家族主義国家、日本社会の闇(採用が決まったあとに当たり前のように身元保証書の提出を求めてくる)
「面接に来たんですけど……」
「どうぞ、2階の方にお上がりください」
「面接に来たんですけど……」
「お待ちしておりました。どうぞお掛けください。履歴書は持ってこられました?」
「はい」
「ちょっと拝見させていただきます……」
「この歳で時間限定だと、コンビニとガソスタ以外では、なかなか見つからなくて困っていたんです」
「いやぁ、いろいろな経験をされていますね。資格もいっぱいお持ちで……。管理職を15年ですか……。では、早速、来週からでも……」
「やっと見つかった。良い条件の仕事……。ちょっと心が折れそうになっていたんですよ」
「あ、そうそう、1つだけ提出してほしい書類があるんです……、うちで働くにあたって、身元保証人による実印が必要なんです」
「は?」
「うちは2人の身元保証人のサインと、実印が必要なんです。たとえパート契約であっても……。ご両親じゃなくてもいいんです、兄弟、親戚、誰でもいいんですが……」
「そういう事なら無理ですね。10代から天涯孤独です。保証会社に実印入りの証明を頼むと、個人情報を全部引っこ抜かれた上に10万円くらいかかるから……。そういうのは募集要項に載せてくれないと困ります。絶対に載せないですよね、どこの会社も……。家族がいるのは当たり前だと思いますか?そういう環境で生きていない奴はロクな奴しかいないという前提はおかしいと思いませんか?身元保証人に責任を委ねるのなら、何のために面接をするんですか?家族がいないのは不可抗力だし、当たり前のように言われると殺してやりたくなるんだよね。住民票という国家が私の身元を保証してくれている書類があるんだけど、ダメなんですよね?経験でわかります。帰ります」
「そうですか。わかりました」
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