オスマン帝国との外交準備
馬路玄蕃から、オスマン帝国の外交使節と交流したことの報告が届いた。
ポルトガルの明国や琉球進出を脅威に感じたらしく、非公式の書簡を書かされたとのことだが、オスマン帝国皇帝のスレイマン1世に感心を持ってもらうためには、事後報告になったとしても仕方ないだろう。
来年には、使者を派遣してくれと外交官に言われたのは驚いた。
再来年からスレイマン1世はペルシャと戦争になるので、派遣するとしたら、その後と思っていたのだが、ポルトガル勢力の東洋進出は、わしが思っているよりオスマン帝国にとっては危機意識を抱いている様だ。
伝聞でしか伝わっていない幻の国からポルトガルの脅威を伝える使者が現れれば、オスマン帝国国内でのポルトガルの脅威を認識させることが出来ると考えたのだろう。
馬路玄蕃は、オスマン帝国の外交官とともに、親書も書き上げたらしく、その内容を日本語で書いたものも添えられている。
内容は概ね問題なさそうなので、署名するが自身の出自を日ノ本の大宰相の息子と名乗っているので「藤原朝臣正義」と書いて、新たに作らせた印を押す。
問題は、スレイマン1世への貢物である。
取り敢えず、大鎧、関孫六の刀剣、金屏風、螺鈿細工、金蒔絵、漆器、磁器などは準備していたので良かった。
大鎧はアチェ国王に贈った物はスレイマン1世に贈るための予備だったので、良いものは残してある。
磁器は、妻木家に早い段階で口出しして磁器製造能力を高めさせ、チューリップと花瓶を作ってもらっていた。
チューリップはオスマン帝国の国花だからな。
また、養殖していた真珠をかき集めねばなるまい。養殖して二年以上の物は取り出させよう。大きい方が良いと思って、長めに養殖していたが、本来なら1年半から2年で取り出すらしいからな。
真珠は西洋では貴重品であるので、宝石職人でもあるスレイマン1世は喜んでくれるだろう。
また、密かに土佐沖で宝石珊瑚を密漁させていたので、それも貢物にいれねばなるまい。
この時代はまだ土佐沖の珊瑚が見つかっていないので、知識チートで珊瑚漁用の網を作って、こっそりと密漁していたのだ。
地中海では宝石珊瑚を取りすぎたため、取れる量少なく、貴重な品として愛されている。
特に、土佐の血赤珊瑚は日本でしか取れないから、これらも宝石職人であるスレイマン1世は喜んでくれるはずだ。
スレイマン1世に日本製の火縄銃も贈りたい。
スレイマン1世に贈るため、火縄銃の土台を螺鈿細工と珊瑚を使って作った物を用意してあるので、出来の良い火縄銃の銃身と組み合わせて完成させる様に命じよう。
銃身にも急いで彫金させないといけないな。
オスマン帝国への贈り物は長い時間をかけて準備しておいたから良いものの、予想以上に前倒しになってしまったため、焦ることになった。
しかし、オスマン帝国と国交を持ち、アチェ王国の様にオスマン帝国と非公式の同盟を結んだり、支援を受けられれば、明国やその周辺に比べて遅れている技術力を補うことが出来るはずだ。
オスマン帝国の重臣への贈物やオスマン帝国で交易するための交易品など、多くの品々を持たせねばならないだろう。
航海も確実に成し遂げられそうな者たちに船団を組んでもらいたいので、川俣十郎や九鬼宮内大輔たちに赴かせるのが良いかもしれない。
外交使節の代表である馬路玄蕃には頑張ってもらわねばなるまい。
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