臣従した国人領主たちの掌握
西美濃国人衆たちは、北伊勢で敗れたが、養父の長井新九郎は少数しか兵を出していなかったため、損害は少なかった。結果として、西美濃の有力国人たちは戦に敗れたことで発言力を落とし、西美濃に残っていた養父の発言力が増すことになる。
しかしながら、土岐頼芸派が北伊勢で敗れたことには変わりなく、土岐頼純が勢い付いてしまい、美濃国は不穏な空気に包まれつつあった。
わしの支配地域や周辺では然程問題なさそうだが、西美濃から中美濃にかけて、土岐頼純派が活発に行動し始めている様だ。
実淳率いる長島一向一揆勢は、楠城では敗れたものの、北畠家と土岐氏に勝ったことから、勢い付いている様で、次は宿敵である六角氏を倒さんと騒いでいるらしい。六角軍が北伊勢東部から退いたのも、長島一向一揆勢を恐れたからだと喧伝している様だ。
六角氏が支配下においた北伊勢西部に長島一向一揆勢が侵攻する可能性もありそうだな。
北伊勢が戦乱に荒れる中、東美濃をしっかり治める様に命ぜられたので、東美濃の開発に力を入れるとともに、東美濃攻めで従えた国人領主たちを慰撫し、掌握することにした。
臣従した国人領主たちを当家に招待し、当家の軍事訓練を見学させた後、宴を催したのである。
当家の常備軍の軍事訓練を見学した国人領主たちは、その数と一糸乱れぬ常備軍の動作に恐れ慄いていた。
合間の休憩などには、茶や茶菓子を出す。この時代、茶は貴重品であるが、安江氏を従えたことで、白川茶を安定的に手に入れているため、当家では気軽に飲める様になったのだ。
抹茶では無く煎茶であるが、砂糖を使った菓子とともに出したところ、国人領主たちは驚き戸惑っていた。
当家に臣従した国人領主たちは、耕作地も少なく貧しいため、砂糖を使った菓子など食べたことが無い様だ。
茶は今回の集いに参加した安江氏から買い取っていることを伝えると、国人領主たちは驚いていた。自分たちの領地でも栽培出来ないか考えている者もいる様だ。
その後、国人領主たちに何か困っていることがないかなど、近況などを尋ねると、多くの国人たちが食料の不足を挙げる。
耕作地が貧しいため、夏になると食料不足が深刻になる様だ。
国人領主たちの中には、食料支援を嘆願し始める者も何名かおり、それについては、後で担当者と話をさせることにした。
その後も国人領主たちと歓談した後に、宴になったが、国人たちは当家の宴料理に大いに驚いている。
当家の宴料理では、そんなに格の高い物では無いのだが、東美濃の国人領主たちでは食べられない品々なので、驚いているのだろう。
申し訳ないが、当家の重臣たちを集めた宴の方が良い料理を出している。
しかしながら、国人領主たちは当家の宴料理に大いに喜んでくれていた。美味い美味いと唱えつづける者もいたので、どんな生活してるのか少し気になったが。
当家での集いを終え、国人領主たちには、土産を持たせて帰らせたが、食料支援の希望者が意外と多く、担当者を通じて支援することとなった。
支援する条件としては、一族や家臣の中で読み書き出来る者を文官として出仕させることである。
当家は文官が増え、貧しい国人領主たちは食料支援を受けられると良いことしか無い。
食料支援を希望しない国人領主たちにも、一族や家臣を文官として出仕させれば報酬を出すことを伝えると、考えてみると応えた国人がそれなりにいた。
国人領主たちを集めた後、時期をみて岩村遠山氏の当主である遠山景前を招いた。岩村遠山氏は土岐頼芸様から与力として付けられたので、親交を深める必要があると判断したからだ。
国人領主たちと同じ様に軍事訓練を見学させたり、宴で持て成す。
国人領主たち同様に、軍事訓練を見学した際には驚いていた。
宴においても料理に驚いており、当家の力を見せ付けることが出来たと言えるだろう。勿論、帰る際には土産を持たせている。
遠山景前に近況を尋ねたりしたところ、特に困っていることは無いらしい。強がりなのか、それとも当家の存在に困っているのかな。
こうして、臣従した国人領主や岩村遠山氏に当家の力を見せ付け、東美濃の国人領主たちをそれなりに掌握出来たと言えるだろう。
これからも度々、彼等を招いて、しっかり掌握下におかなければならない。
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