警官、またかよ
警察官は、大変な仕事だ。
誰かが通報するたびに私に会いに来るからね。
警察官って、もはや、一般市民からしたら便利屋みたいな扱いなのだろう。
対応しなくてもいいような案件まで対応していないか?
まず、私の異常行動(ただ、外を裸足で歩いているだけ……)で、誰かが通報する。
パトロールで私を発見する。
職務質問中に、私の持ち物から障害者手帳を発見する。
「なんだ、精神患者か……」となって終わり。
その報告が通報した奴に知らされる、という流れだ。
別に包丁を持っていたわけでもなく、ただブツブツと独り言を言いながら、裸足で歩いていただけで通報って?意味がわからないね。
そんなのを繰り返していると、警察官も私の顔を覚える。
「今日は、まともじゃないか。会話ができているからな」
「誰?通報した奴。そいつの住所と名前と電話番号教えてくれるとありがたいんだけど……」
「病院には行っているのか?」
「行ってないよ。おカネかかるし。年下の精神科医なんかゴミクズ。楽な仕事だわ……。俺も精神科医になれば良かった。あいつら、人生経験が薄すぎて、身の上話なんかしても意味ねえし。精神がイカれてるのは身の上話に直結するから、どうしようもないねえ。結局、薬をもらって帰って来るだけ。診察時間なんか、毎回20秒以内。本当にイカれてしまった人間の行くところじゃない!あいつらが相手にできるのは、10代・20代の承認欲求に飢えたリスカ・アムカをやる『死にたい』連発の、死ぬ気ゼロの学生くらいだろ。『精神科に行ってます』の称号がほしい奴らに、その称号を与えるという、まさに、ギブ・アンド・テイクの関係。俺には全く関係の無い!行くだけムダ」
「眠れないのが、原因なんか?」
「多分、そうだと思うけど……。俺、そんなに発狂してた?そんなに大声出してた?」
「わからんけど……」
「はぁ……、疲れるわ。なんでいちいち通報するんかねぇ、そんな事くらいで。大声を出してはいけません、なんて法律ねえだろ。そう思いません?」
「まぁ、時間も時間だしなぁ。睡眠薬はもう無くなったんか?」
「探せばあると思うけど……、ゴミ屋敷だからねぇ」
「とりあえず薬飲んでさぁ、寝ることに集中しようや、なあ。起きてると、また、おかしくなっちゃうかもしれんし。なあ」
「もう1回、牢屋に戻してもらえんかなあ?あそこにいたときが、人生で一番気力が充実してて、精神が安定してたわ」
「まあ、とりあえず、寝よう……な、時間も時間だし」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。