川俣十郎とポルトガル船狩り

◇川俣十郎正具


 俺たちが高砂国を出発して、数日が経ち、明国の近くの海で獲物を探していると、南蛮で見掛けたポルトガルの船らしき船が一隻で航海しているのを見つけた。

 特徴的なずんぐりとした船体は、明船とは明らかに異なった形をしており、とても目立つ。

 俺たちは、あのポルトガル船を襲うことに決めた。


 ポルトガル船に近付くと、船には大砲らしき物が積んであるのが目に入る。

 しかし、その数は少なく、両舷に数門だ。

 ポルトガル船も俺たちの船を見つけ、騒ぎ始めた。

 我々の襲撃を察知したのだろう、戦の準備をしている様だ。

 俺たちは大砲の無い船の前後から乗り込むことにする。

 大砲の射線に入らないようにしつつ、俺たちの明船を船尾にぶつける。

 弓兵には、火縄銃を持ったやつを狙わせ、刀や槍を持った兵で乗り込んで行く。

 俺たちが船尾に乗り込んだ隙を見計らい、神代勝利殿の船が船の前にぶつかり、乗り込んで行った。

 明語を話せる船員に、明語で降伏しろと叫ばせつつ、ポルトガル人たちを制圧していく。

 殿からは、ポルトガル人はなるべく殺すなと伝えられていた。まぁ、それは身なりの良いポルトガル人に限るが。

 多勢に無勢と悟ったのか、通訳として乗っていたと思われる明人が明語で降伏を申し出てきた。


 一番身なりの良い船長らしき者が通訳の明人らしき者とともに、前に出てくる。

 互いに通訳を通じて話すと、降伏するので、命だけは助けて欲しいとのことだ。

 取り敢えず、ポルトガル人たちの武器を取り上げる。

 殺したポルトガル人や命が助かりそうも無い者は、俘虜にしたポルトガル人に持ち物を漁らせ、金目の物を集めさせた。

 その中で、二本の棒が交差した磔台の様な形をした細工物を手に取る。

 ポルトガル人は景教の一派らしく、この磔の細工物が景教の祭具らしい。殿からは、これを集めるように命じられている。

 命が助かりそうも無い者は、槍で止めを刺して、死体はポルトガル人たちに捨てさせた。

 ポルトガル人たちは汚いし、日ノ本に無い病気を持っているかもしれないので、死体や血にはなるべく触らないように言われている。


 俺は、生き残ったポルトガル人や明人を甲板に集めさせた。

 通訳に明語で奴らの下履を脱ぎ、イチモツを晒す様に命じる。

 文句を言ってきたポルトガル人がいたが、そいつらを部下たちに命じて殴らせ、改めてて脱ぐ様に命じた。

 ポルトガルたちは、いつ殴られるか分からないと素直に下履を脱いで、イチモツを晒した。

 イチモツを晒させたのは、梅毒の者がいるかもしれないからだ。始まりは、イチモツが爛れ、段々と全身が爛れていく。

 イチモツが爛れている者が何人かおり、イチモツだけで無く身体が爛れている者も何人かいた。琉球で見掛けた梅毒の症状だ。

 それに、何人かは体調が悪そうで、咳き込んでいる者もいる。

 その者たちと、症状が見られない者たちは分けさせた。

 通訳を通じて、船長に症状の出ている者たちの身分を問うと、ただの船員のらしい。

 身分の高い船員は、異状は無い方に集まっている。

 俺は、部下たちに合図を出し、症状の出ている者たちを殺させた。

 病に罹っている者を俘虜にする訳にはいかないからな。

 病に罹った者たちを殺させたことで、生き残った者たちが騒ぎだすが、部下たちが殴って大人しくさせる。

 生き残ったポルトガル人たちに、殺した者たちの死体を漁らせ、金目の物と景教の祭具を集めさせる。

 そして、ポルトガル人たちに、死体を海に捨てさせた。


 俺たちは、ポルトガル船に部下たちを乗せ、生き残ったポルトガル人たちに操船する様に命じた。

 海軍の者たちは、ポルトガル人とともに操船させ、ポルトガル船の扱いを覚えさせる。

 こうして、俺たちはポルトガル船を手に入れ、高砂国へと戻るのだった。

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