ベルトコンベアー

私は、ベルトコンベアーに乗せられた。

全身をロープでグルグル巻きにされて、全く身動きが取れない状態だった。

口まで塞がれた。

いつ、乗せられたかって?生まれたときだよ。

目だけが見えている状態だ。


時間が止まらないのと同じで、ベルトコンベアーも止まらない。

まるで、電車の窓から、通り過ぎていく景色を見ているかのよう……。

私の目に映ったのは、順番に……。

家族に愛情を注がれる同年代の姿……。

友人と楽しく遊んでいる同年代の姿……。

恋人と楽しくデートをする同年代の姿……。

結婚をして最愛の人と同居を始める同年代の姿……。

子供が生まれて、家族団らんを満喫する同年代の姿……。

10代、20代、30代、40代……と、時間の経過は止まらない。

私は、何もできないまま、身体だけが衰えていった。


ベルトコンベアーは、当初、どこまでも続いているように思えた。

しかし、ある程度進んだところで終わりが見えた。

ロープはどんなに暴れても全くほどけない。

間もなく、終わりがやってくる。

私は……。

私は……。

ただ、見ていることしかできなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る