ウサギとカメ
ウサギとカメ……。
この童話は、とても有名だ。
概要は、『ウサギとカメが競争をした。能力で圧倒的に勝るウサギはスタート直後からカメを一方的に突き放した。カメが見えなくなってしまったため、少し待とうと余裕綽々で昼寝を始めた。その間にカメはウサギを抜き去り、ウサギが目覚めたときにはすでにカメはゴールしていた』
この童話は、ウサギ目線で『油断大敵』という言葉を紹介する以外では、特に何も無さそうだ。
それなのに、カメ目線で話す人がいて、私は驚いている。
カメを肯定的に捉える奴って、いったいどんな人生を送ってきたのだろう?
肯定的要素って、堅実性と持続性くらいかな?
どんな仕事をしていようが、必ずスピードは求められる。
堅実性や持続性なんて、それ以前の前提の話でしかない。
私生活でも、その年齢にしかできないことがあるので、ゆっくりと生きていたら置いていかれてしまう。
人生には限りがあるし、若さにも限りがある。
全力で突っ込んでいかないと、人生なんて、あっという間に、何もできずに終わってしまう。
カメ目線は、事前に将来が保証されている人くらいにしか当てはまらない気がする。
人間社会は、才能の背比べをするところだから、ウサギがカメよりも後にゴールすることはない。
人生は、持って生まれた才能(外見・性格・身体的能力・知能指数(IQ))と、親や監護者にどういう環境でどう育てられたかという他者啓発で決まってしまう。
才能や環境に恵まれなかった奴が、堅実性と持続性を披露したところで、どうにもならない。
評価されないし、負け続けるだけ……。
私が管理職だった頃、これに似たような話がある。
仕事の発注をシルバー人材センターに頼むかどうか迷っていたとき、上司から「あの人たちは仕事は遅いけど正確にやってくれる」みたいなことを言われたことがある。
本当かなぁ?そんなの人によるんじゃない?って思ったけど……。
結局、遅いっていうのが嫌で頼まなかった記憶がある。
自分が残業した方が早くて正確だわ!という結論に至った。
仕事は、どうしてもスビードが求められるので、カメだと厳しいんだよね……。
では、私生活ではどうだろうか?
カメ目線で将来を捉えることはなくとも、終わってみればカメだった……という捉え方はあるよね?
私は、家族なし、友人なし、恋人なし、結婚なし、子供なしで、この一回きりの人生を終えたので、そう思うことがある。
今から、人より30年遅れで「生まれて初めて恋がしたい!」と言ったところで、もう手遅れなのである。
何もできずに人生が終えた現実を受け入れるしかない。
私以外の人間をウサギに例えたら、当然、私はカメになるよね?
真面目に堅実に生きても、それは、ただ単に、生きるためだけに生きた……に過ぎないんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。