三枚目
私がこれを君に渡したのは警告のためだ。
そちらの世界がほとんど見えなくなっていた中、何故か君だけがはっきりと見えた。君が持っている物も。まるで君は”そちら”と”こちら”なんてない――自由に行き来できるか、境界に存在しているようだった。私と君に何か特別な繋がりでもあったのだろうか。
このメモを書くのに君が持っていたものを勝手に借りさせてもらった。
ひどく飢えている時に小動物が目の前を横切ったらどうなるか。上半身だけとはいえ、私は君の腕を掴み、線路へ倒れ込むだけでいい。
実際、道具を君のポケットから取るとき、何年振りだろうか、生きている人に触れられたのだ。私の手もはっきりと姿を現した。――非常に危うかった。
恐らくこれが人間として最期にできることだ。
だからどうか無駄にしないでくれ。
そして可能な限り逃げてくれ。
駅で拾ったメモ @sand_clock
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