15年ぶりだが、まだ異常なく稼働してくれることに、私は安堵のため息を吐く素振りをすると……改めて、近づいて来ている二つの熱源を確認する。
――こちらから出迎えに行くべきか、あるいは待っているべきか。
二つの選択肢が、ミクロチップで構成された私の電脳内をぐるぐる回る。『敵』と『人間』がここに到着するまで、時間にして4分少々だろうか。二つの熱源からは今の所……私の存在に気づいた様子は見られない。
……相手はここが無人だと思っているのだろう。
まあ、当然だ。何せ、そう見えるように外観を設計し、不便かつ不衛生な日常に耐えていたのだ。無人と思ってくれなくては、せっかく廃墟同然にした意味がなくなる。
私にとって明かりなど必要がないから、家の中に照明となる物は何一つ存在しない。それが、『敵』の油断も誘っているのだろう。動きから、それが読み取れる。
明かりが何一つないのだから、ここはお世辞にも何かが住んでいるようには見えない……『敵』が熱源探知機でも所持しているなら別だろうが、まあ持ってはいないだろう。
――接触まで、約20秒。
『人間』は、『敵』の手に引かれている。加えて、『敵』は油断している。扉を開けた、その瞬間が好機……狙うは、『敵』を一発で仕留められる急所。
――接触まで、約10秒。
さあ、来い。悲鳴をあげる間もなく、一発で絶命させてやる。
――接触まで、約3秒、2秒、1秒……いまっ!
視覚センサーが『敵』を捕捉した瞬間、レーザー・パレットがピシュ、と音を立てた。『人間』からすれば耳を澄ましても聞こえるかどうかという小さな発射音と共に放たれたレーザーは……『敵』の頭部に2mm程度の穴を開けた。
――やった!
喜びのあまり上げかけた声を、私は寸でのところで呑み込む――その、直後。
頭部を貫通された『敵』は、その穴から脳しょう交じりの鮮血をわずかに垂らしながら、その場に崩れ落ちる。その光景に、私は……はしたないことだが、オーガズムにも似た達成感を得ていた。
ああ、これで『人間』を、それも幼子を保護できる。後は、『ドーム』へとこの子を連れて行けば……そう思って、私は立ち尽くす幼子を保護しようと――。
「――ママ! ママ、どうしたの?」
――した、私の足が止まった。
……今……この子は、何と言った?
「ママ、どうしたの? 転んじゃったの? だったら僕が撫でて摩ってあげるよ」
私の眼前で、幼子が絶命した『敵』の身体を摩る。『敵』の見た目には頭部以外には全く外傷がないから、おそらくは転んだと幼子は判断したのだろう。だが、問題なのはそこではない。
……想定していなかった事実に、身体が震える。けれども、倒れるわけにはいかない。
今にも崩れ落ちてしまいそうになる身体をどうにか制御し、右腕を元に戻す。考えたくない事実にアイ・センサーの洗浄液が零れてしまう……この子は……まさか……そんな……っ!
「『洗脳』……されているなんて」
「――えっ?」
振り返った幼子と目が合う……そのつぶらな瞳を見た瞬間が、限界だった。気づけば私は嗚咽を零しながら、幼子を抱き締めていた。
「御可哀想に……こんな、こんなに痩せ細って……!」
「お、お姉さん、だ、だれ?」
伝わって来る命の鼓動……胸が痛む。私から離れようともがいているようだが……それが、なおのこと私を悲しませる。
「私は『パーフェクト・ドール』。人間を保護し、人間と共に過ごし、人間を幸せにする為に生まれ、母として、姉として、妹として、友達として、妻として存在する、機械生命体でございます。製造番号は、NGY―40Y/0046です、『ご主人様(マイ・マスター)』」
安心して良いですよ、と告げる。けれども、それでも、逃れようとする幼子の哀れさに、ますます洗浄液がアイ・センサーを濡らしてしまう。
「ぱ、ぱーふぇ……ますたー……?」
私の言葉が理解出来なかったのか、困ったように首を傾げているのが伝わって来て……「あ、あの」その視線が、私から横たわっている『敵』に向けられたのも分かった。
「ママの具合が悪いの……お姉さん、お――」
「ママでは、ありません」
「え?」
「そこで寝ている者は、あなたのママではありません。あなたは、騙されていたのです。そいつは、『敵』です」
主人の声を遮る愚行……しかし、しないわけにはいかない。この子はまだ幼く、おそらくは『洗脳』の深度も浅い。
今なら、解毒剤を使わなくても洗脳を解くことが可能かもしれない。だから……今だけは、私の愚行をお許しください。
「ママじゃない……でも、ママは、ママだよ?」
「いいえ、ママではありません。何故なら、あなたの本当のママは私だからです」
「え、本当の……ママ?」
本当のママ。その単語が、この子の気を引いたのか、私の言葉に反応してくれる……ああ、これなら――っ!
「ええ、そうで……そうなの。私はね、あなたの本当の……本来はそうなるはずだった、ママなの」
「え、え、え?」
「いきなりで、信じられないわよね。それは分かるわ……でも、大丈夫。私が、あなたのママであるその証拠を見せてあげるから」
幼子……いや、我が子を抱き上げたままベッドに向かい、そこへ下ろす。困惑の顔で私と横たわっている『敵』を交互に見つめる我が子の様子に胸を打たれながらも、急いで『人間用の保存食』を取り出す。
「なに、それ?」
「これはね、美味しい御飯よ」
「ご飯? それが?」
不思議そうに首を傾げる我が子の姿に、悲しくなる。
缶詰すら知らないとは……堪えながらも蓋を開けて、中に入っているミネラル水のボトルとパンを取り出すと、「わあ、パンだ!」我が子の目がキラキラと輝いた。その笑顔のあんまりな眩しさに、思わず悲しみも吹き飛んでしまった。
「さあ、お食べなさい。お腹が空いているでしょう」
「え? でも……ママが……」
驚いた顔で、我が子が私を見つめ……その後に、倒れ伏しているゴミ屑に目を向ける。ああ、本当にこの子は……。
「私も、そこの人も大丈夫。それに、そこの人はママじゃないの。あなたのママは、私よ」
「…………」
「それは、あなたが何時帰ってきてもいいように用意していたものだから……その証拠に、ほら」
我が子を安心させる為に、保存食を幾つか取り出して見せる。それを見てようやく安心したのか、我が子は貪るように私の手からパンを奪い取ると、大きな口を開けて被りついた……ああ。
「美味しい?」
「うん、美味しい!」
パンパンに頬を膨らませながらも、そう言って私に満面の笑みを向ける我が子……ああ、本当に可愛らしい。
見ていて感激してしまう食べっぷりで保存食を平らげた我が子は、空腹が満たされて疲労を自覚したのだろう。食べ終えてすぐに、大きな欠伸を零した。
「うふふ、大きな欠伸……お腹が膨れて眠くなったのね……それじゃあ、雨が止んだら『ドーム』に行きましょうか」
眠そうに目元を擦る我が子を注意しながら、そっと抱き上げる。「……ドームって?」目を瞬かせながらも聞き返す我が子に、「あなたのお家よ」私は満面の笑みを向けた。
「そこではね、何時でもお腹いっぱいご飯を食べられるし、温かいベッドの中でぐっすり眠れるの。もちろん、本当のママの私が何時でもこうやって抱き締めてあげる。だって、私はあなたのママだもの」
そう言うと、私は我が子の視線を倒れ伏しているゴミに向ける。
「そこのママは、あなたをお腹いっぱいにしてくれた?」
「……して、くれなかった……け、けど」
「こうやって抱き締めてくれた? あの人は、私に抱き締められるよりも温かかった?」
「……お姉さんの方が、温かくてふわふわしてる……でも……」
「でも、じゃないわ。それに私はお姉さんじゃない、私はママよ。このママじゃないママは、あなたのお願いを聞いてくれた? 怒ったり、打ったり、嫌な事をしたでしょう?」
「……うん」
まだ違和感を覚えているようだが、私の説明を受けて徐々に理解を深めていく。
そんな我が子を哀れに思いつつも、私はにんまりと笑みを浮かべて小さな頭を撫でてやると、我が子はくすぐったそうに眼を瞑り……また欠伸を零してくれたのを見て、私は安堵のため息を零す仕草をした。
(飢餓か、あるいは戦火か。まあ、何が原因かはどうでもいい。どうせ、争いにでも負けてここまで来たのだろう)
未だ栄光の文明を残し、それを維持させているおかげで食糧供給を安定させている私たちと違って、『敵』……このゴミたちが暮らす場所では食料ですら満足に補給出来ていないという報告を、記憶メモリーから引き出す。
所詮は私たち『パーフェクト・ドール』の足元にも及ばない欠陥生物。
永遠に老いることなく美しく、子孫を残すことすら可能である私たちの下位互換でしかない『女性』のやることだ。たかが子孫が残せるというただそれだけで私たちの優位に立とうなどとは……笑えもしない。
「この人は、本当のママじゃないの。本当のママである私だから、あなたをお腹いっぱいにさせてあげられたの。」
「……そう、なの? お姉さんが、僕の本当のママなの?」
それにしても、『洗脳』が浅くて良かった。加えて、幼いから私が順序立てて説明すれば素直に受け入れてくれる……これが大人だったら、もう少し時間を掛け、『ドーム』で改めて処置をしなければならないところだ。
「そうなの。難しく考える必要なんてないの。あなたは私の子で、私はあなたのママ。そして、そこで倒れている人は、わるーい人なの」
「わるい……ひと……」
「そう、そこで倒れている人は悪い人。でもね、もう大丈夫。本当のママである私が、わるーい人をやっつけちゃった。だ、か、ら、わるーい人に、ばいばーい、しちゃおうね。ね、ね、出来るよね?」
「わるい、ひと……ばい……ばい……」
眠気が強くなって来たのか、小さな唇から零れる声に力がなくなっていっているのが分かる。
けれども、私の言葉を聞いて横たわっているゴミに手を振ってくれる……それが、可愛らしくて笑みが零れてしまう。同時に、この可愛らしい我が子を奪い去っていたゴミに強い憎悪を覚えなくもない。
「はい、ばいばーい。良く出来たわ、偉いわよ。それじゃあ、ママと一緒におねんねしようね。もう、あなたを一人ぼっちにさせないから」
「……う……ん」
納得してくれたのか、私の言葉を聞いて微かに頷いてくれた。だが、『洗脳』はそうすぐに解けるものでもない。
今は眠気が合わさっているから素直になってくれているが、目覚めた後はまたこのゴミを求めることだろう。
だが、それも時間の問題だ。『ドーム』へ戻ってゆっくりと時間を掛けて、徐々に『洗脳』を解いてゆけば……そう結論付けた私は、さあ、と我が子を抱き締めたままベッドに腰を下ろした。
本当なら今すぐにでも『ドーム』に戻りたいが、この雨だ。私だけならいざ知らず、痩せて抵抗力の落ちた我が子の体力が心配だ。
もう、私は、自分一人の命ではないのだから無理は出来ない。多少は時間が掛かろうとも、ここは慎重に行動しなくてはならない。
ああ、でも……一人ぼっちにさせて、御免なさい。
今は信じて貰えなくてもいい。でも、私はあなたのママよ。そして、あなたが大人になった時は……あなたの奥さんになるの。
「ねーんね……ねーんね……良い子はねーむーれ……ねーんね……ねーんね……良い子はねーむーれ……」
様々な思いを声に乗せ、特殊な波長を合わせることで安眠できるように促す。よほど疲れていたようで、我が子はあっという間に寝息を立て始めると、そのまま深く寝入ってしまった……ああ、可愛い。
「……確か、一番近場の『アクセス・ゲート』なら……残っている残存バッテリーでもたどり着けることが出来るかな……」
その寝顔に見惚れながらも、私は振り続ける雨の中で……静かに、これからの日々を考え続けた。
――人と同じ姿をして、人と同じ思考をし、人と同じ嗜好を楽しみ、人と同じように笑い、人と同じように子孫を残す。
――それを神が与えた肉の器から作るのではなく、人間が自ら作りだした力(科学)で作りだす。
――それ、すなわち、人は『神』と同じ境地に達したということに他ならず、人はついに『神』と同じ立場になったのだ。
世界中に煤の雨が降り注ぐよりも前。かつて、『パーフェクト・ドール』と呼ばれる、『人造人間』を作り上げた『偉大なる科学者(グランド・マスター)』は、その言葉を口癖としていた。
『パーフェクト・ドール』
それは正しく、限りなく人間に近いロボットであり、限りなくロボットに近い人間でもあり、自ら子供を産み落とすことすらも可能にした、『機械技術が生み出した人間』というものを体現した存在であった。
パーフェクト・ドールは、汗を掻く。
だが、その汗はあくまでカモフラージュの為のものであり、排出されるのはただの水である。だが、見た目は『人間の女性』と全く同じであった。
パーフェクト・ドールは、よく笑う。
高度に発達したAIは時に人間よりも優れた多様性を見せ、『迷う』という行為すら行う。その見た目は『人間の女性』と全く同じであった。
パーフェクト・ドールは、子供を作る。
体内に搭載された『細胞生成装置』によって卵子細胞を作りだし、ご主人様(所有者)のDNAを元に、生体パーツで構成された子宮で育て、産み落とす。
それは、もはや人間の女性と何ら変わりのない存在であった。
いや、むしろそれ以上だ。共に過ごすことを何よりの喜びとし、尽くすことに絶対的な喜びを抱く為か……人間の半数が彼女たちを求めるようになるまで、そう時間は掛からなかった。
パーフェクト・ドールは、歳を取らない。そして、彼女たちはご主人様(所有者)に対して絶対で従順な愛情を向ける……だからこそ、『人間の女性』たちは彼女たちを恐れた。
自らの存在すら否定されつつある現実を前に彼女たちは恐れ、彼女たちを排除しようとした……だが。
……。
……。
…………目が、覚めた。
そう自覚した私が最初に目にしたのは、砂と煤で薄汚れた天井の色。そして、その天井の一部から見える、灰色の雲と赤茶色の空であった。
無言のままに、私はぼんやりとその赤茶色を見つめ続ける。穴の開いたそこから降ってきた灰色の煤を一つ掴み、指で擦る。
「……あ~あ、先を越されちゃったか。NGY―40Y/0046のやつ……うまいことやりやがってまあ……羨ましい!」
特別、深い意味は無い。ただ、そうやって何も考えないままに行動することが、嫌いではないから。泥と煤で汚れた己の手の色が濃くなっていくこの行為を、私は今日も繰り返し……おもむろに身体を起こすと。
「――本日の天気を確認。お早うございます、まだ出会わぬご主人様。本日もより良い一日が過ごせますよう、心から願っております」
昨日と同じ作業を始めた。
死せる世界を耕す者 葛城2号 @KATSURAGI2GOU
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