馬路玄蕃③オスマン帝国の外交使節との出逢い
◇馬路玄蕃
年が明け、アチェ王国でオスマン帝国の言葉や礼法を学んでいたところ、オスマン帝国から外交使節がやってきたことを告げられる。
オスマン帝国の言葉や礼法を教えてくれている外交官の話では、オスマン帝国の外交使節に話をしてくれるらしく、彼等が興味を持ったら、会ってくれるかもしれないとのことであった。
その後、アチェ王国側から、オスマン帝国の外交使節に話したところ、興味を持ってくれたらしく、日取りを決めた面会することとなった。
アチェ王国の王宮の一室で、オスマン帝国の外交使節の外交官の方と習ったばかりのオスマン語と礼法で挨拶をする。
オスマン帝国の外交官は、オスマン帝国の言葉と礼法を使ったことに驚いていた。
オスマン帝国の外交官と話を始め、我が主がオスマン帝国の皇帝に使者を派遣したいことを告げると、彼も是非ともオスマン帝国に外交使節を送って欲しいと言う。
オスマン帝国では、日ノ本は明より東にある黄金の国として知られているそうだ。
外交官の想像する日ノ本を聞いて、思わず苦笑してしまった。
ポルトガルが明国に進出しようとしていると言う話題になると、外交官の目付きが変わる。
ポルトガルが明国に武力行使して鎮圧された話や琉球に現れた話をすると、表情は淡々としつつも、目付きは鋭くなっていた。
それらの話を聞いた外交官は、是非ともオスマン帝国皇帝に書簡を送って欲しいと言い出す。
主の許しを得なければと言うが、オスマン帝国にとってポルトガルが天竺や南蛮に進出しているのは看過出来ないことであり、明国や日ノ本にまで進出しようとしていることをオスマン帝国の皇帝に伝えねばならないらしい。
外交官からの報告だけでなく、日ノ本の外交官からの文書があった方が良いらしく、非公式の形で良いので、書簡を書いてくれとのことであった。
仕方ないので、殿には後で報告するとして、オスマン帝国の外交官とともに、オスマン帝国皇帝への書簡を書く。
オスマン帝国での様式など直接指導をいただきながら、書簡を書いたのだった。
非公式の書簡とは言え、貢物が必要らしく、日を改めて貢物をどうするか話し合うことにした。
なるべく、日ノ本らしい贈り物が良いと言われる。
オスマン帝国皇帝へ書簡を送ることなど考えてなかったので、皇帝への貢物など用意しておらず、慌ててアチェ王国の高官への贈り物に使う品々や交易品をかき集めた。
オスマン帝国の外交官とかき集めた貢物候補の品々を見せたところ、何を送るべきか一緒に選んでくれる。
特に、螺鈿細工、金蒔絵、漆器などの品々が誉められ、オスマン帝国皇帝は宝石細工を自ら作られるらしく、螺鈿細工や金蒔絵は特に喜ばれるだろうとのことであった。
オスマン帝国の外交官に、オスマン帝国皇帝への書簡と貢物を渡し、余った貢物候補の中から、外交官たちへ贈り物を渡すと彼等も喜んでくれた。
その後、オスマン帝国の外交官から何度か呼ばれ、話をするとともに、オスマン帝国での外交における言葉や礼法の助言をいただいた。
当家からのオスマン帝国への外交使節の派遣は、早ければ来年には赴いた方が良いらしい。
近頃、波斯(ペルシャ)との関係が悪化しており、いつ戦になるか分からないとのことである。
公式の外交使節となれば、親書も必要であり、貢物も今回以上の物が必要になるので、準備しておいた方が良いとのことであった。
その後、親書の文言についても考えてくれ、内容的には今回の非公式の書簡と同じ様な物だが、文言など優雅な物に変わっているらしい。
オスマン帝国の外交官は、我々に非常に好意的であった。
その後、オスマン帝国の外交使節は本国へ帰還した。
俺は、殿へ非公式の書簡について報告の書状を書くとともに、来年にオスマン帝国へ外交使節として赴くことを願い出ることにした。
オスマン帝国皇帝への親書は出来上がっているので、親書への署名と印を求め、皇帝への貢物に相応しい物についてや、貢物を送ってくださる様に書状に書いておく。
高砂国では、船が増えたのか、頻繁に交易船が来るようになっていたため、彼等に渡して日ノ本の殿の元へ届けてもらう。
オスマン帝国の外交官とやり取りした後は、外交使節として赴いても恥ずかしく無いように、言葉や礼法の訓練に、更に身を入れることとなった。
実際にオスマン帝国の外交官とやり取りをしたことから、どの様に振る舞うのが良いのかも分かる様になった気がする。
殿から、オスマン帝国皇帝への親書と貢物が届くまで、言葉や礼法を学びつつ、交易船とのやり取りや商家との取引をして過ごすのであった。
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