家中での新たな者たちの扱いと動物屋敷

 東美濃に領地を増やし、木曽氏を臣従させたことで、政務も忙しくなっていた。

 当家に出仕している木曽氏の一族や家臣たちも、当家に少しずつ慣れてきている様だ。彼等は当家に来て、食生活が豊かであることに驚いてた。

 そんな木曽氏の一族や家臣には、文官として働いてもらっている。当家のやり方を身に付けて、木曽へ戻ってから反映させて欲しい。


 明照遠山氏や馬籠遠山氏も上位の者たちは、文官として働いてもらっている。上位の者を常備軍に入れて、揉め事を起こされても困るからな。

 下位の者や文盲の者は、常備軍へ入れて鍛え直している。


 長野信濃守たち客将は、当家の軍勢が戦で活躍したことを受けて、常備軍との訓練を積極的に増やす様になった。

 長野家から当家に鞍替えする者もおり、長野家に仕える者は減ってきている。

 長野信濃守たちも、そろそろ当家に仕えてくれると良いのだがな。



 わしが兼山に戻ってから、政務で忙しい中癒してくれるのは、ペットたちだ。

 美濃柴犬の松、竹、梅や猫のタマ、カイゼルは伴侶を得て、子を増やしていた。

 松、竹、梅の子たちは、家臣で欲しがっている者などに譲っている。

 タマやカイゼルの子たちで、メスは欲しがっている者たちに譲り、オスは海軍の船で飼われていた。


 九條稙通卿が置いていったオコジョたちも、専用の籠を作って育てている。

 繁殖して増えているのだが、血が濃くなるのも不味いので、猟師が山に入って、オコジョの子供を見つけたら捕まえてきてもらっているのだ。

 お陰で、オコジョの数がどんどん増えていた。九條卿に早く引き取りに来て欲しい。


 また、猟師たちは、わしが野生動物の子供を持ってくると喜ぶと勘違いしているのか、川獺、穴熊、狸、狐、兎などの子供を拾ってくるのだ。

 仕方ないから飼っているけれど、動物屋敷の様になってしまっている。可愛いから仕方ないけど。

 この時代は輸入感染症のエキノコックス症が入り込んでないだろうから、狐を飼えるだろけど、千島列島や大陸から動物を持ち込むときは気を付けないといけないな。


 甲賀者の中から動物の世話係を取り立てて、世話をさせているのだが、わしも餌をやったり、世話をしたりしている。政務などのストレス解消に良いのだ。


 最近、動物が増えたせいか、屋敷の庭で見掛けない狸や狐が増え始めている。仕方ないので、その動物たちにも餌をやっている。

 本当に、動物屋敷と化してるよ。妻や屋敷の者たちからも、動物を増やしすぎないで欲しいと言われてしまった。

 そんな屋敷の者たちも猫やらオコジョなど座敷で飼ってる動物を愛でているのに。



 領地が増えたため、牧場も増えている。馬や牛に加え、南蛮から持ち帰った山羊などを飼育しているのだ。少数ながらも、鹿、猪、羚羊も飼っている。

 東美濃にも、牧場を建設しており、まずは山羊を育てさせ、馬や牛を飼育するつもりだ。

 牛の乳だけでなく、山羊の乳も飲む様になっているが、まだまだ高位の者たちが飲む物に変わりは無い。

 祖父など、毎日どちらかの乳を飲んでおり、健康そのものだ。

 山羊の乳は赤子や猫にも飲ませられるので、乳母の乳の出が悪いときなど重宝されている。

 乳の取れる量が増えたら、乳製品も作りたいものだ。


 馬も東美濃を得たことで、木曽馬を買い付けたり、引き続き大型種の三河馬を買い集めていた。

 最近は、関東の商人たちが奴隷だけでなく馬も売りにきている。

 琉球の交易品が手に入るとあってか、関東から良質な馬を持ってくる者が多い。

 名馬たちを元に、品種改良して良質な馬を生産するつもりだ。

 良い馬を安定的に生産出来る様になれば、家臣たちに与えるのも良いだろう。


 馬、牛、山羊などの動物の糞は堆肥にしている。硝石用の人糞に比べれば発酵させる期間が短いので、田畑の肥料としては重宝されている。

 最近は、家鴨を買い付けてきて、領内で増やしており、水田で放し飼いにして草や虫を食べさせ、日が暮れると合鴨を小屋へ移動させ、合鴨農法の様なことを始めた。

 家鴨が泳ぐことにより土が攪拌され、稲の根を刺激すことで、肥料分の吸収が良くなるらしく、中耕により稲穂の成長を促進する効果があるそうだ。

 豊臣秀吉も家鴨を水田に放し飼いにするのを推奨していた。

 家鴨の卵を孵化させたり、雛を育てたるのは手間がかかる様だが、育った家鴨は食べることが出来るので、食生活を豊かにするには良いだろう。

 この時代に手間がかかると言っても、大変なのは農業従事者たちだしな。



 当家で飼っている猛禽類たちも、その数を増やしている。上位家臣たちの間で鷹狩りが流行っているのだ。

 しかし、鷹匠の人数もそんなにいる訳でもなく、飼える数も限られているので、飼育や鷹狩りをするのは、わしの許可が必要になっている。

 そのため、鷹を飼うことや鷹狩りは、当家での名誉や褒美の意味合いが強くなっていた。

 わし主催の鷹狩りに誘われることは、当家では非常な名誉になっているらしい。


 わしの愛鷲「飛影」などを含め、猛禽類の繁殖をするため、雄の猛禽類なども飼い始めているのだが、なかなか上手くいっていない。

 大鷹の飼育を趣味としている朝倉太郎左衛門尉殿とも書状のやり取りをして、猛禽類の育て方について情報交換をしている。



 領地が増えたが、新たな家臣も増えており、文官として当家の統治に貢献してもらいたいものだ。

 当家の屋敷は、子供も増えたが、動物も増えており、本当に大きな屋敷への建て替えを検討しなければならない。

 家畜の品種改良や農業への活用など、家畜の用途を広げる必要があるだろうな。

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