最強の勇者であるために

#12 コンガン

突然の展開に困惑する。

「な、なんで？」

「私...、本当は冒険系ヒーラーになりたいの」

ヒーラーという職業は攻撃手段をあまり持たないため冒険に出るには危険であり、大体は病院や保健所などで働く。好んで冒険に行くヒーラーは少ないのだ。

「危険だぞ...？俺たちが相手にするのは高レートばかりだし」

「でもアリスが瞬殺してくれるんでしょ？」

「ま、まぁな...」

「冒険がしたいの！いいでしょ！？支援魔法教えるから！」

目に涙を浮かべ、懇願してくるエクシア。

「...分かった。が、戦いが始まったらお前は前線に出ないことを約束しろ」

「分かったわ！ありがとう！」

女の涙に弱いんだよなぁ...。ずるいよぉ...。

何故彼女が涙を浮かべるほど頼んだのか、 何故今までパーティを組まなかったのか。

それを聞くのはなんか忍びないのでここでは敢えて聞かなかった俺である。