《お七櫓》の手順

 以下、『花ヶ岡賀留多技法網羅集』より抜粋。




用意する物品

・八八花(赤黒を問わない)

・花石(無ければ黒白の碁石一つずつでも良い)


 この技法は一人で行うものとする。結果如何によって、そのまま占術の結果と流用する事。




目的


 打ち手は仮想敵(これを火の手、と呼ぶ)よりも早く《芒に月》を裏向きにした札から見付け、駒を到達させれば成功とする。




準備


 一、《八八花》から各月の上札(その月の最高位札)を抜き、それら一二枚を良く切り混ぜる。


 二、混ぜた一二枚をを下から一枚ずつ、裏側にして縦に置いていく。これを「櫓」と呼ぶ。打ち手側を下、反対を上と呼ぶ。その後、《芒のカス》を一枚、一番下に置く。これを「足場」と呼ぶ。


 三、松、梅、桜のを用意し、そこに白札を一枚加える。これを「火の手札」と呼ぶ。続けて《松に短冊》、梅、桜のカス札を用意し、やはり白札を一枚加える。これを「お七札」と呼ぶ。


 四、火の手札、お七札を切り混ぜ、裏側にして置く。続いて「足場」の花石を一つ置く。これは打ち手側の位置を示す駒である。次に「足場」のへ花石を置く。これは「火の手」の位置を示す駒である。




札の役割


 火の手札、お七札に入っている札の意味を次に示す。基本はだけ駒を動かすものとする。


・お七札に入っているカス札……月数分、花石を動かせる。必ず一つは進む事。「櫓」の上下を問わない。


・火の手札に入っているカス札……月数分、火の手の位置を必ず上に動かす事。下には動かせない。


・《松に短冊》……お七札のみに入っている。駒を一つ分動かして同位置の札を開示した後、開示されていない「櫓」の札を、一枚開示出来る。


・白札……これが出た場合、。火の手側、打ち手側、双方同じである。




手順


 一、親手は打ち手側とする。「お七札」を一枚引き、出た札の月数分、駒をに動かす事が出来る。「足場」より下には動かせない。また、火の手側の駒よりには動かせない。


 、月数分以下の移動を可能とする。例えば、桜の札が出た時に一つだけ進むという事も出来る。なお、必ず一つは進む事。


 二、駒を動かした後、横にある「櫓」の札を開示する。通り過ぎた札、駒の位置よりも上の札は開示出来ない。開示した札の処理は次に示す。




《芒に月》であった場合……火の手側が次手番にて、技法の成功とする。火の手側の駒が、技法の失敗とする。


《芒に月》以外の札であった場合……開示したままとする。




 三、手番は火の手側となる。「火の手」の札を上から一枚引く。出た月数分だけ、駒を上に動かす。移動後、同位置にある「櫓」の札が裏向きの場合、開示する。なお、第一手目の時は「足場」も一枚として数える事。


 その後の処理は次に示す。




火の手側の駒と、あるいは上にある「櫓」の札……操作は無い。


火の手側の駒がした「櫓」の札……場から取り除く。この操作を「焼ける」と呼ぶ。




四、次手番を打ち手側に移す。以上の繰り返しであるが、「火の手札」「お七札」は手番が終わる毎に切り混ぜ、裏向きにする事。




成功及び失敗の条件


・成功の条件


 打ち手側の駒が《芒に月》の横に位置し、次手番にて火の手側の駒にされなければ成功とする。仮に次手番にて、火の手側の駒が「同位置」に到着しても、成功の条件を満たしているものとする。


・失敗の条件


 火の手側の駒が《芒に月》の札をした場合、これを失敗とする。


 火の手側の駒が打ち手側の駒よりも場合、これも失敗とする。




補足


 場の流れによっては、その場面に「名」が付けられている事がある。




・お七の梯子乗り……「櫓」の札の一番上に《芒に月》があり、成功する事。


・天眼通……《松に短冊》によって、一度目で《芒に月》の位置を引き当てる事。


・鈴ヶ森……打ち手側の駒が一度も動かず、そのまま失敗する事。


・焦げ封じ紋……全ての手番で打ち手側の駒が火の手側の駒に追い付かれるも、成功する事。


・火天の居眠り……火の手側の駒が一度も動かず、そのまま成功する事。


・見返りお七……打ち手側の駒よりも下にある、の「櫓」の札に、《芒に月》があった場合。




 本著の執筆時、確認出来たのは以上である。

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