ヘルサウンド

エレベーターが下がっていく。

1階まで、ほんの数秒間……。

この狭い空間には、私しかいない。

現在の時刻は、深夜3時だ。

静まり返る真夜中の世界なのに、なぜか、どこからともなく音が聞こえる。

さすがに、こんな所で、こんな時間に物音がすると不安になる。

ふと、頭をよぎるのが、昔、ソビエト連邦が、地面に穴を掘るという作業を果てしなく続けていたという話だ。

この穴は、現在、人類が1番深く掘った穴として、ちょっとだけ有名だ。

どこまで掘るつもりだったのかは知らないけど、地中の温度上昇に耐えられず、地殻の3分の1くらいで断念した。

その深さは、12262mだ。

この掘削施設は1995年に閉鎖され、現在は廃墟と化している。

その最下層で拾った音声が、地獄のうめき声として都市伝説化され、現在は動画サイトにアップロードされている。

私はその音声を聞いたことがあるけど、似たような音だった。

これらの音は、怪奇現象というよりも、私自身の心の叫び声のように思えた。

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