山田式部少輔有親⑪高砂国の農・畜産業と諸々
◇山田式部少輔有親
鶏籠を獲得してから、本拠地を鶏籠に移して開発をしているが、平野が少ないため、農地を作るのは厳しい。
殿の話では、鶏籠の南西に、広大な湿地があるそうで、その地を埋め立てて、将来的に高砂国の国府をおきたいそうだ。
凱達格蘭(ケタガラン)族たちに話を聞くと、確かに広大な湿地があるそうだが、あまりにも湿地が広すぎるため、凱達格蘭族でも住む氏族は少ないらしい。
開拓のためには、沢山の奴碑が必要になることだろう。
そのため、我々には食糧が必要であった。
我々は、支配下においた噶瑪蘭(クヴァラン)族たちの住まう平野を耕作地にすることにする。
噶瑪蘭族たちの住まう平野を噶瑪蘭平野と呼ぶことにした。
噶瑪蘭平野は土地が肥えているため、作物を作るのにも適している。
薩摩から連れてきた奴碑たちに、田畑を耕させ、灌漑や乾田を作っていく。
新たに作った乾田で高砂国の米と琉球の米を育てたが、思った以上に収穫することが出来た。
高砂国の米と琉球の米を掛け合わせてみたが、あまり出来は良くない様だ。
何度も試してみる必要がありそうだな。
農業技術者の話では、高砂国の気候なら、もう一度米の収穫が出来るかもしれないと言うことで、来年は試してみることにした。
南蛮から取り寄せた作物も、今年は種を蒔き、収穫している。
西瓜、南瓜、玉蜀黍、苦瓜、唐辛子、空豆などが収穫出来た。
西瓜は真桑瓜より甘く、瑞々しいので、家臣や高砂国の部族たちにも好評であった。
南瓜は料理にするのに手間がかかったものの、意外と美味い。
玉蜀黍は米の代わりになる様だが、乾燥させて、料理の具材として色々試みている。
殿の話では、米が取れない地域では、米の代わりにしているらしい。
苦瓜は苦いが、食えないことは無いので、料理を研究させよう。
唐辛子は香辛料だが、入れすぎると辛くなりすぎるので、これも研究させる必要があるな。
空豆も乾燥させてから、料理に使っている。
その他、日ノ本から届いた野菜を育てているが、高砂国の部族たちには総じて好評の様であった。
砂糖黍についても、栽培に成功しており、かなりの収穫をすることが出来ていた。
南蛮から、砂糖黍栽培の技術者や砂糖作りの職人たちを連れてきたので、砂糖黍を搾って、砂糖を作っている。
日ノ本から圧搾機なる物が送られてきており、それを使ったところ、砂糖職人が今までより多く搾れると騒いでおった。
砂糖の様な貴重な品を高砂国で作ることが出来るとは、話を聞いたときは驚いたものだ。
出来た砂糖は、少量を家臣や部族の者たちに分け与えたところ、歓喜していたな。
今回出来た砂糖の多くは、東天竺屋で取り扱うことになり、高砂国の東天竺屋で銭を払えば買えるらしい。
しかし、貴重な品と言うことで、かなり高い価格だ。
砂糖の味を知った家臣や部族たちは、砂糖を得るために、より働いてくれることだろう。
砂糖の多くは日ノ本へ送られるらしく、高砂国奉行としては、日ノ本へ送る砂糖は、高砂国で作りたいものだ。
家畜も南蛮から取り寄せた山羊が増え、番で買ってきているため、少しずつだが高砂国で生まれた山羊もいる。
山羊の乳は身体に良いと言うことで、高砂国でも徐々に飲むようになっていた。
船が増えたことで南蛮との取引が増えたことから、家畜は山羊だけで無く、水牛も番で取り寄せている。
牛と同じ様に農耕で使うそうだが、肉や乳も食することが出来るらしい。
また、琉球からは、馬、牛、豚を連れてきて増やしている。
馬は荷運びや騎乗したりし、牛は農耕で使い肉や乳を食し、豚は肉を食するそうだ。
水牛の方が牛より粗食に堪えられるらしいが、それぞれに良いところがあるらしい。
神宮から派遣される神官も増え、鶏籠でも神明社を建てることになった。
神明湊の神明社もより立派な物を建てるらしい。
そのため、神宮から宮大工が派遣されていた。
高砂国にいる大工や奴碑たちにも、宮大工の手伝いをさせることで、技術を得たり、向上させて欲しいものだ。
鶏籠を獲得したことで、高砂国は更に発展しつつある。
船や技術者が増えたことから、湊町を整備し、支配地域の開拓を進める必要があるだろう。
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