初日の感想
「それじゃあ、また明日よろしく」
「はい。また明日」
盟さんはわざわざ玄関まで見送りに来てくれて“また”と明日会える様な言葉を交わせた。会える様なでは無く確実に会うのだがまたこの美人に会えると思うと夢を見てるかと思ってしまう。
それから、盟さんの家を後にして自宅へと向かった。
(うーん。盟さん綺麗だったな~。その割りに、防御と言うか余り警戒心が無いところは少し危なっかしいな)
男が居るのにシャツ一枚で降りてきたし、ちょいちょい隙間からピンクの下着と谷間が見ない様にしていたがやはり思春期の男子だから見ちゃうよね……………?
それに、あんな綺麗な娘が居るのに合鍵を渡す親も親だが、多分それぐらい信頼してくれてるんだと思う。
そこの信頼は親父が紡いできたものもあるから、それなりに尊敬している父親だから事件沙汰やそういったことはしないでおこう。そうでなくてもしないけど…………
「盟さん。綺麗だったな~」
まだ言うかとうざいぐらいだが、俺にとってはそれぐらい印象高く忘れられないんだ。
だからと言って恋をしたと聞かれると微妙なところだ。
俺にとって盟さんはあくまで“綺麗な人”ってだけでそういった感情は向けていない。だからといってそういった仲になりたい訳ではないがそこまでなりたい訳でもない。
だから、言い方からしたら悪いけど、“観賞用”とたまに目の保養にするぐらいで俺は十分だ。
そんな事と考えていると家に着いたから中に入った。
「あ、お帰り~、どうだった?」
「うーん。田辺さんの娘さんかなり美人だったな」
「おぉ! 珍しいおにぃ~から女の子の話とか」
そんなに珍しいのか葵は暫く驚嘆した様子で居た。
まぁ、確かにそういった話は俺には無縁だから訊いた事なんて無いだろうけど、そこまで感心する程では無いと思う。
「てことは、何時かその人がお姉ちゃんになるのか!」
「ブホォォ!?」
俺はいきなりの事でビックリして思い切り唾を吐き捨てた。
「お、お前なぁ、変な事言うな。盟さんは相当美人だから、強面な俺なんかじゃ、釣り合わないわ」
「そんなこと無いと思うけどな~。おにぃは良い人だし、頼りになる人だもん!」
それは人の捉え方だ。俺はたまに要らないお節介をしてしまう。それを良いと思う人も居れば要らんお節介だと毛嫌いする人も居る。
でも、盟さんには多分良い人の方で通せたと思う。そこは美人にそう思われて喜ぶべき場所だ。
表に出すと多分キモがられるから心の中でよしゃぁぁ!! と喜びの叫びを上げてそっと心の片隅にしまっておく。
「あ、そうだ。葵、ちゃんと飯食ったか?」
これだけは聞いておかないといけない事だと思い出して葵に聞いた。まぁ、冷蔵庫とか鍋を見れば一目瞭然なのだが本人から聞いた方が一番良い。
何か、変に疑うと信頼関係が崩れるのが怖いから本人に確認してから冷蔵庫を見たりはする。
その後も一応確認しに行くと流し台に食べ終わった食器が水を浸けてあったのを確認して。ちゃんと水に浸けるまでやっていたので感心感心っと頷いて近くに居た葵を撫でた。
撫でたら「キモいから辞めて」っと冷たい目で言われかなり心が傷ついたが………
うん、まぁ、良いんだけどな。いきなり撫でた俺が悪いんだから仕方ないんだけどさぁ、もっと違う言い方ないの? 葵さん……………
「おにぃ、明日もこの時間なの?」
「うーん。今日はちょっと色々あったからな。明日は今日より早く帰って来れると思うぞ」
「そっか! なら、良いや」
少し寂しかったのか? そうだな。明日は早く帰ってきて葵が好きな物でも作ってやるか。
「明日は、ハンバーグでも作るか」
「ほんと!? やったー!」
跳び跳ねながら「わーい! わーい!」っと言ってる葵に「跳び跳ねるな」っと叱る睦月。
家事が出来ない女の子の世話の仕方 南河原 候 @sgrkou
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