欺瞞、気丈

 今、大丈夫かな? いやいや、そんな事じゃないんだよ。アレさ、宿題はキチンと終わらせているかな、って……。


 本当にぃ? 終わったのかい宿題? 私が教えてあげようか、数学はこれでも得意なんだよ? あぁ、自力でやるのが一番だね。頑張ってね。


 今……本当に大丈夫? ちょっと、訊きたい事があってね? 違うよ、怒っている訳じゃなくて! 唯、純粋に気になった事があったの!


 京香ちゃん、見ちゃったって。


 何をって? 何を惚けているんだね君は!


 見ちゃったんだよ、京香ちゃんが、


 親戚のお姉さんかな? 前、話していたじゃない。確か一個上の従姉妹がいるって。


 うん、うん。うん………………ちょっとちょっとリュウ君!


 駄目でしょうが! そういうはすぐに話してくれないと!


 とりあえずおめでとう、と言ってあげますよ私は! アハハ、相手は誰なの?


 あぁ…………あのだっけ? 遠目でしか見た事ないけど、綺麗な人だもんね! なるほどぉ、リュウ君はそういう感じが好みだったのかぁ。また一つ、勉強になったなぁ私。なんちゃって。


 それで、仲良くやっているの?


 そっか、それは良い事だね。


 え、何? どうしてリュウ君が落ち込んだ感じなの? 嬉しそうに喋ってくれないと、私が悪い事訊いちゃったみたいになるじゃん!


 気にしない気にしない。……え? 花粉症かなぁ、夏でもあるのかな? 鼻が詰まっちゃって大変なんだよね。


 そんな事よりさ、今度皆で賀留多、打とうよ!


 、も打てるよね賀留多? そりゃあそうだよねぇ、だって花ヶ岡の生徒だもん!


 えっ、本当? 宇良川先輩、斗路先輩と四人で打ったの? 良いなぁ、私も誘ってよそういうの!


 そうそう、今度からキチンと誘う事! 分かれば良いんだよ。


 何が良いかなぁ、《きんご》かなぁ。五人もいれば……うん? あぁ、今はね、公園に来ているんだ。蒸し暑くってさぁ、飛び出しちゃった。プチ家出って感じ。


 良し、じゃあ詳しい話はまた今度、って事で。


 またねリュウ君、左山先輩を泣かせちゃ駄目だぞ? リュウ君、すぐ頑張り過ぎて一人で……アハハ。何でも無いよ。


 うん、じゃあね。お休みなさい。

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