第4話魔女の飛び蹴り

日曜日、今日は流石に部活、バーのバイトは休み


あれ、なんか商店街が騒がしいな、人だかりができてる


なんだろ?、あれモデルさんか?、僕はどうでもいいや


ミオリは帰路に着いた。




「うーん、なるほど下らない街ね!!」




金髪の少女は街をざっと見た後そう言った。




桜ヶ丘高校




ここは都内屈指の偏差値を誇る私立の高校




ここの魅力は偏差値だけでは無い、一般人に内密に積極的に魔女や吸血鬼などの


入学を推奨している。




なんとかギリギリの点数と魔女枠で入ったミオリ


ミオリを追いかけて、重い腰をあげて、勉学の才を開花させて入った空。




そんな桜ヶ丘高校に少し遅れてある生徒からアメリカからここに編入してきた


メアリー・ローレンス、彼女は吸血鬼。




ベンツの最高クラスから降り、颯爽と門を横切る


玄関を抜けて待機所の応接室に行く時、そこらじゅうがざわつく




メアリー・ローレンス、通称マリーはこの下らない街で早くも意気消沈気味な時


......面白い物を見つけた。




玄関でちらと見た美少年。




.....あんなに可愛い子いるの?、まるでアフロディーテの様な美しさ。


ぷちゅっと血を啜って私のボーイフレンドにして、ロストヴァージンを済ませちゃいましょう。




私にふさわしい子ね、アジア人の男の子は華奢で可愛いわ、あらあの子だけかしら?


ふっふっふーと教師がいなくなった応接室で笑い出す。




ミオリと少し能力は違うが、吸血鬼は発情する満月の特性は変わらない。


積極的に国の刑事事件に介入する代わりに、国から血液の提供を受けている。




彼女達吸血鬼の最大の特性は現代では血を吸うと、吸血鬼化するなどという濃い能力


は薄れてしまったが、血を吸うと、歯から蚊の様に分泌液が流れ


血を吸った相手を魅了してしまうという物。




本国のアメリカ、マリーはちなみにドイツ系だがマリーのお目にかなう人が居なかった。




「......全然駄目、生まれ変わり顔面ガチャ☆5以上引いて出直してきなさい男共!」




朝からミオリのクラスはざわついていた、もう転入生は生徒達に玄関で少し姿を見せていた。




学年の誇る黒髪でスレンダーな美少女ミオリと対をなす様に


金髪をツインテールにしてグラマーな美少女だった。




「それでは自己紹介をお願いします」




「メアリー・ローレンスです、日本が大好きで日本の文化に触れられるのを


楽しみにしていますマリーと読んでくだいね」




にこりとマリーは猫をかぶりながら言った。


流暢な日本語からも彼女の知的水準が伺える。




すぐにミオリ派かマリー派かで男子達は議論になった




「俺はミオリを貫く」




「あんなに綺麗な人見たことないぞ?、俺はマリーだ」




そんな中ミオリはイラついていた、何あの女気安く空に話しかけてるの?


心の中下心な声がだだ漏れてるし。




「空君、話しかけていい?」




「あ、メアリーさん?」




「マリーでいいわ、ねぇ放課後でいいから学校を案内してくれる?」




くそう空のヤツ、めちゃくちゃ顔いいから早速フラグ立てやがってと


男子達はざわつく。




外国人は積極的だねーと女子達は、空君に限ってマリーにコロっと


いっちゃうなんて無いわよねとざわつく。




放課後になったマリーが空の席に来る、ねえん、そらくうん?と




「早速、案内してくれるかな?」




「いいけど、ちょっと美術室にいってからでもいい?、それとミオリ?」




なにかしらぁ?と若干ラブコメ主人公の様に異性からの誘いを断れない


優柔不断野郎空にキスまでしたミオリはにこやかに言う。




「はいこれ、母さん達がさ、大会近いからってレモン搾った砂糖水とハチミツのレモン漬け


バーで出すレモンだからいい物使ってると思うよ」




ミオリの顔が明るくなる、その様子を見てマリーは若干強引に空の事を教室から引きずり出す




......いいわ、夏までにと思ってたけど今日の内にぷちゅっとしちゃうわ




美術室に着く、マリーは驚いた、こんなレベル高いの?


空が書いた石膏デッサン、もうモチーフと見分けがつかない位上手く


描けている、それどころかモチーフの石膏像よりも迫力がある。




「あぁ、部長に一応言わなきゃならなくてね、それにこのデッサンはアポロンだね


知ってるギリシア神話の?、元々彫刻を石膏像にしたんだけど


こう、その彫刻のさらにはギリシア神話の世界のアポロンを想像して描いたんだ


......あんま上手くないけどね」




......どこがあんま上手くないよ、バスキアの絵をアメリカの家に持ってるけど


※バスキア、アメリカ出身の超有名なグラフィックアーティスト


たかが石膏像デッサンでこんなに迫力だせるなんて、私も多少美術をかじってるから


分かるけど、......この子。




マリーは天才アーティストとなった空を横にして、パーティーの会場を歩く自分を想像した


そんな旦那様は超売れっ子アーティストなんて、素敵すぎるじゃない!!




「マリー、涎出てるけど?」




「あ、あーーーお腹空いたななんて、あはは」




「じゃあ購買にでも行く?」




購買に案内される、もの珍しそうに購買を見る。




「アメリカなんかと違ってしょぼくさく見えるかも知れないけど......」




「そんな事ないわ、これは私が調べたダガシヤね、趣があってとってもいいわ!」




やっぱりしょぼく見えてるじゃんと空は思った、次は屋上でも行って、そこから


運動部見て終わりにしよう。




マリーはチャンスをずっと伺っていた、次はきっと屋上ね、夕日を背景にぷちゅっと噛んで


このジャパニーズアーティスト空を私のものにするわ。


ふっふっふーと忍び笑いが漏れるのを堪える




「ここが屋上だね、運動部が見えるね」




空は陸上部のミオリの姿を確認する、あれ、いない?大会近いのに?


マリーが空の背後に忍びよる、い・た・だ・き・まーす(はぁと)




「ちょっと待ったあああああっ」




ミオリが空の首にキスしようとしていた、マリーに思いっきり飛び蹴りを食らわす




「......ハァハァ、何しようとしてるんだ?、この変態吸血鬼!?」




「空!!何!?この暴力女!!」




空はミオリから出た吸血鬼という単語を聞いて、ん?と思ったが


とにかく暴力は良くないとミオリを叱った。




ミオリがすぅーと深呼吸する。




「ちょっと待って、色々整理して話す、まず僕のシックス・センスがその女


いやらしい観念をキャッチした、少し心配でいた、そして、あ、あの子


前に会った吸血鬼と雰囲気が似てると思った、それで僕は慌てて部活を抜け出して


学校中探し回った、そして空の血を吸おうとしているその女を蹴り飛ばしたオッケイ?」




一気に喋り終わったミオリ、そ、そうなんですか?と空はマリーを見た。




「何よっ、悪い訳っ!?、そうよ!空の事はひと目見て気に入ったわ


私のロストヴァージンの相手にちょうどいいと思ったのよ!」




......こいつ開き直りやがった、それにロストヴァージン?初体験の事?


うわぁ欧米人っておませさんと言った顔で空とミオリは目を合わせる。




「空もこんな美人とそういう事できるなら最高にラッキーでしょ?」




なんなのこのワガママ下品娘はぁとミオリがギロリと睨みつける


空も急にそんな事言われて困っている、困った末に




「......そういうのは段階を踏まないと、俺もマリーの事そんな知らないし


まずは友達からはじめよう」




という優柔不断な駄目駄目なセリフが出た。




「クッ、宣言するわッ!!、絶対に空を私の物にするわッ!!


そんな、ガキンチョ体型に空は渡さないから」




覚えてなさいよ~と悪役女のテンプレの様なセリフを吐きマリーは消えて言った


ミオリはため息を着く、二人とも部活に向った。




部活が終わる、ひと目をきにして少し時間をずらして空と合流する


電車に一緒に乗り、同じ駅で降りる。




「......あー本当僕焦ったよ」




「......流石欧米人、急に初体験とかませてるね」




そうか、......初体験か、俺はあんまり男子達の下の話に加わらないから


わかんないけど、どれ位ですませるものなんだろ......ミオリでそういう


想像はするけど......そんな事したら世界が変わってしまう気がする。




「17歳でロストヴァージンって一番聞こえ良くないかしら?」




二人はぎょっとした、マリーが二人の間からぬっと顔を出してきた




「お前絶対に帰り道違うだろっ!!」




ミオリと空が声を合わせ言う、マリーは適当にここから見える高そうなマンションを指さした。




「じゃああそこに住む事にするわ」




こうして魔女と吸血鬼と僕は学園生活を送る事になった。


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魔女と過ごす学園生活 SHIN @kimusin

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